8月17日、24日に放送されるプレミアムドラマ「コトコト~おいしい心と出会う旅~」群馬編、茨城編の会見が行われ、出演者や制作統括がドラマについて語った。


宏人の内面を掘り下げた、富山県や新潟県とひと味違った物語

百貨店のバイヤー・ゆうひろ(古川雄大)が、日本全国の魅力的な食材を求めて各地を旅する中で出会う人々や出来事を描くドラマ「コトコト〜おいしい心と出会う旅〜」。昨年12月に富山編、新潟編がNHK BSで放送されたが(総合では今年1月放送)、続編にあたる群馬編、茨城編が完成。放送を前に記者会見が行われ、出演者の古川雄大さん、三宅弘城さん、小林涼子さん(群馬編)、磯山さやかさん(茨城編)、制作統括の堀内裕介チーフ・プロデューサーが登壇し、ドラマの見どころについて語った。

まずは制作統括の堀内さんが、群馬編、茨城編について紹介した。

堀内「これはオリジナルのドラマで、原作はありません。ですから、我々ディレクターやプロデューサーが直接現地に行って、どんな食材を取り扱おうかと探すところからスタートしております。そして、脚本家の坪田文さんや出川真弘さんと一緒に群馬県、茨城県を取材して作りました。古川雄大さん演じる主人公の結稀宏人が百貨店のバイヤーとして、全国各地のおいしいものを探しに行くわけですが、今回は、宏人が出会う人たちといろんな対話をする中で、彼自身がバイヤーとしての在り方を問いかけられることになり、宏人の内面をすごく掘り下げた内容となっています。富山編や新潟編とひと味違った物語になっていますので、そういったところを皆さんに楽しんでいただけたらうれしいです」

それを受けて、古川さんも群馬編、茨城編で宏人が人間的な成長を遂げるという見どころなどについて語った。

古川「今回の2作で、結構テイストが変わったなと僕も感じています。みなさんから見えているきれいな部分の裏側がどんどんあらわになってきて、人間って綺麗きれいごとだけじゃ生きていけないよね、といった繊細な部分が表現されています。そして、物語が進んでいく中で、宏人自身が深掘りされていきます。前回、前々回と監督が違いますし、今回の2作も新たな脚本家が加わり、スタッフも結構違ったりするんです。でも、それがすごく面白いことだなと思って。僕らがチームとして毎回新しい場所に行って、そこで出会った人たちと楽しんで作っていく。作品自体が、一期一会を楽しんで、そこでしか生まれないものが作れていることを強く感じました。これからの作品も期待していただけたらと思います」

本作は、毎回その場所にゆかりのある俳優が登場するのも見どころの1つ。群馬編で、宏人に地元の農作物の生産者を紹介する女性画家・不二谷ふじやまどかを演じる小林涼子さんは、自身で農園を開くなど、農業と深く関わりがある。また、幼少期に祖父母と伊香保旅行へ行ったり、祖父母が生前最後に過ごした場所が伊勢崎市だったりと、群馬に縁があるそうだ。そして茨城編では、茨城県鉾田市出身で、いばらき大使を務める磯山さやかさんが登場する。

小林「円のセリフにもあったのですが、それはスープなのか、鍋なのか、煮込みというのか……、本当にスープとは何か、ということをすごく考えさせられました。私も農業に携わっているので、 その土地土地の風土を生かしたスープってなんだろうって思いをせました。まさにその土地が煮込まれたような、『これが群馬だ』というスープを作っていくことは、私自身も作品に携わる中で面白く感じました。視聴者の方も、群馬にちょっと行ってみたいな、群馬ってこんなふうな場所だったんだ、というように、新たな発見がある作品になったのではないかと思っています」

磯山「茨城が舞台の作品を作っていただけるのは本当にうれしく、しかも出演させていただけて感無量でした。作品を見ていると、茨城の温かさやいいところが出ていたなとも思いました。今までサツマイモなどのお野菜を当たり前のように食べていましたが、そこにはいろんな愛情が詰まっているんだな、大切に食べていきたいなと思わせてくれました。この作品に携わってくださったスタッフさん、共演者のみなさんの、茨城への愛が伝わってきてうれしかったです。これから観ていただく茨城県民のみなさんにも喜んでいただけるような作品になっているんじゃないかなと思いました」


「レンコンを楽しみに生きる人生になりました」

本作は、その土地ならではの農作物や特産品が登場し、それを味わうシーンも数多く存在する。そこで、出演者に印象的だった食べ物を挙げてもらったところ、思い出のエピソードとともに、さまざまな食材が挙がった。今回、宏人のかなり年上の部下・根本進役として作品に加わった三宅さんが印象的だったのは、群馬編で食べた作りたてのこんにゃくだった。

三宅「初めてお芋をすりおろして作ったこんにゃくを食べましたね。ザラッとして、っていうとちょっとマイナスなイメージがあるかもしれませんが、我々が普段知っているこんにゃくではない、目が粗くてみごたえがあって、ちゃんとこんにゃくの味がするっていう、感動したよね、あれはね!」

古川さんは、同じく群馬編で登場した、ハウスレンコン(ハウス栽培のレンコン)に驚いたという。

古川「僕、本当に失礼なんですけど、レンコンをあんまり好んで食べたことはありませんでした。ハウスレンコンはまず、全然色が違うんです。真っ白なんです。宏人のセリフで、柔らかいけどシャキシャキしている、という矛盾したセリフがあるんですけど、まさにあのセリフどおりの食感なんですよ。味もすごく甘さがありました。この先、レンコンを楽しみに生きる人生になりました(笑)」

古川さんは、かつて群馬に対して苦い思い出があったというが、今回のロケで印象が一変したと話す。

古川「小学校時代、群馬のとある野球チームと対戦したことがあって、そのチームに結構な点差で敗北しました。(出身の)長野県高山村のチームはそれまで無敵だったんですけど、コテンパンにやられた上に、やんちゃな僕らに比べて群馬のチームは大人びていて、メンタル的にもきましたね。今回、群馬県でロケをして、いろんなものを食べて、野球の試合以来苦手意識を持っていた群馬の印象ががらっと変わりました」

茨城編では、磯山さんが「行方かんしょ」農家の妻を演じたが、撮影現場では差し入れとして、さまざまな品種のさつまいもが届けられ、その味の違いに感動したと振り返った。

磯山「私は茨城関連のお仕事をよくしているので、お初というものがあまりないんです。さつまいもだと、紅はるかや紅あずまが馴染なじみ深いんですけど、今回の撮影で、それ以外の品種がたくさんあるんだっていうことを知りました。差し入れで焼きいもなどをいただきましたが、品種によって味や食感が違い、さつまいも1つとっても、これだけ表情があるんだっていうのに感動しました。ちなみに今日の衣装はさつまいもカラーです(笑)」


これから宏人の部下が生まれていって、チーム結稀宏人になったら……

続いて、思い出の場面や苦労したシーンなどについて質問された出演陣。古川さんは、群馬県特有の「からっ風」(山を越えて吹き下ろす、乾燥した冷たい強風)を挙げた。

古川「からっ風を初めて体験したのですが、結構な勢いなんですよね。会話のトーンで話す時に、ゴーって風の音がしました。それが撮影でも少し大変でしたけど、おかげでリアルなものが撮れたのではないかと思いました」

三宅さんは、茨城編で宏人と一緒にスープの試作をするシーンを挙げた。

三宅「茨城編で、台本にはなかったんですけど、監督の無茶ぶりで、ふたりのアドリブでレンコンの天ぷらを作ってくれ、というのがありました。宏人はクールな役柄ですが、古川さん自身はすごいゲラ(笑い上戸)ということを知っていたので、笑かしにかかりました。葛藤しながら天ぷらを揚げていたシーンがすごく楽しかったですね。あと、古川さんはパクチーが苦手なんですよ。宏人が微妙な顔してるんですよ。本当は苦手なんだけど、美味しい顔しなきゃいけないみたいな。ぜひ本編で観ていただきたいですね」

茨城編では、物産展で出してきた「スープ企画」が中止の危機にあることが明らかになる。現在、4県を回った宏人だが、47都道府県制覇ができるかどうか、今後の展開が気になるところだ。

古川「今までは、少し変わった男・宏人が旅をして、食に対してまっすぐになりすぎてしまうところを、視聴者の方が突っ込みを入れながら観てくださっていたと思います。今回、根本さんというより強いボケ役、ぐな人が登場したことによって、僕がツッコミ的位置になったと思うんですよね。この関係性がすごくいいなと思っていて……。これから宏人の部下がどんどん増えていって、チーム結稀宏人になったら、なんていうことを考えています。根本さんが主役の回があってもいいと思いますし、後輩たちもどんどん主役になっていくみたいなことになると、40歳後半ぐらいで47都道府県全部に行けるんじゃないかな。また、宏人が、たぶん先が長くない父親とどう向き合っていくのかみたいところも、しっかり描いてほしいと思っています」


【群馬編のあらすじ】
百貨店バイヤーのゆうひろ(古川雄大)は物産展に出すオリジナルスープを開発するため、群馬県へ! そこに、だいぶ年上の“後輩”もとすすむ(三宅弘城)も突然合流。一緒に食材探しを始めるが、下仁田ネギ農家との取引はうまくいかず。そんなとき、伊香保温泉の町で暮らす女性画家・不二谷ふじやまどか(小林涼子)出会う。円に案内されてさまざまな農作物の生産者を訪れることになった宏人たちは、群馬で野菜をつくることの意味、そして火山に囲まれた大地で育てられる食材の魅力に気づく。旅の中で、宏人と円はしだいにひかれ合っていくが――。

【茨城編のあらすじ】
百貨店バイヤーの結稀宏人(古川雄大)がこれまで物産展に出してきた「スープ企画」が中止の危機に! 収益アップが不可欠となり、そこで宏人は近年の「焼きいもブーム」に目をつける。
起死回生のオリジナルスープを開発するため、“でこぼこコンビ”の根本進(三宅弘城)と茨城県へ。二人はブームの仕掛け人であるJA職員のかど(杉田かおる)から、傷ついたイモの修復技術を教えてもらう。さらに、イモ農家の正紀まさのり(金子岳憲)娘の沙耶さや(瀧七海)を紹介されるが、その親子関係はまさに“傷だらけ”だった。自身の境遇と重ね合わせ、宏人はそんな親子関係の「修復」に奔走する。
茨城県のさまざまな食材と出会ってたどり着く、“一期一会のスープ”とは!?


プレミアムドラマ「コトコト~おいしい心と出会う旅~」

群馬編:8月17日(日)NHK BS/BSP4K 午後10:00~10:59
NHK BSのみ再放送 8月23日(土) 午後11:10~0:09
茨城編:8月24日(日)NHK BS/BSP4K 午後10:00~10:59
NHK BSのみ再放送 8月30日(土) 午後11:10~0:09
総合:2025年度 冬(放送予定)

作:坪田文 ※茨城編は原作
脚本:出川真弘 ※茨城編
音楽:光田康典
出演:古川雄大、三宅弘城、山中崇
(群馬編)小林涼子、井森美幸、渋川清彦、あらいすみれ、金井美樹、田村泰二郎 ほか
(栃木編)金子岳憲、瀧七海、磯山さやか、黒沢かずこ、本田博太郎、杉田かおる ほか
制作統括:堀内裕介
プロデューサー:二見大輔、郷原陽介、大久保篤
演出:中泉慧、伊集院悠

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