現在放送中の、夜ドラ「いつか、無重力のそらで」。高校時代に「一緒に宇宙に行こう」と夢を語り合った元天文部の女子4人組が、30代になってから仲間とともに宇宙への夢を拾い直す、2回目の青春の物語です。
木内晴子を演じる伊藤万理華さんから、ドラマについての感想や、役についての思いを語ったメッセージが届きました。
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木内晴子/伊藤万理華

地元の市役所に勤めている。無愛想だが、根は優しい。細かいことによく気が付く。真面目で堅実な合理主義者だが、好きなものにはロケットのようにまっすぐ突き進む豪快さも持ち合わせている。時々、熱くなりすぎて変なスイッチが入ることも。学生時代は宇宙建築に興味を示していたが、大学生の時に妊娠し、現在は小学生の息子をもつシングルマザーに。息子が将来好きなことをまっすぐ追いかけられるよういまは息子の教育に力を入れている。

【伊藤万理華さんのコメント】

――元天文部の30代の女性4人が超小型人工衛星を作って宇宙を目指す、この物語全体への感想を教えてください。

今、私は晴子たちと同じ年代で、30歳というとちょうど現実を見はじめる年頃だと思います。社会人としての立場やプレッシャーがだんだんのしかかってきて、夢を追うことよりも身近にある現実がよく見えるようになってきました。自分にとって本当の得意分野や、自分に合うフィールドがだんだんわかってくる。自分の進むべき道筋がわかってくる年頃というか。

でもこのドラマは、社会人として経験を積んできたところでふと振り返り、10代の頃に見た壮大な「宇宙への夢」を、もう一度めざしたっていいじゃないかと思い直すお話です。タイトルどおり、一度かかってしまった「重力」から4人が解放されていく物語なんだな、とすごく引き込まれました。

――30歳になった4人の現在と高校時代の回想が折り重なっていく構成になっていますが、ドラマでは描かれていない、高校を卒業してから現在に至るまでの晴子の人生をどんなふうに想像しましたか?

作品に入る少し前に、ちょうど高校時代の友達と十数年ぶりに会いました。まさに晴子たちと同じ空白期間はあったのですが、不思議なもので、会った瞬間にあの頃に戻れました。お互い変わっていないことにすごく安心しつつ、でも社会人としての経験もあって、それぞれの場所で培ってきた「大人の目線」もあり、今このときだから話せることがたくさんありました。

みんなそれぞれたくさんのことを経験し、何かを捨てたり諦めたりして、でもそれも含めて自分を受け入れることができるようになった。そんなタイミングで再会できたことがすごくうれしくて。この感覚は、30歳で再会した天文部4人の気持ちに近いんじゃないかなと思いました。ただ晴子は、大学時代に子どもを授かってシングルマザーとして奮闘しているという、私の人生経験にない境遇だったので、初めは難しそうだと思いました。

晴子と道のりは違っても私自身の高校卒業後から今までを振り返ってみたときに、つらかったことも良かったことも全てひっくるめ、この十数年は、これまでの過程を肯定するための時間だったと思っています。大切なのは、今の自分を大事にできているか、愛せているかということなのではないかなと。私はこれまで参加した作品やものづくりを通じて、それを教えてもらった気がします。

シングルマザーの晴子のこれまでの道のりは、ずっと精いっぱいで大変だっただろうけれど、今ちゃんとこうして生きているし、息子の岳(鈴木来希)という愛すべき存在がいる。私なりの目線で、これまでの晴子をちゃんと肯定し愛するというところから始めました。それはとても尊い時間でした。

――高校生の晴子と30歳の晴子。変わったところと変わっていないところはどんなところだと思いますか?

基本的には変わっていないと思います。真面目だけど、好きなこと、自分が信じることには一直線。高校生のとき、皆既日食を見るためなら授業も抜け出すあの気概とまっすぐなところは、大人になっても変わらない。晴子がフォーカスしているのは、まず息子の岳のことと、現実的な「生活」。宇宙に夢中だった高校生の時の気持ちには蓋をしたまま生きてきたんだろうなと。

けれど、テレビで宇宙関連のニュースが流れたらきっと家事の手を止めて見入っていただろうし、星がよく見える夜には空を見上げていたと思います。飛鳥(木竜麻生)たちからもう一度人工衛星の夢を追いかけてみないかと誘われ、とても迷ったけれど、最終的に背中を押してくれたのが息子の岳でした。

これまで晴子が蓋をしてきた宇宙への思いを、岳は見抜いていて「やりたいんやったら、やったらええやん」と言ってくれました。その言葉に、自分が思っていた以上に息子は母である自分のことを見ていてくれたのだなと、逆に岳から学ばせてもらい「これはもうやるしかない」と腹をくくったのではないかなと。とても素敵すてきな親子関係だと思います。

――最後に、この作品の見どころをお願いします。

晴子を演じ、物語を通じて人工衛星を作る過程を知っていくと、空を見上げたときに「あの光は人工衛星かもしれない」と思うようになりました。空には星だけではなく、人々の夢を乗せた人工衛星がいくつも漂っている。それってすごくロマンがあることだなって。

わずか2年で燃え尽きてしまう、あの小さなキューブに、なぜ晴子たち4人はそこまでの情熱を注ぐのか。そこを感じていただきたい。このドラマが、見てくださった方にとって「何歳から何を始めたっていいんだ」というほんの少し勇気を出す後押しをすることができたら、とてもうれしいです。


【第3週あらすじ】
飛鳥(木竜麻生)は高校3年生の夏以来、集まることがなかった天文部の友人たちを呼び出す。13年ぶりに元天文部の4人がそろって話すことになり、そこでひかり(森田望智)は13年間隠してきた病気のことを明かす。飛鳥はあまね(片山友希)と晴子(伊藤万理華)に「一緒に人工衛星を作って、高校の時の夢をかなえよう」と提案。だが、知識も経験もない飛鳥たちの挑戦に、同じく宇宙を目指している大学生のけい(奥平大兼)は思うことがあるようだ。


夜ドラ「いつか、無重力のそらで」(全32回/8週)

9月8日(月)~10月30日(木)放送<予定>
毎週月曜~木曜 総合 午後10:45~11:00(各話15分)

作:武田雄樹
音楽:森優太
主題歌:吉澤嘉代子「うさぎのひかり」
出演:木竜麻生、森田望智、片山友希、伊藤万理華、奥平大兼
田牧そら、上坂樹里、白倉碧空、山下桐里/鈴木杏、生瀬勝久 ほか
天の声(語り):柄本佑
制作統括:福岡利武
プロデューサー:南野彩子
演出:佐藤玲衣、盆子原誠、押田友太

公式X:https://x.com/nhk_dramas ※ステラnetを離れます

公式Instagram:https://www.instagram.com/nhk_yorudora/ ※ステラnetを離れます

「いつか、無重力の宙で」NHK公式サイトはこちら ※ステラnetを離れます