脚本家・岡田惠和が、芦田愛菜と岡山天音の2人をイメージして書き下ろしたオリジナル特集ドラマ「片おもい」が、3月26日(木)・27日(金)の2夜連続で放送される。

制作発表時に、岡田氏は「世界は片想いで出来ています。想いのほとんどはかなわぬ片想い。誰かから誰かへの。人生への、夢への片想いで、この世界はあふれています。せつなくてつらいだけでない、楽しく明るく尊い、むしろ片想い最高! 叶わなくても幸せ! みたいなドラマを書いてみました」とコメントしている。まさに「片想い最高!」と思える、人を想うよろこびに満ちあふれたドラマが完成した。

制作統括の黒沢淳は「この2人だからこそ、もっともピュアな純愛が描けると思い、この作品を制作しました。遠慮なく相手をずっと想い続ける優衣ゆいは芦田さんに。幼馴染おさななじみけんは深い演技で魅せる岡山さんに。脚本家の岡田さんも『この2人でなければダメだ』というほどにてきな作品になっています」と自信をのぞかせた。

クランクアップを迎え、主演の芦田愛菜に本作への思いを聞いた。


叶わなくても片想い最高! 好きでいる気持ちを肯定してくれる

――岡田さんの脚本は「ト書き」がとても多いと聞いています。脚本を最初に読んだ印象はいかがでしたか?

温かくて優しい世界観で、物語の雰囲気がすごく好きでした。岡田さんの脚本は、ぐさや動きのト書きだけでなくて、心理描写のト書きがたくさん書いてあるんです。そこには岡田さんの優衣への想いが詰まっていて、読んだときにとても可愛かわいらしくて、「なんて魅力的なキャラクターなんだろう! 」と感じて、その気持ちをドラマを見る皆さんにも伝えたいと思いました。

――「片想い最高! 叶わなくても最高!」という設定のおもしろさはどう感じていますか?

片想いって、つらいとか悲しいというイメージがあると思うんですけど、この作品はまったくそういう雰囲気ではなくて、優衣がすごくポジティブに、自分の「好き」という気持ちをまっすぐに持っているんです。ある意味、自己完結でもあるんですが、それくらい純粋に好きなものがあるって、羨ましいなと思いました。恋愛に限らず、すべてのものに対して「片想いだって別にいいんだよ」と、好きでいる気持ちを肯定してくれる。そこがこの作品の素敵なところだな、と思います。

――今回の作品は芦田さんと岡山さんを当て書きしたもの(俳優を前提にした脚本)なので、優衣に芦田さんらしさも感じますが、役づくりはどうされたのですか?

今回、お豆腐屋さんが舞台なのですが、クランクインの最初の撮影がお豆腐を作るシーンだったんです。大豆を蒸してすりつぶして丁寧にして。それを優衣がキラキラした目で見つめているというシーンで。そのお豆腐を作る工程が優しくて、触れたら壊れてしまいそうで美しくて、愛情を込めないと美味おいしいお豆腐はできないんだ、と思ったんです。あのシーンで、ピュアでやさしい時間を愛する、周りにも愛されてきた優衣という人が自分の中に現れてきた気がします。

――そんなピュアな優衣ですが「遠慮なく健二を想い続ける」役でもあり、「遠慮なく」という部分がとてもチャーミングです。どのような女性なのでしょうか。

優衣は幼馴染のケンケンが大好きで「好きだ」という全ての瞬間を大切にしています。結果を出すことや先のことを考えること、恋を実らせることも大事なんですが、優衣は今、その瞬間をまっすぐに受け止めて、片想いにも幸せを感じている。私自身も、優衣をとおしてすごく幸せな気持ちになりました。


岡山天音さんの距離感が絶妙で、興奮冷めやらぬまま家に帰った

――ケンケン役の岡山天音さんは初共演ですが、お芝居はいかがでしたか?

撮影が始まって2日目に、結構長い回想シーンの撮影があったんです。幼馴染で、かつ片想いをしているという距離感をうまく出せるか不安だったのですが、ド直球にボールを投げてくださるというか、自分では考えもつかないようなセリフの言い回しやお芝居をされて、本当に素敵な役者さんだなと感動しました。ストーンとお芝居が落ちていく感じがすごく気持ちよくて、衝撃を受けて興奮冷めやらぬまま家に帰った記憶があります。その後も、優衣を見ていないときの表情とか、ふとした瞬間に垣間かいま見える優しさとか本音の見せ方とか、岡山さんじゃなかったら絶対にあの空気感は出せなかったな、と思いますね。

――優衣のテンションの高さも見どころのひとつですが、演じる難しさはありましたか?

誰にも見られていないと思うと、ご機嫌で歌を歌っちゃったり、鏡を見て踊り出しちゃったり。絶対に見られたくないけど、そういう瞬間ってありますよね。私自身も思っていることが顔に出ちゃったりするし、1人で妄想してうれしくなるところもあるので、重なる部分はありました。優衣は気持ちを全力で表現するタイプなので、私も「みんなこういうこと、あるよね!」という気持ちで演じました。優衣はうれしかったり、急に不安になったりと感情の落差が激しい部分もあって、そこも可愛いくて面白いところなのでぜひ楽しんでいただきたいです。

――優衣に共感できる部分はありますか?

私は優衣ほどポジティブではないので、優衣から勇気をもらった気がします。叶わなくても、結果が出せなくても、自分の気持ちが大事。好きでいることをこんなに楽しんでいいんだ、と肩の荷が下りるような。誰かを振り向かせることよりも、自分の好きに意味がある。まずは自分の「好き」がなければ始まらないし、その過程を大切にするだけでもこんなに楽しくなるんだな、と優衣に教えてもらった気がします。恥ずかしがらずに家族にも友達にも気持ちを伝えていけたらいいな、と演じながらずっと感じていました。

――ずばり聞きます。ケンケンも優衣のことが好きなんでしょうか。

ケンケンはどう思っているか、岡山さんに聞いてみたんですが、まったく想像していない答えが返ってきました。どんな答えだったかはひみつです(笑)ドラマを見て想像してください。


【あらすじ】

優衣(芦田愛菜)とケンケン(健二/岡山天音)の家は盛岡市内の昔からの商店街にあり、隣同士。優衣は南部鉄器の店で働く母(羽田美智子)と2人暮らし。ケンケンの家は、豆腐屋を営むお父さん(矢柴俊博)とおばあちゃん(白石加代子)、それにケンケンの3人家族だ。2人はお互いの部屋の窓から顔を出せば、相手と話ができる、そんな距離でずっと育った。絵が得意なケンケンは、東京の大学を出て小さなデザイン会社で働いている。優衣にとってちょっと年上のケンケンは、あこがれの人でずっと片想い。優しくて笑顔がすてきで、一緒にいると幸せな気持ちになれる。
優衣は短大を出て地元の会社で働き始めたが、人数の少ない職場で慣れない仕事を抱えすぎてしまう。ある日、職場を逃げるように出てしまい、気が付けば東京のケンケンのところに来ていた。ケンケンはたまたま友達と家で集まっていて、そこにはきれいな女の人もいた。しかしケンケンは、優衣の表情を見て、皆をすぐに帰し、何も言わずに話を聞いてくれた。
一晩ケンケンの家で過ごし、心が回復した優衣は、正式に会社を辞めた。おりしもケンケンの実家のお豆腐屋さんで人手が足りず、大好きな豆腐屋で働くことになる。ケンケンの家で働けるなんて! 朝早くからの仕事も全く苦にならず、おばあちゃんと道の駅や得意先を回る車での配達も楽しい。毎日が充実し、幸せな優衣。そしてそんな時、突然ケンケンが帰ってくる。しかも東京に戻らず、こっちで豆腐屋をやろうと思う、と言う。何があったか気になるが、毎日一緒の職場で働けるなんて! と天にも昇る心地になる優衣。朝早くから豆腐を一緒に仕込み、配達に出かけ、毎日一緒の生活が始まる。いつまでもこの幸せな日々が続いてほしい、と願う優衣だったが……?!


特集ドラマ「片おもい」(前後編 2夜連続放送)

3月26日(木)・27日(金) 総合 午後10:00~10:45
NHK ONEでの同時・見逃し配信予定(ステラnetを離れます)

作:岡田惠和
音楽:ジンジャー・ルート
出演:芦田愛菜、岡山天音、武田玲奈、矢柴俊博、羽田美智子、白石加代子 ほか
制作統括:黒沢淳(テレパック)、髙橋練(NHKエンタープライズ)、磯智明(NHK)
プロデューサー:池澤辰也(テレパック)
演出:津田温子(NHKエンタープライズ)

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