3月30日(月)より放送スタートとなる、2026年前期連続テレビ小説「風、薫る」。放送開始に先立ち、3月9日、東京・渋谷のNHK放送センターで第1週完成試写と会見が行われ、W主演となる見上愛(一ノ瀬りん役)、上坂樹里(大家直美役)、脚本家の吉澤智子、制作統括の松園武大が登壇した。

本作は、西洋式の看護学が日本に伝わった明治時代が舞台。一ノ瀬りんと大家直美のふたりが、当時まだあまり知られていなかった“看護”の世界に飛び込み、ぶつかり合いながらもトレインドナース(正規に訓練された看護師)として成長していく。やがて“最強のバディ”となってまだ見ぬ世界を切りひらいていく姿が描かれる。


見上「りんは喜怒哀楽が豊かな女性」上坂「直美になり過ぎて、顔つきが変わったと言われます」

まずは演じる役の印象を聞かれると、

見上 「りんは家老の娘で、ぐでのびのびと育ったのですが、感情の揺れも激しい。いろんな喜怒哀楽の感情を持っている女性だと感じます。お芝居する際は、セットやアイテム、役から受け取るものを繊細に感じながら演じています」

上坂 「大家直美はとても人間味にあふれている女性です。生後まもなく捨てられ、牧師に育てられ、生きることに貪欲で、自分が生きるためならプライドを捨て、時にはうそをついたり、したたかで強い部分を持っている、とても格好いい女性だと感じます。その中にも不器用さがあったりして、りんと出会うことによってそのキャラクターが出てくるので、楽しみにしていてください」

と、それぞれの役への愛着を語った。

また、撮影期間も半年が過ぎ、価値観や自身の変化についての質問も。

見上 「撮影で看護婦の養成所に入って、実際に働き始めるシーンを撮ってみると、本当に1つのミスも許されず、その緊張感の中で看護とは何か、人としての正しさとは何かということを考えながら働くことは、すごいことなんだと感じました。医療従事者の方への感謝やリスペクトを改めて感じるようになり、その覚悟を余さずにきちんと演じなくては、と思っています」

上坂 「直美として生活している時間が今の自分の軸になっているので、直美のセリフの奥の部分まで感じるようになりました。“こんなとき、こう言うだろうな、こう行動するだろうな”と、直美の考えや行動が体に染み付いてきて、最近は顔つきが変わったと言われます」


見上「ものすごい速さでセットが変わることにびっくり!」

栃木県の那須で暮らすりんと、東京府(明治~昭和18)で暮らす直美。ふたりの人生が描かれる本作は、セットの切り替えも大変だという裏話も披露された。

見上 「たとえば金曜日にはりんの家を撮っていたはずなのに、次の火曜日にはもう病院が出来上がっていたり。その速さにびっくりしました。そして、明治時代の医療器具なども再現されていて、細かい部分もぜひ注目していただきたいです」

上坂 「衣装にも、それぞれの生きてきた環境が出ています。私が演じる直美はパッチワークのような古着。りんは武家の娘らしく華やかです。これから看護服も出てきますが、こちらもひとりひとりに合わせたオーダーメイドなので、楽しみにしていてください」

脚本家の吉澤によると“第1週と第2週はものすごいスピードで物語が進んでいく”。
初回からの見どころについて主演のふたりは

見上 「撮影は今、第10週くらいまで進んでいるので、いまになって第1週を見ると、りんが看護婦を目指そうと思った理由を改めて感じて、身が引き締まるような気持ちになりました。第1週、第2週はりんと直美のふたりが、看護婦になる決断をするのにすごく重要な週になります。苦しんでいる人が目の前にいたら、すぐに手を差し伸べたいというりんの思いはずっと変わらないんだな、と思います」

上坂 「直美は今の自分の環境に生きづらさを感じているんですが、りんと出会って視野がどんどん広がっていきます。明治時代の社会に偏見や壁がある中で、ふたりが出会うことで全てが始まっていくので、最初からぜひ見ていただきたいです」

と、第1週、第2週がこれからの物語の基盤となることをアピール。

さらに、ふたりの今後の関係を聞かれると、見上は「お互いが月であり、太陽」と表現。

見上「今回の2人の関係性は、どちらかが月の時は、もう1人が太陽になって照らすような関係です。支え合いを繰り返しながら成長していくので、最初は凸と凹が合うのかすらわからない。けれど、ふたりだからできることが広がっていく。そんな関係性を見ていただけたらと思います」

上坂は「第1週だけを見ると、本当にこのふたりは出会うのか? と感じるくらい、同じ時代を生きているのに全然違います。でも、ふたりが出会うことによって全てが始まっていきます」と、出会いの意味を語った。


吉澤智子「主人公はいつも正しいわけじゃない。間違える主人公にしたい」

脚本家・吉澤智子

「連続テレビ小説でバディものを書きたかった」と、念願かなった脚本家の吉澤。バディものにこだわった理由を聞かれると

吉澤 「一視聴者としてドラマを見ていると、女性同士の会話に違和感を覚えることがありました。普段、女性同士で会話をする時って、こんな綺麗きれいな言葉は使わないし、内容もこんな綺麗事は言ってない。親しいほど、もっと辛辣しんらつだったり、本音で言い合ったりします。はたから見ると『随分きついこと言ってるな』と言われるくらいなのが実際で、それを描きたいと思いました。
もうひとつ、主人公だからいつも正しいわけではない、間違えることもある主人公にしたいという思いもあって。バディものならお互いにつっこんでくれたり、訂正してくれたりできます。決して清く正しいわけじゃない、生身の女性が描けるのがバディものの魅力です」

と、その想いを披露。

制作統括の松園武大は、トレインドナースを今回のテーマに選んだ理由について「コロナ禍を経た今だからできる」と企画意図を語った。

松園 「第1週を見ていただけると、コロナ禍を経験した今と、その前では物語の感じ方が全然違っただろうと思っています。本作で描かれる明治時代は疫病が多く流行した時代で、数字でその惨状を見ることはできますが、そのときに一体どういうことが起こったのか、というイマジネーションは、2026年の今だからドラマに組み込むことができるのではないかと思いました。コロナ禍を振り返ったときに感じる問題意識のようなものを思い起こしていただける機会になるのではないか。何が正しくて何が間違っているかではなく、どれだけしんに向き合っていけるか、そこを見失わずにドラマを描きたいと思っています」


【物語のあらすじ】
明治18(1885)年、日本で初めて看護婦の養成所が誕生したのを皮切りに、次々と養成所が生まれた。そのうちの1つに、物語の主人公・いちノ瀬のせりん(見上愛)とおおなお(上坂樹里)は運命に誘われるように入所する。不運が重なり若くしてシングルマザーになった、りん。生まれてすぐ親に捨てられ、教会で保護されて育った直美。養成所に集った同級生たちは、それぞれに複雑な事情を抱えていた。手探りではじまった看護教育を受けながら、彼女たちは「看護とは何か?」「患者と向き合うとはどういうことか?」ということに向き合っていく。
りんと直美は、鹿鳴館の華といわれた大山捨松おおやますてまつ(多部未華子)や明六社にも所属した商人・みずさぶろう(坂東彌十郎)らと出会い、明治の新しい風を感じながら、強き者と弱き者が混在する“社会”を知り、刻々と変わり続けていく社会の中で“自分らしく幸せに生きること”を模索していく。
養成所卒業後、2人は同じ大学病院でトレインドナースとしてデビュー。まだ理解を得られていない看護の仕事を確立するために奮闘の日々を送っていたが、りんは程なくして職場を追われることに。一方、直美は誰もがひとしく看護を受けられる仕組みを考え始めるが……。
やがて、コレラや赤痢などさまざまな疫病が全国的に猛威をふるい始める。一度は離れ離れになった2人だったが、再び手を取り、疫病という大敵に立ち向かっていく。

※実在の人物をモチーフとしますが、激動の時代を生きた2人のナースとその仲間たちの波乱万丈の物語として大胆に再構成します。登場人物名や団体名などは一部改称して、フィクションとして描きます。原作はありません。


2026年度前期 連続テレビ小説「風、薫る」全26週(130回)

3月30日(月)放送開始
毎週月曜~土曜 総合 午前8:00~8:15ほか
NHK ONEでの同時・見逃し配信予定(ステラnetを離れます)

脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
音楽:野見祐二
主題歌:Mrs. GREEN APPLE 「風と町」
出演:見上愛、上坂樹里 ほか
語り:研ナオコ
制作統括:松園武大、宮本えり子
プロデューサー:葛西勇也、松田恭典
演出:佐々木善春、橋本万葉、新田真三、松本仁志 ほか

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