2月24日、東京・渋谷のNHK放送センターで2027年放送の大河ドラマ「逆賊の幕臣」の記者会見が開かれた。
松坂桃李が演じる小栗忠順を支えた家族として、父・忠高役に北村有起哉、母・くに役に鈴木京香、妻・みち役に上白石萌音、そして、井伊直弼役に岡部たかし、安積艮斎役に中村雅俊が新たに発表。
会見には、新たなキャストとともに、主演の松坂桃李、制作統括の勝田夏子も出席。和やかに会見が進んだ。

小栗忠順の成長をどのように支え、見守っていくのかに注目!
まずは制作統括の勝田から新たな役柄と小栗忠順との関係や、見どころが語られた。
勝田「新たに小栗(忠順)さんの家族と、メンターのお2人を発表する運びとなりました。みなさん、演技派ぞろいでとても贅沢な布陣をお迎えすることができてうれしく思っています。
このドラマは、幕末の激動の時代、日本の危機をせき止めるために小栗忠順という幕臣が奔走して奮闘する姿を描くスリルとサスペンスの物語です。今回発表した家族たちは、ちょっとほっとする場面であったり、親子の情愛に感動する場面であったり、違う色合いでお楽しみいただけるシーンでの登場が多いかなと思っています。堅物の主人公・小栗(忠順)さんと女性陣とのシーンなども楽しんでいただけるのではないかと思います。そして、家族の中で秘密を持つ父・忠高(北村有起哉)の知られざる顔を忠順が知っていくというところも見どころになっています。
また、メンターの1人である幕末の超有名人・井伊直弼は、忠順を遣米使節に取り立てて幕政の中心に引き上げた人物なんです。この2人がどのような関係になっていくのかというところも注目していただければと思います。
もう1人のメンター・安積艮斎ですが、なかなか名前を聞いたことがない方が多いと思いますが、大河ドラマ『龍馬伝』の時に香川照之さん扮する岩崎弥太郎が『俺は江戸にのぼって安積艮斎先生の塾に入るんだ』ということを盛んに言っていたほど、当時、儒学者として有名な方でした。儒教というと古めかしいイメージを持たれがちですが、実は蘭学が入ってくる前は、儒教とか漢文などを通じて西洋の情勢をいち早く察知していました。その先生の薫陶を受けながら忠順が成長していく師弟関係も楽しみにしていただければと思います」

会見に出席した松坂は、新たな出演者が発表されての感想を聞かれると、
松坂「興奮と安心が同時に押し寄せてきています。これだけ現場で心強い方はいらっしゃいませんし、これだけ多くの刺激をもらえるんだ、わくわくするなと思える方たちはいません。撮影はもう少し先ですが、クランクインが待ち遠しいです」
と興奮を隠せない様子。
そして、新たな出演者たちも、

北村「一見温厚で昼行燈な入り婿の父・忠高を演じます。主人公・忠順が激動の時代を切り開いていくためのきっかけを作ってあげられればと思っています。飛行機に例えるなら、忠順が飛行機で、僕はその滑走路を作ってあげる、と。あまりきれいにつくった滑走路はつまらないから、ちょっと凸凹したような感じにして作れたらなと(笑)。みごとに飛び立っていってほしいなと思います」

鈴木「(松坂)桃李くん演じる忠順の母・くにを演じます。桃李くんの母親役をやらせていただくのは朝ドラの『わろてんか』以来になります。当時からきれいでまっすぐな瞳が印象的でした。その桃李くんが激動の時代にどのように日本の未来を見据えて進んでくれるのか、とても楽しみにしています。みんな(家族)の成長を後押しできるようなすてきな母親になれるようにと思っています」

上白石「オタクならではの鑑識眼で、夫である忠順の歩むべき『道』を照らす妻を演じます。大河ドラマで奥さんを演じられる日がくるなんて、うれしさと同時に緊張もしていました。でも、今日、みなさんと会ってみると、とても温かさを感じ、今は早く撮影が始まらないかなとワクワクしています」

岡部「忠順を見出した先見的リーダーでもある大老・井伊直弼を演じます。とても厳ついイメージを持つ人物ですが、いただいた資料などを拝見しますと、けっこう苦労人でもあったようです。みんなが思っている一面だけではなく、多面的なイメージもあるかと思うので、しっかり読み込んでみなさんと一緒にお芝居で表現できたらなと思っています」

中村「儒学者として私塾を構え、忠順の師となる安積艮斎を演じます。依頼を受けたときは、安積艮斎という人物がよくわからず、戸惑いを受けていました。でも、かつて安積艮斎の役を演じた方がいないということを知り、中村雅俊そのもので色をつけていいんじゃないかと勝手に思っています。これはやり放題だなと(笑)。今回のキャストとともお話をさせていただきまして、このメンバーだったらいいものを作るために頑張れるそんな“直感”みたいなものを感じました」
と、それぞれの思いや、意気込みを語ってくれた。
そして、改めて意気込みを聞かれた松坂は、
松坂「北村さんが作ってくれた凸凹した滑走路をうまく飛び立てるようにチーム一丸となって仲良く、情熱をもって愛を注ぎながらこの作品に向き合って、最終的には観てくださる皆さんに届けることができたらいいなと思っています」
と締めくくった。
明治新政府に「逆賊」として闇に葬られながらも、「明治の父」「勝海舟のライバル」と呼ばれる小栗の知られざる活躍を描く「逆賊の幕臣」。放送は、小栗忠順生誕200年の2027年を予定している。
新たな出演者のプロフィールと役柄
一見温厚で昼行燈な入り婿の父。その胸中の秘密とは?
小栗忠順の父・小栗忠高役/北村有起哉
【大河ドラマ出演歴】5作目
第44作「義経」(2005年)…五足役
第50作「江〜姫たちの戦国〜」(2011年)…豊臣秀次役
第52作「八重の桜」(2013年)…秋月悌次郎役
第57作「西郷どん」(2018年)…大山格之助役

江戸幕府の「文政の三傑」と称えられ、外交や経済にたけた敏腕旗本・中川忠英の四男として生まれる。家督を継がない身ゆえ、中川家と付き合いのあった小栗家の婿養子となった。小栗家は、徳川家の中でも古参の家臣として「又一」の名を代々継承する旗本の名家。その誉れを絶やさぬよう、忠高は温厚かつ実直に当主の務めを果たす。跡取りの忠順には、儒学者の安積艮斎に学ばせ、「型から外れるな」と教育する。しかしその心の内には、中川の父より受け継いだある思いを秘めていた……。
【プロフィール】
きたむら・ゆきや
1974年生まれ、東京都出身。98年、映画『カンゾー先生』、舞台『春のめざめ』でデビュー。主な出演作に、映画『太陽の蓋』『すばらしき世界』『鬼平犯科帳 血闘』『逆火』、ドラマ「ムショぼけ」「たそがれ優作」「小さい頃は、神様がいて」「リブート」、舞台『願いがかなうぐつぐつカクテル』など。NHKでは、連続テレビ小説「わろてんか」「エール」「おむすび」、土曜ドラマ「君たちに明日はない」、木曜時代劇「ちかえもん」、ドラマ10「半径5メートル」、夜ドラ「事件は、その周りで起きている」などに出演する。
旗本のプライドを心に刻み、「家」とともに生きる母
小栗忠順の母・くに役/鈴木京香
【大河ドラマ出演歴】7作目
第28作「翔ぶが如く」(1990年)…和宮役
第32作「炎立つ」(1993〜1994年)…菜香役
第39作「葵 徳川三代」(2000年)…細川ガラシャ役
第43作「新選組!」(2004年)…お梅役
第55作「真田丸」(2016年)…北政所役
第61作「鎌倉殿の13人」(2022年)…丹後局役

小栗家11代当主・忠高の妻であり、忠順の母。小栗家に生まれ育った家付き娘として、家を守る意識が誰よりも強い。婿養子の忠高が地味で穏やかな一方、くには歯に衣着せぬ物言いで家内を取りしきる。先祖が神君家康公に「またお前が一番槍か」とほめられ賜った「又一」の名の重みについて、毎年変わらぬ熱量で忠順や家臣たちに話して聞かせる。強く明るくたくましく、小栗家の太陽のような存在。やがて戊辰戦争が始まり、隠遁先の上州に忠順を狙う追っ手が迫る時、この母が最後まで家を守り抜く。
【プロフィール】
すずき・きょうか
1968年生まれ、宮城県出身。89年、映画『愛と平成の色男』でデビュー。主な出演作に、映画『ラヂオの時間』『血と骨』『沈まぬ太陽』『おかあさんの木』、ドラマ「王様のレストラン」「夜行観覧車」「人間の証明」「冬芽の人」「グランメゾン東京」、舞台『巌流島』『大人のけんかが終わるまで』など。NHKでは、連続テレビ小説「君の名は」「わろてんか」「おかえりモネ」などに出演、ドラマ10「セカンドバージン」は映画化するほど人気を博した。「第28回日本アカデミー賞」最優秀主演女優賞、「第42回ブルーリボン賞」主演女優賞など受賞多数。
オタクならではの鑑識眼で、夫の歩むべき「道」を照らす妻
小栗忠順の妻・みち役/上白石萌音
【大河ドラマ出演歴】4作目
第50作「江〜姫たちの戦国〜」(2011年)…徳川和子役
第57作「西郷どん」(2018年)…西郷清役
第60作「青天を衝け」(2021年)…篤君(天璋院)役

播磨国林田藩の8代藩主、建部政醇の娘として江戸に生まれ育つ。珍しい物や道具を好む父の影響か、その形や寸法、由緒などを記録し、家計の帳簿をみずから好んでつけ、量距尺と呼ばれる物差しを持ち歩く、今で言うオタク。親同士の取り決めで小栗家に嫁ぐが、同じく記録魔で道具好きの忠順とすっかり意気投合。人の顔色が読めず、感情表現の苦手な夫のよき相談役となっていく。気位の高い義母・くににも物おじせず、さっぱりした性格だが、なかなか子供には恵まれず、妻としてひそかに思い悩む。
【プロフィール】
かみしらいし・もね
1998年生まれ、鹿児島県出身。2011年、第7回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞して注目される。主な出演作に、映画『舞妓はレディ』、『ちはやふる』シリーズ、『君の名は。』、『夜明けのすべて』、ドラマ「恋はつづくよどこまでも」「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」、舞台『ダディ・ロング・レッグズ』、『千と千尋の神隠し』など。NHKでは、第72回NHK紅白歌合戦、連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」、「令和元年版 怪談牡丹燈籠Beauty&Fear」などに出演。「第45回エランドール賞」新人賞、「第48回日本アカデミー賞」優秀主演女優賞など受賞多数。
「守るための攻め」を決断、小栗を見出した先見的リーダー
小栗忠順の上司・井伊直弼役/岡部たかし
【大河ドラマ出演歴】6作目
第49作「龍馬伝」(2010年)
第52作「八重の桜」(2013年)
第55作「真田丸」(2016年)…大井政吉役
第57作「西郷どん」(2018年)…林玖十郎役
第60作「青天を衝け」(2021年)…大倉喜八郎役

彦根藩11代藩主、井伊直中の十四男として誕生。跡継ぎの「予備」として生きる自身の屋敷を「埋木舎」と名付け、禅、和歌や国学、居合に兵学、茶の湯など文武諸芸を磨いた。36歳で急転直下、13代藩主に就任。幕政に意見できる「溜間詰」大名の筆頭となった。ペリー来航時には、大名の多くが鎖国を主張するなかで富国強兵のための開国を主張する。交易拒絶の攘夷派の勢いが増すなかで大老に就任すると、朝廷の許可を得ずにアメリカとの通商条約を締結。小栗忠順を遣米使節に抜擢する。
【プロフィール】
おかべ・たかし
1972年生まれ、和歌山県出身。上京後は劇団東京乾電池に入団。劇団退団後は、城山羊の会をはじめ数多くのプロデュース公演に出演する。主な出演作に、映画『花束みたいな恋をした』『この夏の星を見る』『秒速5センチメートル』、ドラマ「エルピス」「ハヤブサ消防団」「しあわせな結婚」など。NHKでは連続テレビ小説「ひよっこ」「ブギウギ」「虎に翼」「ばけばけ」、土曜ドラマ「17才の帝国」、夜ドラ「あなたのブツが、ここに」、「軍港の子〜よこすかクリーニング1946〜」「ストレンジャー~上海の芥川龍之介~」などに出演。
列強はそこに迫る! 鎖国日本に危険信号を灯した、小栗の師
小栗忠順の恩師・安積艮斎役/中村雅俊
【大河ドラマ出演歴】6作目
第15作「花神」(1977年)…高杉晋作役
第19作「おんな太閤記」(1981年)…豊臣秀長役
第23作「春の波濤」(1985年)…川上音二郎役
第27作「春日局」(1989年)…徳川秀忠役
第42作「武蔵 MUSASHI」(2003年)…真田幸村役

陸奥国郡山にある安積国造神社の三男として生まれるが、若くして江戸に学び、儒学者として私塾を構える。縁あって小栗忠高と交流を深め、息子の忠順も艮斎に学んだ。ペリー来航より5年も前、西洋列強による侵略の危険性を説いた『洋外紀略』を著し、その先見性に惹かれて吉田松陰など若き知識人が塾に殺到。やがて幕府の昌平坂学問所の教授に抜擢され、当代随一の学者となる。ペリー来航時には、漢文で書かれたアメリカの国書翻訳も担当。気さくで柔和な人柄だが、過去にある古傷を抱えている。
【プロフィール】
なかむら・まさとし
1951年生まれ、宮城県出身。74年、ドラマ「われら青春!」で俳優デビュー。ドラマ挿入歌「ふれあい」で歌手としてもデビューする。主な出演作に、映画『夜逃げ屋本舗』シリーズ、『60歳のラブレター』、ドラマ「俺たちの旅」「陽の当たる場所」「終幕のロンド」など。2026年は初監督の映画『五十年目の俺たちの旅』で主演を務めた。NHKでは、連続テレビ小説「おしん」「半分、青い。」、木曜時代劇「風の峠~銀漢の賦~」などに出演。4Kドラマ「おもかげ」では主人公・竹脇正一を演じた。
【出演者発表にあたって/制作統括・勝田夏子チーフ・プロデューサーのコメント】
今回、主演の松坂桃李さん、そしてライバル・勝海舟役の大沢たかおさんに続き、すばらしい実力派キャストの皆さんを発表できることを大変うれしく思っております。
一見穏やかながら裏に秘密を抱える父・忠高役の北村有起哉さん。変幻自在の演技力で、その二面性を鮮やかに表現してくださるはずです。誇り高き武家の母・くにを演じるのは鈴木京香さん。明るさとたくましさの中にある繊細な母心や、凛とした覚悟を演じきってくださることでしょう。ちょっとオタクな妻・みちは上白石萌音さん。柔らかさと芯の強さ、知性と品格を兼ね備えたその魅力は、まさにハマり役。義母のくにとのシスターフッドもお楽しみに。さらに、幕府で小栗を引き上げる井伊直弼には岡部たかしさん。連続テレビ小説「ばけばけ」とは打って変わったシビアかつシリアスなお芝居で、じっくり魅せて頂きます。そして小栗の儒学の師・安積艮斎に中村雅俊さん、実に24年ぶりの大河ドラマご出演です。人のいい人格者と思いきや、意外な過去に苦しむ知の巨人の貫禄と揺らぎが見どころです。
名手・安達奈緒子さんの脚本は、それぞれのキャラクターの多彩な顔に迫っていきます。手練れのキャスト陣による重層的な人間ドラマに、どうぞご期待ください。
2027年大河ドラマ「逆賊の幕臣」
2027年1月~放送予定
【物語】
万延元(1860)年。小栗忠順は、日本初の遣米使節団の中核として米艦ポーハタン号に迎えられ、大海原に乗り出す栄誉を得ていた。一方、日本の軍艦として随行する咸臨丸の勝海舟は、体調不良で船室から出ることができず、米軍士官に指揮権を譲渡するという屈辱に震えていた。
だが後世、偉業として語り継がれているのは「咸臨丸」の方だ。なぜなら小栗は、明治新政府に「逆賊」と見なされ、歴史の闇に葬られたからである――
小栗を最初に取り立てたのは、大老・井伊直弼だった。黒船来航により日本が世界経済の渦に巻き込まれ混乱が増す中、武士には珍しく金勘定や数字に強く、上役にも直言する小栗に目をつけたのだ。小栗は遣米使節として西洋文明を目の当たりにし、外国に飲み込まれない近代国家づくりを急ごうと決意する。
しかし、それは容易なことではなかった。井伊の暗殺、朝廷による開国拒否、生麦事件など攘夷
事件の続発。そしてその賠償金や、皇女・和宮の降嫁、将軍の上洛、長州征討などが、財政の逼迫に拍車をかける。更に西郷隆盛ら薩長の志士たちや島津家など大大名が幕政に干渉し、インフレや格差に苦しむ民衆は暴動を起こす。そんな中で、列強が軍事力を背景に国の独立を脅かしてくるのだ。
小栗は財政・外交・軍事を預かる要職を歴任しながら、侵略の危機と国内の分断を食い止めようと奔走する。やがて起死回生の策としてフランスから支援を取り付け、改革の加速を狙うが、協調していたはずの将軍・徳川慶喜の本心が徐々に見えなくなっていく。そんななか勝は、薩長やイギリスとも気脈を通じながら、独自の近代化路線を構想していた。
片や堅物のエリート、片や人たらしの叩き上げ。何もかも対照的な小栗と勝だが、2人とも開明派で幕府内では疎まれながら、事態が窮すると結局は頼られ、利用された。また、やるべきことをやればやるほど敵を増やし、命さえ狙われるところもやけに似ていた。
自分にない才を互いに見て取り、対立しながらも一目置き合っていた2人。だが、幕府を「改良」して人々を束ねる「仕組み」を作りたい小栗と、幕府を「解体」してでも実力ある「個人」を活躍させたい勝、その運命は大きく分かれていく……。
作:安達奈緒子
主演:松坂桃李(小栗忠順役)
時代考証:岩下哲典、門松秀樹
制作統括:勝田夏子、深川貴志
プロデューサー:大越大士、南野彩子、藤原敬久(展開・プロモーション)
演出:西村武五郎、末永創、川上剛、田中諭 ほか
公式Xアカウント:@nhk_taiga2027
公式Instagramアカウント:@nhk_taiga2027
ハッシュタグは #逆賊の幕臣