りん(見上愛)は新潟へ。これまで、父との別れや嫁ぎ先の試練、看護婦としての苦難を乗り越えてきたりん。看護婦を辞めることになったが、それでも前を向くりんのこれから、そして直美(上坂樹里)との関係について、演じる見上愛が語った。
りんにとって直美は、看護婦仲間以上の“家族”

――新潟の生活が始まりました。りんにとって直美の存在は大きいと思いますが、2人の関係はこれからどうなっていくのでしょうか。
りんは誰にでも優しく、「常に元気でいなきゃ」と思う人ですが、直美には不機嫌な顔も見せられる。いろんな自分でいていいと思わせてくれる存在なんです。直美が「家族になる」と決めてからは、どこか(環の)お母さんのような表情になってきた気もします。新潟行きを決心させてくれた直美は、これからも看護婦仲間以上の家族として、りんを見守り続けてくれると思います。
――新天地でのりんは、どのような気持ちで過ごしているのでしょうか?
看護の仕事から離れ、少し落ち着いた雰囲気になったと思います。先生という仕事を、もう一度やり遂げたいという思いもある。ここでの経験が、この先のりんを支えてくれるはずなので、大切に演じたいです。

――新潟では、どんな先生を目指すのでしょうか。
帝都医大病院の学生たちは看護婦になるのが夢で、「自分の力で看護の仕事をするんだ」と決意を持っていて、りんの“正しさを追求する”というやり方に賛同できない人もいました。一方で、新潟の学生たちは「お嫁さんになること」が当然だと。その価値観の中で「こんな生き方もある」と背中で示す先生になっていくと思います。
――新潟ロケはいかがでしたか?
短いロケでしたが、撮影が終わって個人的に新潟を旅行したんです。そしたら地元の方々に「一ノ瀬りんさん!」と声をかけていただいて。「見上さんですよね?」と聞かれることはなく(笑)。それだけ皆さんが応援してくださっているのが、うれしかったですね。

ドラマに登場する飴屋さんにもご挨拶に行きました。明治から続くお店で、本当においしくて。食べたことのない食感で、これを明治の人は食べていたのかな、と思うと感動しました。
「What is nursing?」を考えるようになった

――帝都医大では、学生が辞めたり、末期ガンの山本さん(本田大輔)の死など、辛い出来事が続きました。どんな思いで演じられていましたか?
りんは「また間違えた」と悩み続けますが、看護婦になってからも自分を見失う瞬間が多かったと思います。元家老の娘として恵まれて育った分、多くの人に支えられてきたことに無自覚だった。看護婦取締になって初めて、「ひとりでは何もできない」と気づいて……。それは成長でもあり、同時に苦しさでもある。そんな「いろんなことがうまくいかない辛さ」が伝わるように意識して演じていました。

――「看護の仕事は奉仕ではない」とバーンズ先生(エマ・ハワード)も言っていました。見上さんご自身は、看護の仕事について、どのように考えるようになりましたか?
「看護婦としての正しさと、人としての正しさは違うことがある」という直美のセリフがありましたが、まさにそれがテーマだと思います。長い目で見ると、優しさだけでは患者さんのためにならないこともある。むしろ厳しさになっていた、ということがあります。りんは看護婦になってから「正しくありたい」と思っていましたが、そもそも正しさとは何なのかを考え続け“正しさ”はひとつではないと知ります。正しさは多面的で、その中で悩むのが看護の仕事だなと。患者さん本人やご家族、心と身体の両面を見ることの大切さを感じました。
――まさに「observe/観察する」ですね。
そうですね。撮影現場でも、「この動きは痛くないか」「いま手を差し出すべきか」と考えるようになりました。監修の看護師の方々に助けていただきながらですが、りんたちの“観察の精神”は、私たちもとても大切にしています。