9月8日(月)に放送がスタートする、夜ドラ「いつか、無重力の宙で」。
物語の主人公は、大阪の広告代理店で働く望月飛鳥(木竜麻生)30歳。13年ぶりに高校時代の天文部の同級生・日比野ひかり(森田望智)と再会したことで、「一緒に宇宙に行こう」と話していた夢を思い出し、“人工衛星を作る”という夢を追いかけ始める。水原周(片山友希)と木内晴子(伊藤万理華)も加わり、元天文部の女子4人組が再結集。いつの間にか手放した「夢」を30代になった今、もう一度仲間とともに拾い直す青春ドラマだ。
放送開始を前に、東京・渋谷のNHK放送センターで完成披露試写と出演者会見が行われ、主人公・望月飛鳥役の木竜麻生、日比野ひかり役の森田望智、プロデューサーの南野彩子、演出の佐藤玲衣が出席した。
木竜「飛鳥の“愚直さ”を大事に」森田「自然とひかりになれた」

主人公の飛鳥は、誰かがやらなきゃいけない宙に浮いた仕事を拾う日々を送る女性。そんな飛鳥を演じる木竜は、
木竜 「脚本を読ませていただいた時から、飛鳥はルーズボールを愚直に拾い続ける子だなと感じました。仕事もそうですが、誰かが拾わずにいるものや、空中に浮いたままの会話なども、自分のできること・やるべきこととして愚直に拾っていきます。そこは、飛鳥の大事なパーソナリティーとして意識して演じようと考えました」

突如13年ぶりに飛鳥の目の前に現れた、同級生・日比野ひかり役を演じる森田は、
森田 「脚本に、ひかりは太陽みたいな人、と書かれていたので、みんなを照らすような強さのある子なんだと思いました。宇宙飛行士の米田あゆさんのドキュメンタリーを見たときに、“自分の道を正しくするのは私”というふうにおっしゃっていて、まさにひかりの言葉だなと、重なって……。選択した道が間違っていたかなと悩んだりするときも、『私が正しい道にするんだ』という強い気持ちで、自分の道を切り開いていく、そういうエネルギーをひかりは持っていると思います」
今回、演じる役に似ているところが多いと語る2人。
木竜 「自分がどんな風にいるとみんなが楽しくいてくれるか、話しやすくいられるかと飛鳥が考えるところは、私も普段のコミュニケーションで意識していることなので近いと思います」
森田 「好きなものは好き、嫌いなものは嫌い、とはっきりしているところ。私のお芝居に対する気持ちは、ひかりの宇宙が好きな気持ちと似ています。自分の好きなものを分かっていて、それに向かって突き進んでいくところは同じだなと思います」

第1週を見た感想については、
森田 「クランクインの日に、ひかりが飛鳥と月を眺めながら『見てみたかったな、宇宙から地球を、この目で』というシーンを撮影したんです。大事なシーンで、麻生ちゃんの目を見るだけで、自然とひかりになれましたね。はじめからずっと一緒だったように感じながら撮影が始まった印象があります」
木竜 「第1週はひかりと再会したことで飛鳥の日常が変わっていく、そんなきっかけになる週です。ひかりとのシーンは、最初から望智ちゃんに力を借りて撮れたシーンだと思っています」と振り返った。
木竜&森田「足して2で割ったら最強だねって(笑)」

今回初共演の2人だが、息ぴったりの様子。
森田 「お互いよく話すんですよ。たぶんお互いに持っていないものを持っていて、足して2で割ったら最強だねって(笑)」
木竜 「お芝居のアプローチなどで、私が不得手だと感じるところが、望智ちゃんにとっては得意だったり、その逆もあって……。」
森田 「私は自分視点の景色ばかり見えてしまうタイプなので、お芝居をしていても、どうしてもひかりの景色しか見えないことも多くて……。物語としてお客さんに伝えるにはどうすればいいかよく相談していました。麻生ちゃんは、すぐに『これならできる!』というアイデアをくれて、たくさん助けてもらいました」と感謝する。

木竜 「望智ちゃんに迷いがあったり、やりづらそうにしているほうが気になるので、そこがクリアになることが私にとってうれしいことで……。飛鳥がひかりを思う気持ちとリンクするんです。望智ちゃんに支えてもらっている分、支え返したいなと思いながらやっていました」森田「私こそ、麻生ちゃんと一緒にいると、自然に素を出せたり、心が和らぐんです。ひかりと飛鳥はお互いに親友として思い合っている役ですが、現実ともリンクしていて、麻生ちゃんがいてくれるだけで、私としても、ひかりとしても、ここに居ていいんだなと思えます」
「私たちの良さがある!」が合言葉に!?

劇中では、高校時代の飛鳥を田牧そら、ひかりを上坂樹里が演じる。高校生パートと、現在の30代大人パートが行き交う演出になっているが、それぞれが驚くほど似ていて自然だ。「高校パートと似せるように意識したのか?」という質問に2人は、
森田 「実は、高校時代を演じるみんなとの合同顔合わせがあったんです」
木竜 「大人の天文部4人と、高校時代の天文部4人と、楽しく話しましょうという会を開いてくださって。台本を読む高校生たちの声や様子を見ることができましたし、各々と話す時間もいただいて大事な時間になりました」

森田 「高校時代のひかりを演じる樹里ちゃんは、飛鳥みたいに周りに対しての優しさがものすごくある子。なので、自分の意思でどんどん突き進むひかりをつかみづらそうに感じたので、私はこんなふうにしているよ、とか、他愛もない話をしました。樹里ちゃんのひかりはこうなんだ、じゃあ自分も少し変えてみようと思ったり。樹里ちゃんもそうしてくれていた部分もあったみたいで、現場でどんどん一体感が増していきました。高校時代を演じる4人とも、みずから輝く“太陽たちのかたまり”のようでした」

木竜 「クランクインのとき、まだ高校生の子たちは撮影していなかったので、飛鳥は、そらちゃんが私の話し方や間合いとかを意識してくれたみたいです。撮影の合間に、高校時代のシーンを見たら、まぶしすぎて『やられる!』と思いました(笑)。すごく美しいものを見せてもらって、彼女たちのそんなキラキラした部分が、大人のパートでも垣間見えたらいいなと思っています」
森田 「でも、私たちには……」
木竜&森田 「『私たちの良さがある!』と」
木竜 「これを合言葉に、励まし合ってやっていました」
森田「キラキラでは適わないかもしれないけれど(笑)」
木竜 「30歳の経験で見せられるものがある、と言ってやっていました(笑)」
と、撮影を振り返った。

最後に、「2度目の青春ができるとしたら、何をしたい?」と聞かれた2人は、
森田 「このドラマに携われたおかげで、もっと自分が好きなものは好きでいていいんだと強く思えるようになりました。毎日ご飯を食べるにしても、散歩するにしても、なにをするにしても、自分で選んで好きでしているんだ、という感覚はさらに強くなりましたね。より青春さが増したかもしれない。いまも青春しています(笑)」
木竜 「ドラマをとおして、今からでも好きだと思うことや、ちょっと興味のあるものだったり、純粋に自分がワクワクするものや自分のアンテナが動いたものは好きだと言っていいし、手を伸ばしてみていいんだということに気付かされました。いつからでも自分の心持ちで明日見る景色はちょっとずつ色を変えられるということを、この作品に関わったからこそ強く思えるようになりました」と締めくくった。
「お2人が等身大で演じてくださった」

30代女性が夢をもう一度掴み直すという物語を制作した理由について、プロデューサーの南野と演出の佐藤は、こう語る。
南野 「企画は佐藤の提案でした。30代女性が主人公のドラマは、どうしても結婚や出産、キャリアを目指すというようなお決まりのパターンが多い気がしていました。日々、目の前の仕事を頑張っていて、その中で好きなことに対して夢を追いかける30代女性が主人公のドラマはないんじゃないかと、演出の佐藤とよく話していました。夢にかける思いや、友達を大事にする気持ちを大切に描きたいと思っていたので、第1週で飛鳥がひかりに『一緒に人工衛星をやろう』と言いに行くところは個人的にもとても好きです。『人工衛星』というとても難しいことをやろうとしているけれど、この人が一緒ならできるかもしれないという、お互いに自信を与え合うような存在を描いています。自分もちょっと頑張ってみようかなと思えるようなヒロイン像を作りました」
佐藤 「私も飛鳥やひかりと同世代で、周りの空気やあらゆる重力を受け止められるようになってしまったがゆえに、本当にやりたいこと・やりたくないことがどこにあるのか分からなくなってしまう瞬間が出てくるようになりました。重力があるいま、過去に『この人がいれば何でもできるかもしれない』と思っていたあの感覚を取り戻せたら、実はなんでもできるんじゃないか、という気持ちがあって、このドラマを作りました。木竜さん森田さんお2人が等身大で演じてくださって、うれしく思います」と熱く語った。
夜ドラ「いつか、無重力の宙で」は9月8日(月)放送スタート!
果たして、飛鳥とひかりたちは人工衛星を作り、宇宙を目指すことができるのか――。
元天文部の30代女性4人、2度目の青春物語に乞うご期待!
【第1週あらすじ】
大阪の広告代理店に勤める望月飛鳥(木竜麻生)、30歳。「じゃあ……私やっときます!」と目の前の仕事を拾っては、忙殺される日々を過ごしていた。そんな飛鳥の前にある日突然、高校時代の友人・日比野ひかり(森田望智)が現れる。飛鳥はかつて、ひかりと天文部を立ち上げ、「一緒に宇宙に行く」と約束していたことを思い出す。一方、13年ぶりに再会したひかりは、大人になった今も宇宙飛行士になろうと目指していたが……。

夜ドラ「いつか、無重力の宙で」(全32回/8週)
9月8日(月)放送開始
毎週月曜~木曜 総合 午後10:45~11:00(各話15分)
作:武田雄樹
音楽:森優太
主題歌:吉澤嘉代子「うさぎのひかり」
出演:木竜麻生、森田望智、片山友希、伊藤万理華、奥平大兼
田牧そら、上坂樹里、白倉碧空、山下桐里/鈴木杏、生瀬勝久ほか
天の声(語り):柄本佑
制作統括:福岡利武
プロデューサー:南野彩子
演出:佐藤玲衣、盆子原誠、押田友太
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