世界の教育メディアの発展と国際理解の促進を理念に、NHKが創設した教育コンテンツの国際コンクール「日本賞」。
11月17日(月)からの第52回日本賞映像祭開催を前にその魅力を紹介する会見が行われ、PR大使を務めるハリー杉山が、授賞式で一緒に司会を務める浅野里香アナウンサーと登壇した。


ハリー杉山「日本賞は人生を豊かにしてくれる」

第47回から授賞式の司会を務め、PR大使としても3年目となるハリーは、日本賞への熱い思いを語った。

ハリー 「僕の父親は記者として、常に日本と世界をつなぐ橋のような仕事をしていたので、僕が日本賞に関わることは天国にいる父親も喜んで見守ってくれていると思います。教育コンテンツと言われると堅苦しいイメージがあるかもしれないのですが、アニメーションがあり、ドキュメンタリーがあり、笑えて、ちょっと人生の支えにもなるようなエンタメ要素が詰まった作品がたくさんあります。日本賞のPR大使は、人生を豊かにしてくれたり、人生のヒントを与えてくれたりする作品と触れ合える幸せな仕事。ここで触れた作品をきっかけに、海外に住む少年時代の友人と久しぶりに連絡を取ってみることもあって、僕にとっては宝のような存在です」

昨年「日本賞映像祭2024」のディスカッションの様子

今年の日本賞は、世界58の国と地域から373作品の応募があった。その中から、幼児向け部門(0〜6歳)、児童向け部門(6〜12歳)、青少年向け部門(12〜18歳)、一般向け部門(18歳以上)の最優秀賞と優秀賞として選ばれた8作品と、特別賞、審査委員選奨を加えた10作品が、11月17日〜20日に東京・原宿で行われる第52回日本賞映像祭で上演される。
上映セッションでは、作品上映だけでなく、上映後のディスカッションと制作者トークもセットになっているのが日本賞映像祭の大きな特徴だ。(日本賞受賞作品決定!「映像祭」は11月17日から原宿で開催 世界の教育コンテンツに触れてみませんか? | ステラnet

ハリー 「このディスカッションは、海外の皆さんからも評価されている素晴すばらしいプロセスなんです。日本人同士だけではなく、会場に集まっている世界各国の制作者の皆さんと意見を交換できる、人生観が変わるような空間。できるだけ多くの方々に、この現場で空気を吸っていただいて、そして自分の思ったことを直接、制作者の皆さんにぶつけてみてほしいです」

浅野 「ディスカッションをはじめ制作者トークにも通訳サポートがありますので、もし言葉の壁を気にして参加をためらっているなら、それはまったく心配いりません。通訳の方にお話をつないでいただければと思います」


力を与えてくれる作品の数々

児童向け部門 最優秀賞「長距離バス」(ベルギー、フランス)

その後、各部門の最優秀賞の見どころが紹介された。ハリーが1番思い入れのある作品として挙げたのは、児童向け部門最優秀賞に選ばれた「長距離バス」。1990年代、8歳の少女が1人でポーランドからベルギーに行く長距離バスでの旅を描いたアニメ作品だ。

ハリー 「この物語の主人公は孤独を感じていますが、バスの中で色鉛筆を落として知らない人と話すことをきっかけに、新たな道、新たな人生が見えてきます。僕も、3年前に亡くなった父親を在宅で介護している時、ものすごく孤独を感じていました。認知症やパーキンソン病といった父の病に向き合っていると、1番愛する存在だったはずなのに、1番憎しみを抱く相手になってしまった時期があって。でも、そんな中で、僕の日常の1歩外にいるヘルパーさんや介護福祉士の方との何気ない会話が、気づいたら自分にとってすごい宝物になっていたんです。だから、この作品は自分の中から1歩踏み出して、人と会話する力を与えてくれる作品だと感じました」

▼ハリー杉山さんの介護に関するインタビューはこちら
ハリー杉山「認知症と向き合った僕の父(ヒーロー) 」前編 | ステラnet
ハリー杉山「認知症と向き合った僕の父(ヒーロー) 」後編 | ステラnet


「日本賞映像祭」で得られる感動や学び

昨年「日本賞映像祭2024」企画部門プレゼンの様子

映像祭では、予算や機材が十分でない国や地域における教育番組の企画実現を支援する「企画部門」も開催される。今回は書類審査により、バングラデシュやインド、コソボなどの6人のファイナリストが選出され、17日にはピッチと呼ばれる短いプレゼンテーションを行い、優秀賞が決定する。

ハリー 「昨年の企画部門に南スーダンの女性が選出されていたのですが(※南スーダン公共放送記者の受賞までの道のり)、その話題をきっかけに、僕は南スーダン出身の陸上選手、グエム・アブラハムさんと友達になることができたんです。毎年、年を重ねるとともに、自分の趣味や人生と日本賞がつながってきているのが不思議でかたないんですけど、今年もそういった魔法が生まれるかもしれないなと期待しています」

映像祭の最終日である20日には、グランプリ日本賞と企画部門の最優秀賞・優秀賞が発表される予定だ。

ハリー 「毎回、心が動くんですよ。でも、それは自分だけではもったいなくて。さまざまな国と地域の皆さんたちとディスカッションして得た感動だったり、学びだったりっていうのは、本当にダイレクトに人生と直結してくると思うんです。だから、できるだけ多くの方々に映像祭に来ていただいて、『日本賞って面白くない?』っていう会話が、会場の原宿とかでごく普通に行われてほしいですね。僕もよく代々木公園でジョギングしたりしているので、見かけたら『あの作品、面白くなかったですか?』とか話しかけてもらえたらうれしいですね。一緒に20km走をしながら、日本賞について語り合ってもいいですし(笑)」

浅野 私は今回初めて日本賞に関わらせていただくので、ハリーさんにいろいろ教えていただきたいと思っています。今、1歳7か月の子供を育てているところなので、児童向けの作品を拝見しながら、どんなふうに子供にアプローチしたらいいのかなとか、子供の行動の裏にはどういう思いがあるのかを、考えるきっかけになりました。子育てや教育は、どの年代になっても関わることに喜びを感じられる分野なので、日本賞に携われることをとても光栄に思っています。

第52回日本賞映像祭は事前登録をすれば、誰でも無料で参加可能。ぜひ、心動く映像体験と参加者とのディスカッションを、実際に会場で楽しんでみては?
NHK Eテレでは日本賞特番も放送するので、そちらもお見逃しなく。

申し込みはこちら ※ステラnetを離れます


「日本賞映像祭」開催

■日時:11月17日(月)~20日(木)
■会場:WITH HARAJUKU HALL(東京・原宿)
■内容:受賞作品の制作者や審査委員を迎えて上映会と来場者とのディスカッション
■参加費:無料(事前登録が必要)
日本賞映像祭公式ホームページはこちら ※ステラnetを離れます

第52回日本賞 特別番組「未来を創る世界の教育コンテンツ 日本賞2025」

12月27日(土)Eテレ 午後2:00~4:30

同日の深夜には、青少年向け部門で優秀賞を受賞したNHKの番組『はなしちゃお!〜性と生の学問〜「裸×社会心理学」「女性器×生物学」』を放送予定。