プレミアムドラマ「コトコト~おいしい心と出会う旅~」は、百貨店のバイヤー・結稀宏人 (古川雄大)が、日本全国の魅力的な食材を求めて各地を旅する物語。
8月17日に放送された群馬編から、宏人よりかなり年上の部下・根本進が新たに登場。根本は宏人と同じバイヤーで、おいしいものが大好きな人懐っこいキャラクターだ。24日に放送される茨城編を前に、根本を演じる三宅弘城さんに話を伺った。
台本を読んでいると、自分を見ているようで恥ずかしくなりました
――制作決定時のコメントに、「初めて脚本を読んだ時は、根本進という役があまりにも僕に酷似していたため、嬉しい反面恥ずかしくもなりました(笑)」とありましたが、具体的にはどのようなところに共感を覚えますか?
三宅 食べることが好きという共通点が大前提にありまして、あまり人見知りしないところとか、落ち着きがないところとか……。台本を読んでいると、自分を見ているようで恥ずかしくなりました。細かいことを言えば、根本ほどのんきではないですけどね(笑)。
――古川雄大さん演じる結稀宏人は、百貨店バイヤーという仕事には真摯に向き合っていますが、人との距離を置こうとするところがあってとっつきにくそうな人物です。年上なのにそんな人の部下になるとなれば、かなりやりにくいのではないかと思うのですが、演じていていかがでしたか?
三宅 根本はああ見えて、動物的な勘があるような気がします。彼はなんとなく、「大丈夫だ、この人は」と感じる部分があったんじゃないかな。だから、すぐに宏人の懐に飛び込んでいけたんじゃないかな、という気がします。自分が年上だからということはあまり気にせず、割り切っていたんじゃないかと思いましたね。

――古川さんとは初共演ですか?
三宅 初共演です。群馬編が初めてだったのですが、ちょっと笑ってくれたりとか、お芝居の面でも、人間・三宅弘城、古川雄大としても、だんだん距離が縮まっていったような気がしますね。ふたりとも舞台の経験は多いので、監督の演出に加えて、「ここ、こうしてみましょうか」などと話し合って、お芝居を作っていきました。そんな中、古川さんがゲラ(笑い上戸)ということがわかって、すごくキュートな一面もあるんだな、と思いましたね。だんだん、だんだん、お互い心が開いていったような感じです。
あと、古川さんって完璧なんですよ! セリフは間違えないし、お芝居の方向性も間違えない。たぶん台本の意図はこっちだろう、と思うことを正確にやるから、こちらも必死ですよ。でも、古川さんが1回だけセリフ間違えたんですね。その時は、ちょっとホッとしました(笑)。
遊覧ボートを漕いで、体が温まった
――この作品では、ご当地のおいしいものがたくさん出てきますが、特に印象的だったものはありますか?
三宅 群馬編の冒頭で、お寿司を食べるシーンがありましたが、あれは本当においしかったです。海なし県なのに豊洲から直送の新鮮な魚介類が食べられるのは驚きでした。また、マルシェのシーンがあるのですが、そこで生産者さんが売っていたドライトマトが抜群においしかったですね。このドライトマトはドラマには出てこないのですが、すごく味が濃いんです。
伊香保温泉のロケでは、空き時間に露天風呂に入ることができたのも楽しかったですね。
あと、榛名湖で、ひとり遊覧ボートを漕いでいるシーンがありましたが、あの撮影は12月で、からっ風が強くてすごく寒かったんです。ボートを漕いでいるおかげで体が温まりました(笑)。
――茨城編のロケはいかがでしたか?
三宅 根本がベトナム野菜を作っているベトナム人女性のもとを訪れるシーンがあるのですが、監督に「フリーでいろいろと聞いてもらえませんか?」と言われ、直接農家さんとお話しました。ノコギリみたいなギザギザの葉で、食べるとパクチーの味がするパクチーファランやラウマーなど、日本であまり馴染みのない野菜を育て、全国に出荷しているそうです。
その女性は、技能実習生として来日し、日本で農園をやって、今では多くの技能実習生を迎え入れているんです。ふだん聞くことがないような話をいっぱい聞けて、とても興味深かったです。
――このドラマでは、それぞれの県にゆかりのある人が出演するのも見どころの1つですね。
三宅 地元ということもあってか、みなさんがのびのびと楽しそうにお芝居されているのが印象的でした。群馬編で、伊香保温泉の旅館の店主を演じていた渋川清彦さんは、早々と撮影が終わったのに、ロケ地の旅館に併設されたバーで僕らの撮影が終わるまで飲んでいて、その後、「今日どうするの?」と聞いたら、「実家帰るわ」って言っていて、地元っぽくていいなと思いました。
寿司屋の大将役のロバートの山本博さんや、国府白菜を育てる農家役の井森美幸さんは、すごく楽しそうに演じていらっしゃいましたし、茨城編のJA事務員役の黒沢かずこさんのインパクトはさすがでした。

――群馬編では、宏人とのでこぼこコンビぶりが楽しかったのですが、次回の茨城編では、どのような感じですか?
三宅 茨城編では物産展の「スープ企画」が中止の危機になり、宏人は焦りを感じて、根本にもキツく当たったりします。でも、根本には彼なりのコミュ力があるし、群馬編でもちょこちょこと役に立っているんですよね。宏人先輩の後をついているだけではなく、スープを一緒に作るという自覚や責任感が出てきている回になっていると思います。
――ドラマを楽しみにしている人にメッセージをお願いします。
三宅 いろんな登場人物の関係性や物語がありますが、メインは一応スープですから、どんなスープができたのか、味を想像しつつ楽しんでいただければと思っています。
根本の見どころですが、年上なのに急に仲間に加わり、「宏人先輩、先輩」って後ばかり付いている凸凹感や、イイ感じのところを台無しにしてしまう、でもなんとなく憎めない。そういうところでしょうか。茨城編では、そんな彼が感情を露わにする場面もあるので、こんな一面もあるんだというところも楽しみに観ていただけたらうれしいですね。

【プロフィール】
みやけ・ひろき
1968年生まれ、神奈川県出身。88年から劇団健康(現:ナイロン100℃)に参加。主要メンバーとして活躍するほか、M&Oplays『鎌塚氏』シリーズでは主演を務める。舞台のみならず、映画、ドラマにも幅広く出演。器械体操とボクシングで培われた身体能力で、アクションシーンも得意とする。パンクコントバンド「グループ魂」では“石鹸”の名でドラムを担当。NHKでは連続テレビ小説「あさが来た」「おむすび」、大河ドラマ「新選組!」「篤姫」「いだてん〜東京オリムピック噺〜」のほか、「みいつけた!」にみやけマン役として出演。
【群馬編のあらすじ】
百貨店バイヤーの結稀宏人(古川雄大)は物産展に出すオリジナルスープを開発するため、群馬県へ! そこに、だいぶ年上の“後輩”根本進(三宅弘城)も突然合流。一緒に食材探しを始めるが、下仁田ネギ農家との取引はうまくいかず。そんなとき、伊香保温泉の町で暮らす女性画家・不二谷円(小林涼子)出会う。円に案内されてさまざまな農作物の生産者を訪れることになった宏人たちは、群馬で野菜をつくることの意味、そして火山に囲まれた大地で育てられる食材の魅力に気づく。旅の中で、宏人と円はしだいにひかれ合っていくが――。
【茨城編のあらすじ】
百貨店バイヤーの結稀宏人(古川雄大)がこれまで物産展に出してきた「スープ企画」が中止の危機に! 収益アップが不可欠となり、そこで宏人は近年の「焼きいもブーム」に目をつける。
起死回生のオリジナルスープを開発するため、“でこぼこコンビ”の根本進(三宅弘城)と茨城県へ。二人はブームの仕掛け人であるJA職員の門田(杉田かおる)から、傷ついたイモの修復技術を教えてもらう。さらに、イモ農家の正紀(金子岳憲)娘の沙耶(瀧七海)を紹介されるが、その親子関係はまさに“傷だらけ”だった。自身の境遇と重ね合わせ、宏人はそんな親子関係の「修復」に奔走する。
茨城県のさまざまな食材と出会ってたどり着く、“一期一会のスープ”とは!?
プレミアムドラマ「コトコト~おいしい心と出会う旅~」
群馬編:8月17日(日)NHK BS/BSP4K 午後10:00~10:59
※NHK BSのみ再放送 8月23日(土) 午後11:10~0:09 ※NHKプラスでもご覧いただけます。(8月24日まで)
茨城編:8月24日(日)NHK BS/BSP4K 午後10:00~10:59
※NHK BSのみ再放送 8月30日(土) 午後11:10~0:09 ※NHKプラスでも放送後1週間(8月31日まで)配信予定です
総合:2025年度 冬(放送予定)
作:坪田文 ※茨城編は原作
脚本:出川真弘 ※茨城編
音楽:光田康典
出演:古川雄大、三宅弘城、山中崇
(群馬編)小林涼子、井森美幸、渋川清彦、あらいすみれ、金井美樹/田村泰二郎 ほか
(茨城編)金子岳憲、瀧七海、磯山さやか、黒沢かずこ/本田博太郎、杉田かおる ほか
制作統括:堀内裕介
プロデューサー:二見大輔、郷原陽介、大久保篤
演出:中泉慧、伊集院悠
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兵庫県生まれ。コンピューター・デザイン系出版社や編集プロダクション等を経て2008年からフリーランスのライター・編集者として活動。旅と食べることと本、雑誌、漫画が好き。ライフスタイル全般、人物インタビュー、カルチャー、トレンドなどを中心に取材、撮影、執筆。主な媒体にanan、BRUTUS、エクラ、婦人公論、週刊朝日(休刊)、アサヒカメラ(休刊、「写真好きのための法律&マナー」シリーズ)、mi-mollet、朝日新聞デジタル「好書好日」「じんぶん堂」など。