小栗忠順生誕200年にあたる2027年の大河ドラマ「逆賊の幕臣」。
このたび、新たな出演者として勝海舟役を大沢たかおさんが演じることが発表されました。
大沢さんからコメントが届きました。


主人公・小栗と最も対極にいながら最も理解し合ったライバル
ハッタリ屋の貧乏旗本から幕末の英雄へ――
果たしてこの男は、敵か、味方か?

勝海舟役/大沢たかお

大河ドラマ出演歴「花の乱」「花燃ゆ」

「幕臣」とは名ばかりな無役の貧乏旗本出身。苦労しながら蘭学を身に着け、今に名高い「
かんりん
丸」艦長として「日本人初の太平洋横断」を成し遂げる。しかしそれは、小栗たちが率いる幕府初の遣米使節団に随行してのことだった。
たたき上げならではの大胆さでハッタリもかまし、西郷隆盛ら英傑とも交わりつつ幕府内で浮き沈みを繰り返すが、最後には「江戸無血開城の英雄」として名を残す。
エリートの小栗とは圧倒的な身分の差があったが、開明派同士で時に手を組み、西洋列強の脅威に立ち向かう。だが、やがてその道は大きく分かれていく――

【プロフィール】

おおさわ・たかお

東京都出身。ドラマ「星の金貨」(1995)で注目を浴び、映画『解夏』(2004)で日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞して、演技力が高く評価される。ドラマ「JIN-仁-」(2009)では続編も制作されるほど人気を博した。映画『キングダム』シリーズ(2019、2022、2023、2024)では王騎役で話題となり、第48回日本アカデミー賞 最優秀助演男優賞を受賞。ドラマにもなった映画『沈黙の艦隊』(2023)と続編『沈黙の艦隊 北極海大海戦』(2025)では、主演およびプロデュースを務める。NHKでは近年、NHKスペシャル「未解決事件」シリーズの「帝銀事件」(2022)・「下山事件」(2024)において松本清張役を熱演。第67回ブルーリボン賞など受賞多数。

【大沢たかおさんのコメント】
この度、2027年大河ドラマ「逆賊の幕臣」にて、勝海舟を演じさせていただくことになりました。
本作は、これまで“維新の英雄たちの物語”として語られることが多かった幕末の歴史を、“逆賊”と呼ばれた幕府の人々の視点から描く作品です。
勝海舟は、小栗忠順ただまさらと共に歴史の変革期に諸外国や倒幕派と真正面から向き合い、日本の未来を見つめ行動した人物でした。
激動の時代に、何を信じ、どう未来へ希望の橋をかけるのか。
その問いは、今を生きる私たちにも通じるのではないかと感じています。
海舟が抱き続けた信念と向き合い、心を込めて演じていきたいと思います。


既発表 主演・小栗忠順ただまさ役/松坂桃李

©廣瀬靖士

【松坂桃李さんのコメント】
この仕事を始めて間もない頃、『GOEMON』という映画で大沢さんの霧隠才蔵を観て、あまりのかっこよさにしびれて動けなかったのを、今でも思い出します。
今回、勝海舟役として大沢さんのお名前を聞いた時にはうれしくて心躍りました。
小栗にとって、同志でありライバル的な存在でもある勝海舟を、どのように見せてくださるのか、今から楽しみで仕方しかたありません。お互いの存在や考えを感じつつ演じていければと思っています。
大沢さんと共に「逆賊の幕臣」を創り上げていけることを誇りに思います。


【出演者発表にあたって/制作統括・勝田夏子チーフ・プロデューサーのコメント】

小栗忠順の名を初めて聞くという方も、勝海舟はご存じでしょう。2人は「ライバル」と呼ばれてきました。司馬遼太郎も、2人を「明治の父」と並び称しています。小栗は2500石の知行地を持つエリートで「持てる者」、勝は禄高41俵の「持たざる者」。このドラマでは、同じ幕臣でありながら圧倒的な格差があることを恨む勝がいる一方、制度のど真ん中にいるために「しきたり」を乗り越えることが許されず、勝の身軽さをうらやむ小栗がいます。

西洋列強の脅威が日本に迫る中、時に同志となり、時に対立しながらも、お互い誰よりも理解しあっている……
2人のアンビバレントでスリリングな関係を、松坂桃李さんと大沢たかおさんに演じて頂けることに今からぞくぞくする一方、身の引き締まる思いです。
ハングリーだが飄々ひょうひょうとしていて、人たらしだが計算高く、コンプレックスを内に秘めつつも自分で自分を大きく見せる術を心得ている――そんな人間くさい勝海舟を、英雄から繊細な役まで圧倒的魅力で生ききってこられた大沢さんがどう演じてくださるか、皆さまもどうぞご期待ください!


2027年大河ドラマ「逆賊の幕臣」

2027年1月~放送予定

【物語】
万延元(1860)年。小栗忠順は、日本初の遣米使節団の中核として米艦ポーハタン号に迎えられ、大海原に乗り出す栄誉を得ていた。一方、日本の軍艦として随行する咸臨丸の勝海舟は、体調不良で船室から出ることができず、米軍士官に指揮権を譲渡するという屈辱に震えていた。
だが後世、偉業として語り継がれているのは「咸臨丸」の方だ。なぜなら小栗は、明治新政府に「逆賊」と見なされ、歴史の闇に葬られたからである――
小栗を最初に取り立てたのは、大老・井伊直弼だった。黒船来航により日本が世界経済の渦に巻き込まれ混乱が増す中、武士には珍しく金勘定や数字に強く、上役にも直言する小栗に目をつけたのだ。小栗は遣米使節として西洋文明を目の当たりにし、外国に飲み込まれない近代国家づくりを急ごうと決意する。
しかし、それは容易なことではなかった。井伊の暗殺、朝廷による開国拒否、生麦事件など攘夷じょうい
事件の続発。そしてその賠償金や、皇女・和宮の降嫁こうか、将軍の上洛じょうらく、長州征討せいとうなどが、財政の逼迫ひっぱくに拍車をかける。更に西郷隆盛ら薩長の志士たちや島津家など大大名が幕政に干渉し、インフレや格差に苦しむ民衆は暴動を起こす。
そんな中で、列強が軍事力を背景に国の独立を脅かしてくるのだ。
小栗は財政・外交・軍事を預かる要職を歴任しながら、侵略の危機と国内の分断を食い止めようと奔走する。やがて起死回生の策としてフランスから支援を取り付け、改革の加速を狙うが、協調していたはずの将軍・徳川慶喜の本心が徐々に見えなくなっていく。そんななか勝は、薩長やイギリスとも気脈を通じながら、独自の近代化路線を構想していた。
片や堅物のエリート、片や人たらしの叩き上げ。何もかも対照的な小栗と勝だが、二人とも開明派で幕府内ではうとまれながら、事態がきゅうすると結局は頼られ、利用された。また、やるべきことをやればやるほど敵を増やし、命さえ狙われるところもやけに似ていた。
自分にない才を互いに見て取り、対立しながらも一目置き合っていた二人。だが、幕府を「改良」して人々を束ねる「仕組み」を作りたい小栗と、幕府を「解体」してでも実力ある「個人」を活躍させたい勝、その運命は大きく分かれていく……。

作:安達奈緒子
主演:松坂桃李(小栗忠順役)
時代考証:岩下哲典、門松秀樹
制作統括:勝田夏子
演出:西村武五郎、末永創、川上剛、田中諭