今秋始まった連続テレビ小説「ブラッサム」。主人公のモデルとなった作家・宇野千代は、ファッション雑誌の編集やモデル、着物デザイナーなど幅広い分野で活躍しました。98年にわたる波乱万丈の人生を支えた千代の“底力”とは?
千代の大ファンで芥川賞作家の綿矢りささん(42歳)が、千代の故郷・山口県岩国市でその魅力を語りました。
聞き手 ちひろ(シンガーソングライター)
長野亮(アナウンサー)
この記事は月刊誌『ラジオ深夜便』2026年11月号(10/16発売)より抜粋して紹介しています。
惚れたら電光石火、禁断の恋も赤裸々に
長野 千代さんは数々の恋愛経験を自身の作品に投影したことでも知られています。17歳で女学校を卒業後、尋常小学校の代用教員になるのですが、そこから流浪の人生が始まるわけですね。
綿矢 同僚の先生を好きになってしまって、教え子に相手への恋文を届けさせたんです。それが知れ渡ってしまい問題になり、懲戒免職のような形で学校を辞めることに。そのうわさが広まって岩国にもいられなくなった。
長野 岩国を追われた千代さんは、傷心のまま朝鮮半島へ渡り、帰国後、いとこと結婚して北海道で暮らすようになります。そのころ応募した懸賞小説で1等になったことが作家デビューのきっかけになるのですが、東京で出会ったのが、2等だった尾﨑士郎。彼と恋に落ちて、そのまま北海道には帰らなかった。
綿矢 惚れたら電光石火(笑)。その行動力もさることながら、自身の恋愛事情を小説やエッセーに書き残せるのがすごいと思うんです。家族を捨てて別の人との恋を選ぶわけですから、後ろ指をさされることもあるじゃないですか。女性心理としては、そういうことをできるだけ隠しておきたいのに、書いてしまうんだという驚きがあります。
ちひろ しかも、割とあっけらかんとした感じで赤裸々に書かれているんですよね。
綿矢 そのせいで“宇野千代は男好き”というイメージが定着してしまい、揶揄されたり厳しい視線を向けられたりしたこともありました。ただ、赤裸々に書くといっても不倫を正当化したり開き直ったりはしていないんですよ。前夫には本当に申し訳ないことをしたというようなことも書き残されていて。
※この記事は2026年1月14日放送「綿矢りさと語る 宇野千代の“底力”」を再構成したものです。
厳格な父との関係、芸術への情熱から生まれた恋、そして苦難を力に変えた幸福論――。宇野千代の魅力を綿矢さんがたっぷりと語ります。続きは、月刊誌『ラジオ深夜便』11月号をご覧ください。
11月号にはこのほか、修験道の行者である金峯山修験本宗管長・五條良知さんのインタビューを、カラー写真とともに掲載。さらに、5号連続企画「『深夜便』で読む戦争」第4弾として、過酷なシベリア抑留を生き抜き、“戦友の遺骨を家族のもとに帰したい”と願い続ける100歳の吉田欽哉さんのインタビューもご紹介しています。

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