
71歳で吉本興業の芸人養成所・NSC(吉本総合芸能学院)に飛び込み、現在は“78歳の若手芸人”として活躍する「おばあちゃん」。持ちネタのシルバー川柳と底抜けに明るい性格を武器に、舞台やバラエティー番組、CMと活躍の場を広げています。いくつになっても人生は楽しめる──そんな希望を体現するおばあちゃんですが、その明るさの後ろには波乱に満ちた半生がありました。
聞き手 大倉順憲
この記事は月刊誌『ラジオ深夜便』2025年8月号(7/18発売)より抜粋して紹介しています。
高齢者の笑える日常を川柳に
──まず、「おばあちゃん」というのは芸名ですよね。敬称略で「おばあちゃん」とお呼びしてよろしいでしょうか。
おばあちゃん はい。そう呼んでいただけるとうれしいです。この4月で芸歴7年目の78歳、ヨボヨボの若手芸人です(笑)。
──声に張りがあってとてもお若いです。高齢者の“あるある”をつづったシルバー川柳を持ちネタとされていますが、1つご披露いただけますか。
おばあちゃん では、口上から参りますね。(スタンドマイクが目の前にある設定で)私が触れますと点滴に見えますが、マイクです。こんにちは、おばあちゃんです。ここからネタです。宅配便さんが来られました。どっこいしょと気合いを入れてから出るので、時間がかかるんです。そこで一句。
“チャイム鳴りやっと出たのに不在票”
明日も元気で楽しい日が迎えられますように。ありがとうございました。
──あはは、それ、よく分かります。おばあちゃんにしかできないネタですね。
おばあちゃん 若い方もおもしろがってくれますが、「分かる、分かる」と笑ってくださるのはやっぱり同世代ですよね。
乳がんを機に47歳で大学へ
──中学卒業後に就職、そして24歳で親の決めたお相手と結婚されました。
おばあちゃん 結婚後も働きました。小学生のころから大学で学びたいという夢があったんですが、親が行かせてくれなかったので自分で行こうと。学費が払えなくて休学した期間もありましたけど、通信制高校、短大となんとか卒業できました。
──ところが38歳で乳がんに。
おばあちゃん 当時は本人に告知しない時代でしたけど、うすうす感づいてはいましたね。乳房全摘のあとに卵巣、子宮と転移しまして、8年ほど入退院の繰り返し。あのころの記憶はほとんどないですね。
──気持ちを立て直したきっかけは?
おばあちゃん 手術後は人工乳房をつけていましたが、下着に擦れて痛くて大変だったんです。これは改善すべきだといろんなメーカーさんに電話をしても、話を聞いてくれない。だったら自分で何とかするしかない、そのためには4年制大学で学ぶしかない!と。
※この記事は2025年5月2日放送「78歳の若手芸人“おばあちゃん”」を再構成したものです。
71歳で芸人の道へ進むきっかけ、入学したお笑い学校でのおもしろエピソードなど、「おばあちゃん」のお話の続きは、月刊誌『ラジオ深夜便』8月号をご覧ください。

購入・定期購読はこちら
8月号のおすすめ記事👇
▼山﨑努 演じることと生きることは似ている
▼車浮代 江戸時代の台所で美と食を楽しむ
▼創刊100周年 紙の時刻表は永遠に不滅です!
▼5号連続企画①「戦後80年」兵士たちはなぜ死んだのか ほか