ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、脚本・吉澤智子さんから第60回の振り返りをご紹介!
脚本・吉澤智子さん振り返り

――りん(見上愛)の幼なじみ、竹内虎太郎(小林虎之介)が東京に出てきました。
虎太郎は、ずっとりんを支えてくれていました。彼も明治を象徴する人物として描かれます。虎太郎も東京に出てきて、これからどんどん出世して上を目指していきます。
実は明治時代は、自己責任論が興隆した時代なんだそうです。明治維新でドラスティックな改革が起きて、江戸時代には選べなかった自分の人生を選べるようになった。でも、その人生を選んだのは自己責任だということで、出世できないのは努力不足だと見なされ、そのような立場の弱い人に対して厳しい人が増えた、と。
そういう意味で、虎太郎は自己責任のもとで立身出世を夢見て、シマケン(佐野晶哉)のようなフワフワした文学者とは真逆の方向に成長していく、あの純朴だった彼が……、というイメージを持っています。
小林虎之介さんは、表情のお芝居がピカイチですね。あまり喋らなくても、そこにいるだけで虎太郎が何を考えているのかわかるくらいです。口に出せない忸怩たる思いを抱えて一歩を踏み出せない役にぴったりで、脚本家として本当に助けていただいています。言いたいけれども言えない、というシーンが多いのですが、虎太郎の気持ちがとても伝わってくるお芝居をしてくれています。