妻は今年の春、大学を卒業し、大学院へ進みます。リカレント教育*1と言えばよいのでしょうか? 還暦をとうに過ぎたおばちゃんがアクセル踏み込んで頑張っています。

*1 社会に出たあとも生涯にわたって学びを続けること。

数年前のある日、妻が突然「大学で勉強したいことがある」と言いだしました。ビックリしましたが真剣な表情です。話にしっかり耳を傾けました。短大を出ている妻は、もう一段深い学びをイメージしていました。文系出身で勉強もしなかった私からは距離のある、理系色の濃い学部を目指す! というのです。

整理しておかなければならないこともあります。毎日の仕事との両立と、授業料負担などの経済的な問題です。まず、通信教育課程でオンライン授業が中心のため仕事との両立は可能。そして、授業料の負担などは妻自身がすべて負うとのこと。となれば「よし! 頑張れ!」で私は応援団です。

こうしておばちゃんの花の(?)女子大生生活が始まりました。とはいうものの、仕事をしながらの勉強はなまやさしいものではありません。毎晩遅くまで、時には午前1時2時まで机の前に座り、難しい顔でパソコンに向かっていました。当然ですが、私のバックアップも必要です。料理以外の家事はほとんど私の仕事。実はこれまでもそうだったのですが、より私の日々の作業が増えました。

妻のフィールドも広がりました。ゼミの仲間が実に多彩です。メーカー勤務のサラリーマンや医療関係者、会社の経営者など、さまざまな職業の皆さんの集まりで、仕事をしながら授業に向かう志の高さと強い熱量を感じます。オンラインのゼミや合宿などでの交流も楽しそう! これまでなかった刺激をもらっているようです。通信教育課程の割には大学には時々足を運び、教授や通学生との意見交換などもあり、大学生活を満喫しています。

そして今春から大学院の修士課程で、週に1回以上大学に通います。ますます絶好調のおばちゃんがまぶしく見えます。妻のパワーに心からの拍手です。なお今回のエッセー、決して“おのろけ”のつもりではありません。

(やました・まこと 第2・4日曜担当)

※この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2025年4月号に掲載されたものです。

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