「岸辺露伴は動かない」シリーズの最新作「泉京香は黙らない」の会見が行われ、主演の飯豊まりえ、脚本・演出の関友太郎、平瀬謙太朗、制作統括の土橋圭介が登壇し、ドラマについて語った。


シリーズ7年目、編集者・泉京香が主人公に

本作は、漫画家・荒木飛呂彦さんによる人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』から生まれたスピンオフ『岸辺露伴は動かない』を原作とするドラマシリーズの最新作。

2020年末に第1期(第1~3話)、21年末には第2期(第4~6話)、22年末に第3期(第7~8話)、23年に映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』、24年5月に第9話「密漁海岸」、25年に映画『岸辺露伴は動かない 懺悔室』が制作され、回を重ねるごとに熱心なファンが増えている人気作だ。

主人公・岸辺露伴(高橋一生)は、人を“本”にしてその生い立ちや秘密を読み、書き込んで指示を与えることができる能力〈ヘブンズ・ドアー〉を持つ漫画家。露伴の担当編集者で、良き相棒でもあるのが泉京香(飯豊まりえ)だ。シリーズ最新作では、これまで露伴を支える存在として描かれてきた彼女が、初めて物語の主人公に。荒木飛呂彦さんから脚本への協力を得て、監督集団「5月」の関友太郎と平瀬謙太朗の2人が脚本を書き下ろし、演出したオリジナルストーリーとなる。

会見冒頭、制作統括の土橋圭介が挨拶をした 。

土橋 映画『岸辺露伴は動かない 懺悔室』を撮った時に、監督やスタッフには“もうやりきった”実感があり、一旦、“出がらし”の状態になりました。でも、まだやり残していることがある。その答えが泉京香でした。シリーズの中で一番大きく育ってきたキャラクターなのに、まだ深く触れていなかったんです。2023年に飯豊さんにもご出演いただいた「あれからどうした」という3本の特集ドラマを制作しました。その時に、監督の関さんと平瀬さんの感性や演出力の素晴すばらしさに感動しまして。この作品を託すならこのお2人しかいない――そう思い、今回オファーをさせていただきました。

脚本・演出の関友太郎

続いて、脚本・演出を担当することになった関と平瀬が、経緯や思いについて語った。

 最初は自分たちがやっていいのかと思いました。でも、作り手としてこんなに特別な機会を逃すわけにもいかない。飯豊さんが主役なら、露伴シリーズで“一番怖い”を目指そうと決めました。
完成間近のいま、京香の愉快さと同時に、本当に怖いところまで到達できたと思うので、早く見ていただきたいです。

脚本・演出の平瀬謙太朗

平瀬 僕自身、原作のファンでして、すごく緊張感がありました。1番好きなのが「富豪村」というお話で、泉京香が初めて出てくるエピソードです。そんな思い入れのある泉京香のストーリーをやらせてもらえるのも、個人的にはすごくうれしい巡り合わせだなと感じました。

飯豊さんとは過去に他の作品でもご一緒していて、またご一緒できることを楽しみにしていました。ここまでこのシリーズを育ててくださった脚本の小林靖子さんや、渡辺一貴監督が作ってきた世界観をしっかりと受け継ぎながら、その上で僕たちなりに新しいものをどう作っていくか。それが我々の挑戦でもありました。視聴者の皆さんにぜひ最後まで見届けていただけたらうれしいです。


泉京香の漫画編集者としての一面

泉京香役の飯豊まりえ

今回、泉京香が主人公となることで、新たな一面が見られるのか、また、どんな工夫をしたのか、という質問が挙がった。

飯豊 まず、台本を読んだ時に、京香が露伴先生に対して、声を荒げるほどではないんですけど、初めて言い返すシーンがあって。露伴先生にとっても、泉くんにも、それぞれ譲れない部分があるんだ、ということが伝わってきて、そこが新しい一面だと思いました。

今回、泉京香が新人漫画家(堀田真由)を担当してデビューさせるのですが、その漫画家さんに対して自信を持っていたからこそ、ある指摘を受けて、泉くんが熱くなってしまうシーンがあります。そこからどんどん話が展開していくことになります。限られた撮影期間でも妥協せずに話し合って、京香らしさを共有しながら作っていけたのは面白かったですね。

これまで泉京香は、岸辺露伴の担当編集者ではあるものの、過去のシリーズでは、その具体的な仕事ぶりが描かれてはいなかった。そこで、関と平瀬は、『ジョジョの奇妙な冒険』の版元である集英社の担当者にも取材を重ねたという。

 今回、泉京香が主人公になる以上、編集者という基本設定をきちんと掘り下げよう、という話になりました。僕らはこのシリーズに初めて参加するので、土橋さんをはじめ制作のみなさんや、集英社の担当者と、深夜にも続く打ち合わせを何度もしました。その中でたくさんのことをインプットしていただき、担当作家に向き合う編集者の感情が自然と脚本ににじみ出てきたような気がしています。

平瀬 集英社の方々からは、編集として“こうあってほしい”という京香に望むものがあり、僕らも“そうなんだ”とハッとさせられることが多かったです。脚本に取り入れた部分もたくさんありますし、特にクライマックスでの京香のリアクションは、ご意見を受けてはっきりと変わりました。結果的にすごくいいシーンになったと思っています。


原作・荒木飛呂彦さんがプロット作りに参加

今回、原作者の荒木飛呂彦さんが脚本協力として参加している。どのようなやりとりがあったかも明らかになった。

平瀬 僕たちがプロットを書いて、荒木先生にお送りすると、コメントや新しいアイデアを次々と返してくださって。手書きでびっしり書いてあるものもあれば、相関図のようなものが描かれていたこともありました。それを僕らなりに意訳して脚本に落とし込んでいく、という形です。荒木先生のアイデアで増えたキャラクターもいますし、本当に発想がぶっ飛んでいるんですよね。

 堀田真由さんに演じていただいた、泉が担当する漫画家には、お兄さんの設定が追加されましたし。橋本淳さん演じる勘助役については、荒木先生のメモでは“フィアンセ”になっていました。シーズン1の「D.N.A」で、すでに太郎という“フィアンセ”が登場していたので、そこまで踏み切るのは難しくて、最終的には“彼氏”に落ち着きました。

土橋も、予想を軽々と超えてくる荒木先生のアイデアに驚かされたという。

土橋 お2人が書いている脚本の論理をポンと飛んでいくのは、制作チーム内では突破しきれなかった部分。荒木先生がポンポンと投げてくるボールを見て、“これだから荒木ワールドになるんだな”と実感しました。

 いい意味で、ジョジョって意味が“よくわからない”ところがあると思うんです。常識的じゃない。そのエッセンスを、脚本協力をとおして僕らに分けてくれていた、という感覚が近いですね。


難航したタイトル

また、「泉京香は黙らない」というタイトルがどのように決まったか、ということについても質問が飛んだ。

土橋 監督のお2人と僕、プロデューサー陣で何十案も出しましたが、どれも決め手に欠けていて。そんな中、助監督のセカンドの方が出してくれたのが、このタイトルでした。「岸辺露伴は動かない」にひっかけたいという気持ちはあって、「泉京香は動かない」も候補の1つとして考えていました。
「倒せない」など他にも案はありましたが、最終的には満場一致でこれに決まりました。助監督のファインプレーですね。

飯豊も、このタイトルをとても気に入っているという。

飯豊 すごく気に入っています。タイトルを見るだけで泉くんらしさが伝わってくるし、作品の方向性ともぴったり合っている、秀逸なタイトルだな、と思いました。

「泉京香は黙らない」メインビジュアル

関は、このタイトルとメインビジュアルがセットになった時に、決まった、と感じたと語った。

 すごく挑発的な表情をしているのに、どこか“黙らせない”感じがあるんですよね。本来はものすごくおしゃべりなキャラクターなので。いつもは「露伴せんせい〜」とまとわりつくような存在ですから、このビジュアルは本当にいいと思いました。背後には高橋一生さん演じる岸辺露伴がいて、2人とも自然とこのポーズをしましたからね。

「岸辺露伴は動かない」シリーズ最新作「泉京香は黙らない」は大型連休中の5月4日(月・祝)に放送される。


【あらすじ】
「そんな言い方、ひどいじゃないですか!」漫画編集・泉京香(飯豊まりえ)は、岸辺露伴(高橋一生)との打ち合わせで声を荒らげた。原因は、最近、京香が連載を立ち上げた新人漫画家・西恩ミカ(堀田真由)。
100万部の大ヒットだと得意気に語る京香に、露伴は「会話は強烈だが、絵やストーリーは平凡でアンバランス。この漫画家、なにかがおかしい」と痛烈に批判したのだ。京香は腹を立ててその場を後にする。
しかし、つい怒ってしまったのは露伴の指摘のせいばかりではなかった。京香自身も、ミカには違和感を覚えていたからだ。打ち合わせはいつも電話で、しかも兄の奏士(寛一郎)としか話をしたことがない。実はミカには会ったことがない。どうやって描いているかも分からない。
急に不安に駆られた京香は西恩邸へと赴き、強引に西恩ミカと対面する。しかし、ミカの様子に京香の不安は更に増す。いくら話しかけても何も答えない。代わりに答えてくるのは、ミカの横にピッタリと控える兄の奏士ばかりだった。


岸辺露伴は動かない「泉京香は黙らない」

5月4日(月・祝) 総合 午後9:30~10:30
NHK ONEでの同時・見逃し配信予定(ステラnetを離れます)

原作・脚本協力:荒木飛呂彦
音楽:菊地成孔/新音楽制作工房
出演:飯豊まりえ、堀田真由、寛一郎、橋本淳、高橋一生 ほか
人物デザイン監修:柘植伊佐夫
脚本・演出:関友太郎・平瀬謙太朗
制作統括:小川康之、土橋圭介、ハンサングン
制作:NHKエンタープライズ
制作・著作:NHK、ピクス

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