NHK財団 特許部の業務
NHKは放送およびその受信の進歩発達に必要な技術に関する研究・開発に取り組んでいます。研究・開発の成果として、高度で多様な特許や技術ノウハウを多数保有しているのです。これらの技術は放送だけでなく、通信、医療、教育など社会のさまざまな分野で活用されています。
一方、NHK財団の特許部は、NHKから業務委託を受けて、NHKが保有する技術を社会に広く還元するための窓口として、技術協力(※1)や実施許諾(※2)の契約、NHKの技術の周知・あっせんなどに関する業務を担っています。また、みなさまにNHKの研究開発成果を広くご利用いただくため、展示会や「知的財産マッチング会」への参加、NHKの技術シーズ(※3)をまとめた「NHK技術カタログ」の作成、NHK財団のホームページ(NHK技術の移転 | NHK財団)(※ステラnetを離れます)でのNHKの技術の紹介や技術移転(※4)の手続き方法の案内など、さまざまな活動に取り組んでいます。
※1 NHKが保有する技術を、NHKの技術者が直接お客様にご説明、ご提供すること
※2 NHKの特許やノウハウに関して、お客様の利用を許諾すること
※3 企業や大学が持つ、新規事業につながるような企業や大学が持つ技術のこと
※4 産業を育成するために企業や大学などが保有する研究成果や技術を、他の機関や企業へ移転すること
大企業や大学と中小企業をつなぐ「知的財産マッチング会」とは
産業振興のため、大手企業や大学が保有する知的財産と、新たな商品開発や事業化を目指す中小企業とを結び付ける場として、「知的財産マッチング会」があります。マッチング会の参加をきっかけに、中小企業が大手企業や大学などの知的財産を知り、またそれを活用することで、新しいビジネスアイデアの創案、新製品開発のための期間やコストの低減、技術ノウハウの習得などにつながる可能性があるのです。
知的財産マッチング会は、主に自治体や地域の産業振興組織などが主催しています。地元企業を集め、大手企業や大学などを呼んで自社の知的財産や技術シーズの情報提供をしてもらうことは、地域産業の活性化と知財の有効活用を目指す取り組みの1つになっています。
そこで活躍しているのが、知的財産マッチング会の主催者組織などに所属する「知的財産コーディネーター」と呼ばれる専門職で、担当地域の企業の課題やニーズを熟知し、知的財産をとおして企業間を結び付け、中小企業を支援する活動をしています。
これまでNHK財団ではマッチング会の主催組織や知的財産コーディネーターと関係を築き、マッチング会へ積極的に参加することで、広く地域の企業にもNHKの技術をご紹介してきました。私たちのマンパワーにも限りがあるだけに、周知・あっせんの活動を広げるためには、このような地域の人的ネットワークの“つながり”を構築していくことはとても大切です。
取り組みの中で広がる“つながり”
ここ数年コロナの影響で主催者組織のホームページ上でのオンラインによる紹介が多かった知的財産マッチング会が、2025年度は、実地開催が再開したり、新たな自治体や地域の産業振興組織などから参加依頼をいただいたり、中には地元企業の担当者と対面でお話しをする機会をいただくなど、より交流が活発になりました。ここでは、2025年度に行った事例を2つ紹介します。
1つ目は、公益財団法人静岡県産業振興財団が開催した「技術シーズ説明会」と「知的財産マッチング会」です。同財団では、大手企業や大学などが保有する技術シーズを県内の企業や知的財産コーディネーターに説明する説明会やマッチング会を年に数回開いています。
NHK財団と以前から交流のある公益財団法人川崎市産業振興財団の知的財産コーディネーターが、静岡県産業振興財団の担当者に私たちの取り組みを紹介したことがきっかけで、今回初めて同財団主催の説明会とマッチング会に参加する機会をいただきました。
10月29日に現地開催した技術シーズ説明会では、NHK財団による単独の発表の場をいただき、NHK財団の紹介に始まり、技術移転の進め方、NHKの技術シーズなどを地元の企業と知的財産コーディネーターに説明しました(写真1)。

その後、県内の2社からNHKの技術シーズや技術移転について更に詳しい説明を聞きたいという面談希望をいただき、12月19日に知的財産マッチング会として、再び現地にうかがいました。
当日の個別の面談では、リクエストいただいた技術シーズをデモ動画なども交えて更に詳しくご紹介し、質疑応答を行いました。面談した企業から、NHKの技術が役に立ちそうなビジネス上でのニーズや課題などをお聞きしたり、企業の目線から多くのご質問をいただくなど、今後の私たちの取り組みに参考になる情報も得られた有意義な機会になりました(写真2)。
静岡県産業振興財団には、技術シーズ説明会と知的財産マッチング会の開催にあたって、地元企業に集まってもらうために、同財団のホームページでお知らせするだけでなく、NHKの技術シーズに興味を持ちそうな県内の企業に知的財産コーディネーターからお声がけしてもらうなど、ご尽力いただきました。

2つ目の事例は、東京都八王子市主催の「知的財産マッチング会」です。公益財団法人東京都中小企業振興公社 東京都知的財産総合センターが協力しているマッチング会で、NHKが開催した「技研公開2025」に同公社の知的財産コーディネーターが来場されご挨拶したことをきっかけに、マッチング会参加の依頼をいただきました。
八王子市内で11月4日に行われた知的財産マッチング会では、参加した多くの企業と知的財産コーディネーターに、NHK財団を含む3社が20分ずつ各社の技術シーズを説明、私たちからは、運営側が行った事前アンケートで来場者の関心が高かった4つのNHKの技術シーズを紹介しました(写真3)。

各社説明後には、事前に申し込みのあった企業と個別に面談を行い、どのような事業でNHKの技術の使用を期待しているのかをうかがうことができました(写真4)。前述の静岡県での事例と同様、このような企業担当者の生の声を聞くことができる機会はとても貴重です。

ホームページやオンラインでの活動
NHK財団では、前述の知的財産マッチング会の現地開催対応以外にも、地域の産業振興組織のホームページで技術シーズの情報掲載協力を行っています。前述の静岡県産業振興財団や東京都中小企業振興公社 東京都知的財産総合センターのほか、公益財団法人川崎市産業振興財団、経済産業省近畿経済産業局などのホームページで紹介されています(※5)。
※5 NHKの技術シーズ 掲載先ホームページ(一例)(ステラnetを離れます)
公益財団法人静岡県産業振興財団
公益財団法人東京都中小企業振興公社 東京都知的財産総合センター
公益財団法人川崎市産業振興財団
経済産業省近畿経済産業局
また、オンライン開催のマッチング会にも参加しており、2025年度は公益財団法人鳥取県産業振興機構や公益財団法人かがわ産業支援財団が開催したマッチング会では、各財団のホームページをとおして、NHKの技術シーズをご紹介しました。
これらのホームページで使用しているNHKの技術シーズに関する資料や情報は、NHKの研究・開発担当者に協力をいただきながら、私たちが作成して提供しています。主なものとして、「NHK技術カタログ」(図1)や「NHK技術カタログピックアップ」(図2)があります。
「NHK技術カタログ」とは、NHKが保有する技術シーズの中から提供可能な技術を1件ごとに2ページにまとめたリーフレット集で、技術内容の解説や利用分野、関連する特許などを図も使いながら分かりやすく紹介しています。中でもよくお問い合わせをいただく技術は、「NHK技術カタログピックアップ」として図解中心にまとめて作成しています。(NHK技術カタログ | NHK財団)(ステラnetを離れます)


最後に
技術移転は、技術を移転する側と移転される側との間で、技術内容、契約条件、タイミングなど全ての要素について双方の希望が完全に一致して初めて成立します。容易に実現できない難しい取り組みですが、NHK財団では、皆様により広くNHKの技術を知っていただくために、今後も自治体や地域の産業振興組織などとのつながりを広げ、新たな地域での知的財産マッチング会に参加し「お客様との出会い」を作ることを積極的に進めていきます。
自治体や地域の産業振興組織などと連携し、地元の現場のニーズを知る知的財産コーディネーターからアドバイスをいただくことで、NHKの研究開発成果が広く社会還元につながるよう活動していきます。関心をお持ちの方は、ぜひ、お問い合わせください(お問い合わせ先はこちら)。
(NHK財団 技術事業本部 片山美和)