
8月12日(水)夜10時に放送する特集ドラマ「手塚治虫の戦争」。
1970年代の東京。漫画家としてどん底にあった手塚治虫(高良健吾)は、自身の戦争体験をもとにした漫画『紙の砦』を描き始めます。少年誌の連載は打ち切られ、会社も倒産――すべてを失いかけたその時、なぜ手塚は“戦争”を描こうとしたのか。
執筆に挑む1970年代の手塚治虫と、戦時下を生きる彼の分身・大寒鉄郎(原田琥之佑)。漫画を描くことに生きる意味を見いだした2人の物語が、時代を超えて重なり合います。
このたびドラマのメインビジュアルが公開されました。
また、ドラマの音楽を原摩利彦さん、メインビジュアル、およびドラマ本編の漫画考証を三浦みつるさん、漫画指導をつのがいさんが担当します。
音楽:原 摩利彦

【原摩利彦さんのコメント】
あのような巨匠でもスランプがあったことが驚きました。本当に自分が描きたいものとは何かを考え、心の奥の方にしまっておいた思い出に目を向け直すことで不調の時期を乗り越えられたことに心を動かされます。
殴られたり、自由を奪われたりした戦時中の不条理を、ペンで漫画を描くことで作品へと昇華した手塚治虫。その姿を想像しながら、尊敬の気持ちを込め、そして手塚作品に見られる遊び心も忘れないように音楽を書きました。
【プロフィール】
はら・まりひこ
京都大学教育学部卒業。静けさの中の強さを軸に、ピアノを中心とした室内楽やフィールドレコーディング、電子音を用いた音響作品を制作。アーティストグループ「ダムタイプ」への参加をはじめ、野田秀樹、名和晃平、森山未來らの舞台作品、映画『国宝』『流浪の月』、羽生結弦『Prequel :Before the WHITE』など多岐にわたり音楽を手がける。NHKではドラマ「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」、「日曜美術館」テーマ曲(坂本美雨と共作)を担当。第49回日本アカデミー賞最優秀音楽賞・主題歌賞W受賞、日本レコード大賞特別賞など受賞歴多数。
漫画考証/ネーム(メインビジュアル):三浦みつる

【三浦みつるさんのコメント】
「手塚先生の原稿が燃えている……!!」
今回このキービジュアルのために、台本から1シーンを抜粋して新たに3ページのラフネーム(鉛筆書きの下絵)を作り、つのがい先生にペン入れをしていただいたドラマオリジナルの原稿です。
魂を込めて命懸けで描いた漫画が、夢や希望とともに戦禍によって踏みにじられ打ち砕かれる悲惨な戦争。それでも描き続ける鉄郎少年の漫画は、自分自身や周囲の人たちの生きる支えとなります。このドラマから手塚先生の平和を願うメッセージをぜひ受け取ってほしいと思います。
【プロフィール】
みうら・みつる
1954年横浜市生まれ。1972年週刊少年ジャンプにてデビュー。手塚治虫のアシスタントを経て、少年マガジン等にて連載開始。代表作『The♡かぼちゃワイン』が1982年TVアニメ化。本作品で第7回講談社漫画賞 少年部門受賞。他に『コンビにまりあ』(2001年TVドラマ化)『ココナッツAVE.』『レンズマン』他多数。現在は絵本・イラスト等を創作中。
(公社)日本漫画家協会 常務理事 (一社)マンガジャパン 監事
漫画指導/作画(メインビジュアル):つのがい
【つのがいさんのコメント】
このたびメインビジュアルの制作に携わらせていただくにあたり、手塚治虫先生の原作を読み返しました。何度も読んできた作品でしたが、戦争という時代の無慈悲さや、それでも命を見つめ続けるまなざしが改めて胸に迫り、手塚先生の作品の奥深さをあらためて実感しました。
また撮影現場を見学させていただいた際には、スタッフ・キャストの皆さんが細部までこだわり、一つひとつのシーンを丁寧につくり上げていく姿がとても印象的でした。作品への真摯な思いが詰まったこのドラマが、多くの方に手塚先生の平和への願いや、戦争を生きた人々の思いを届けてくれることを願っています。
【プロフィール】
つのがい
漫画家・イラストレーター。
静岡県浜松市出身、東京都在住。現地を行き来しながらグアムをテーマに南国や夏に関する作品を描く。CDジャケットやアーティストのグッズ、イベントアートなどさまざまな場面で活躍。フリーの作家活動と並行して、手塚プロダクション公式イラストレーターの1人としても活動している。2023年には約2か月におよぶグアムでの単独ロングラン個展ツアーを開催した。
【田島彰洋プロデューサーのコメント】
手塚治虫と大寒鉄郎。逆境の中でも描くことをやめなかった2人の情熱。創作の原点となった少年時代のみずみずしさ。そして、時間も世界も異なる2つの物語。原摩利彦さんの音楽は、そのすべてに静かに寄り添い、複雑に絡み合う2人の物語に1本の芯を通してくださいました。最初にメインテーマのデモを聴いた時、鳥肌が立ち、自然と涙がこぼれました。その感動は今も忘れられません。
このドラマを象徴する1枚とは何か。私たちがたどり着いたのは、「焼かれてもなお残る漫画」でした。原作『紙の砦』で、大寒鉄郎が描きためた漫画は戦争によって無惨に引き裂かれてしまいます。それでも漫画家になる夢を諦めない魂と、容赦なく降りかかる戦火。そのぶつかり合いこそ、このドラマにおける、手塚治虫の創作の原点を象徴するビジュアルになると考えました。
メインビジュアルの漫画原稿は、ドラマで描かれる青春のワンシーンを、手塚治虫先生の元アシスタント・三浦みつる先生にネームを起こしていただき、つのがい先生に作画していただきました。「先生ならこの1コマをこう切り取るはず!」。そんなこだわりが詰まった三浦先生のネームは、予定を大きく超える3ページに及びました。「ドラマの台本を読んでいたら、どんどん絵が浮かんでペンが止まらなかった」と笑顔で話される姿に、手塚治虫先生の創作の魂が、今も確かに受け継がれていることを強く感じました。
8月12日の放送に向け、ドラマの制作はいよいよ佳境を迎えています。手塚治虫と大寒鉄郎、2人の物語がどのように響き合い、1つの物語として紡がれていくのか。ぜひ放送を楽しみにお待ちください!
【あらすじ】
1973年、東京。漫画の神様・手塚治虫(高良健吾)は、会社の倒産と少年誌の連載打ち切りによって一転、どん底へと転落する。多額の借金と世間の「終わった」という評価に追い詰められ、創作への自信すら失いかけていた。そんな手塚の脳裏によみがえるのは、戦時中――漫画を描くことすら許されなかった少年時代の姿だった。
1945年、大阪。中学生の大寒鉄郎(原田琥之佑)は、軍事訓練と統制に縛られた日常の中で、ただ一人、漫画を描くことに心を燃やしていた。教師や同級生から「非国民」と蔑まれ、原稿を奪われてもなお、鉄郎の手が止まることはない。“漫画家になる”という夢に向かってまっすぐに生きる鉄郎。ふとしたきっかけで彼の漫画に触れた同級生・明石健司(久野渚夏)や女学生・岡本京子(野内まる)との出会いは、鉄郎の日常に小さな変化をもたらしていく。仲間との青春の日々の中、近づく戦火の足音は、かけがえのない日常をゆっくりと浸食していく――。
過去の記憶に触れながらも、それを描くべきか迷い続ける、手塚。戦争を描くことの意味、そして今の自分に何が描けるのか。交錯する2つの時代の中で、手塚の本能が目を覚ます。

特集ドラマ「手塚治虫の戦争」
8月12日(水) 総合/BSP4K 午後10:00~11:13
※NHK ONEでの同時・見逃し配信あり (ステラnetを離れます)
8月30日(日) Eテレ 午後3:30~4:43(再放送)
原作:手塚治虫『紙の砦』『ゴッドファーザーの息子』
作:桑原亮子
音楽:原摩利彦
漫画考証:三浦みつる
漫画指導:つのがい
出演:高良健吾、原田琥之佑、野内まる、久野渚夏、山田健人、岡崎体育、田中哲司 ほか
制作統括:福岡利武
プロデューサー:田島彰洋
演出:鈴木航