いちりん(見上愛)の2歳年下の妹で、父・しん右衛もん(北村一輝)と母・美津(水野美紀)から大きな愛情を受けて育ったやす。彼女はりんの幸せを願う一方で、いつか良家の「奥様」になることを夢見ながら自身の人生を歩もうとしている。そんな安を演じている早坂美海は、初めての出演となる連続テレビ小説の撮影現場に、どのような思いを持って臨んでいるのだろうか。


“朝ドラ”初出演が決まって、宝くじに当たったような気持ちに

――連続テレビ小説初出演となりますが、出演が決まったときの気持ちはどんなものでしたか?

“朝ドラ”は小さいころからずっと見てきた憧れで、夢のような世界でした。最初に聞いたときは喜びよりも先に驚きが来て、まるで宝くじが当たったような、それほど信じられない気持ちになりました。主人公の妹役ということにもびっくりしました。昨年放送されていた「あんぱん」もそうでしたが、有名な方々が演じてきたポジションでもあるので、「私でいいのかな?」という思いが強かったですね。でも、スタッフ・キャストの皆さんが明るく迎えてくださって、今はとても楽しく撮影しています。

――安の人物像については、どのように受け止めていますか?

基本的には、明るく、家族のことをよく見ている賢い子だな、と台本を読んで感じました。撮影を重ねる中で、その印象はさらに強くなっています。例えば“玉の輿こしに乗る”というようなことを常々口にしていて、お姉ちゃんが乗り気でない縁談話にも「私が」とアピールしたり。人生の幸せを手に入れるための最良の方法を考えて、行動に移せるところが、とても賢い子だなと思っています。

――安の「奥様になりたい」という言葉には、どんな夢が込められているのでしょうか?

安にとっては専業主婦になることが憧れで、セリフにもありましたが「女はどこに嫁ぐか次第」。裕福な家の奥様になることが“上がり”なんです。その点では、お姉ちゃんとは考え方が真逆なのかな、と感じています。次女らしいというか、お姉ちゃんの言動を見て自分なりに考えながら、“奥様”を夢見てきたのだと思います。

――安と早坂さんご自身に、共通点はありますか?

私にも2つ上の姉がいて、とても仲がいいので、姉妹関係には重なる部分があります。安のお姉ちゃんに対する気持ちは、等身大で演じられているように思います。私の姉も、りんさんのように自分のやりたいことを貫くタイプなので、そこもすごく似ていて。ふだんの感情のまま、現場でも安でいることができています。
性格面では、常に積極的な安に比べると、私は人見知りでおとなしいほうなので、あまり似ていないかもしれません。

――人見知りとのことですが、積極的な安を演じることで影響されるところはありますか? あるいは、切り替えるスイッチがあったりしますか?

影響はありますね。シーンの撮影が終わって、スタジオの前室に戻ったあとは、自分の中では安のままでいるので、ほかの撮影現場よりもいろんな方とおしゃべりできている気がします。スイッチは、何だろう……スタジオに入る前に、ワイヤレスマイクをONにするときに音が鳴るんですけど、それが鳴ってスタジオに入ると自然に安に切り替わる感じです。


お姉ちゃんにしか見えない見上さんに頼ればいいと思いました

――クランクインの栃木ロケ初日は、第1回の「りんと一緒に畑沿いの道を歩く」シーンでした。そのときの印象は?

主演の見上愛さんと2人だけの撮影だったので、緊張していました。監督さんから「緊張しているでしょ」と何回も言われてしまいました(笑)。見上さんからもそう言われて、とにかく緊張の連続でした。見上さんが、本当に“りんさんそのもの”だったので、「ああ、お姉ちゃんだ。頼っていけばいいんだな」と思ったことを覚えています。
人生初の畑シーンだったのですが、とても暑い日だったうえに着物をたくさん着込んでいたので、とにかく暑かったですね(笑)。

お母さんの美津役・水野美紀さんは、私が言うのも申し訳ないんですけれど、結構おちゃな方で(笑)。美津さんと2人で外にいるシーンを撮ったとき、地面に猫じゃらしがいっぱい生えていて、そこに座っていたんです。そしたら、猫じゃらしを「はい」と手渡してくれて、「こうやって回せるんだよ~」って(笑)。本当にお母さんのようでした。


かつらも着物も、今は“一体”

――明治時代が舞台の作品ですが、撮影に入るにあたって、どんな準備をされましたか?

方言がとても大変でした。栃木ことばは、それほど極端ではなくて、指導の先生から「真ん中」と言われているのですが、それが難しくて。私は、なまりが強くなりすぎちゃうんですよ。グラデーションをつけるのが本当に難しくて、時々、自分が何をしゃべっているのか、わからなくなってしまうことも(笑)。その都度つど、指導していただいています。

――明治時代の衣装、着物などを実際に着て感じた印象を聞かせてください。

最初は、かつらも着物も重くてかなりつらかったんですけれど、スタジオ撮影が始まったころから、かつらに対して重い、辛いという感覚がなくなって、今は本当に“一体”。そこまで自分が慣れてきたことをうれしく思っています。


日々の撮影は、ワークショップに参加しているかのよう

――朝ドラの撮影現場で、早坂さんは日々どんなことを感じていますか?

例えとして合っているかわかりませんが、ワークショップをしているみたいな気持ちになります。リハーサルや本番前のテストで、監督から「こうしてみたら?」と言われたり、ほかの方に提案されているのを聞いて「そういう考えもあるんだな」と、すごく視野が広がります。見上さんも自分のお芝居に対して「自分がこう動いたら、りんの感情がもっと伝わるんじゃないか」と常に考えていらして、それを言葉にして伝えてくださる。皆さんで作り上げていることが肌で感じられて……この作品を経験して、次のお仕事では自分がどう変わっているんだろう? と、とても楽しみです。安の姿を映像で見て、緊張しかなかった最初のころに比べたら、美津さんやりんさんと私で家族になれている感じがしていて……。これからもっともっと家族のいろいろな絆が、物語の中でより見えてくるんじゃないかなと思っています。

――りんを演じていらっしゃる、見上愛さんの印象は?

すごく明るくて、私が「おはようございます」と言いながらスタジオに入ると、いつも見上さんの笑い声が聞こえてきて(笑)。笑顔で話しかけてくださって、本当にお姉ちゃんみたい。
本番前に「用意」と言われるまでは、コロコロと笑っていらっしゃるのに、「スタート」の声がかかった瞬間にりんさんでしかないので、「すごいなぁ」という言葉しか出てこないし、尊敬しかないです。