お手洗いの天井に大きな穴が開いている長屋で、のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)の新婚生活が始まりました。とても幸せそう。朝田家の面々と嵩の二人の母たち、金曜日は勢ぞろいでお祝いしてくれました。水曜日、涙のプロポーズも良かったですね~。
しかし……今週はのぶと薪鉄子(戸田恵子)先生との間に少し違和感が生まれたような??
では一週間を振り返っていきましょう。
もちろん、ネタバレですのでご承知おきください。
「何年かかっても、何十年かかっても二人でその答えをみつけてみ」

嵩に「好き」と言えてから3か月後、薪鉄子代議士の選挙運動で今度はのぶが高知に来たところからスタート。
慌ただしい選挙運動の隙間に、事務補助員の世良則雄(木原勝利)から「30秒だけ時間をあげます」と言われて嵩のところにかけよるのぶ。(世良さん、本当に秒読みするんです~)
急いで言葉を交わすのぶと嵩。
「次はいつ、東京来るが?」
嵩は東京に行きたくて、仕事を辞めたい様子……。
なかなか会えなくて寂しいのはのぶも同じ。
八木のところにこぼしに行くと……アキラ(番家玖太)が詩集を“かっぱらって”きた。
タイトルは「厄除け詩集」……?
八木は「見たことある詩集だな」
そこに「返してくれ」と駆け込んできたのは嵩!
のぶ「久しぶり」

鉄子から借りた部屋に嵩を案内し、二人の時間を過ごす。
蘭子(河合優実)は『月刊くじら』の記事を書いている、など近況報告する。
部屋があるのはガード下。時々電車の轟音が邪魔をする。
嵩「実は、新聞社、辞めた」
のぶ「え? そうなが?」

そこで嵩の回想。東海林(津田健次郎)に辞めることを告げた場面だ。
東海林「ほんとのこと言え。のぶと一緒になるためやろ?」
編集部の二人、岩清水(倉悠貴)と琴子(鳴海唯)もわかっている。
東海林「仕事よりも大変な使命がある。入社試験で戦争について聞かれた時、おまえはこういいよった。例えば、自分が正義だと思っていても、相手の立場になれば自分は悪になってしまう。何が正しいのか。逆転しない正義とは何か」
嵩「はい。そういいました」
東海林「のぶもおんなじようなこと言いよった。おまえとのぶは性格も行動力も正反対や。けんど、根っこのところが似ちゅうがかもしれんな。何年かかっても、何十年かかっても、二人でその答えをみつけてみ。わかったな」
「はい、ありがとうございます」と深々と頭を下げる嵩だった。
のぶ「嵩、二人で見つけようね」
「どんなに忙しくても、漫画は描くから」
二人の食事はすいとん。
何をしたい? と尋ねられ、「とりあえず、思いっきり漫画を書きたい」
泊まるところがないなら、ここにいたら? というのぶに
「それはまずいよ。ここいろんな人が来るし」と、嵩の視線は次郎(中島歩)の写真へ。
そこに戸を叩く音が。
のぶが出ていくと立っていたのは登美子(松嶋菜々子)!

艶やかな着物は、大ぶりの朝顔と藤の柄だ。
「のぶさん、お久しぶりね」
嵩「かあさん!」
嵩は自分のことを手紙で登美子に知らせていたようで……
登美子「三人でお祝いをしようと思ってお酒を買ってきたの」
何のお祝い? と聞く嵩にさらっと、
「決まってるでしょう。あなたが無事に帰ってきたこと。それから……のぶさんとのことよ」

登美子は3度目の軍人の夫に先立たれ、今は夫が遺した目白の家で暮らしているとか。
部屋にあった次郎の写真を見てハンサムだと褒めたあとのぶに
「新聞社も辞めてしまった、無職の嵩でいいの?」
のぶは嵩が漫画を描くことを応援する、という。
ギモンだらけの登美子に向かって
のぶ「私は嵩さんの才能を信じちょります。嵩さんの絵はみんなを笑顔にしたり、絶望から立ち直らせる力があると思うがです」
登美子「才能があるなんて、嵩をそそのかすのはやめてちょうだい」
のぶ「お母さんは、嵩さんの才能を知らんだけやと思います」
登美子「のぶさん? 私が嵩のそばにいてやれなかったから、息子のことを何もわかっていないと?」
のぶ「嵩さんの漫画は本当にすごいと」
登美子「嵩、あなたがしっかりしないからいけないのよ?」

のぶと登美子の口論から逃げ出した嵩は八木のところに駆け込む。
「もう、強烈な母親なんです。息子を困らせる天才というか」
八木はあきれて
「なぁ、俺の屋台には『人生相談所』って看板でも出てるか?……あの子も、悩み事があるとそこに座る」
……「あの、厚かましいお願いではあると思うんですけど、今日、というか住むところが見つかるまで、八木さんのところに泊まらせてもらえませんか?」
(※北村匠海 振り返りインタビュー)

翌朝、のぶは出勤前に嵩のところにやってくる。酔いつぶれた登美子はまだ寝ているらしい。
「お母さんになんと言われたち、嵩は漫画を描くべきや」
鉄子は政権与党の代議士となり、多忙な日々を過ごしている。
ガード下の女性たちにもしばらく会いに行けていないらしい。
のぶは、少しでも時間ができたら会いに行って欲しいと訴えるが、世良が立ちふさがる。
のぶ「町の人の声を聴くがは邪魔なんですか?」
世良「民の声を政治の世界に届けるためにはそれ相応の地位が必要なのです」
鉄子は次の予定のため出て行ってしまった。

嵩がのぶの部屋に戻ると、まだ登美子がいた。
夕べまであった次郎の写真がなくなっていることに嵩ははっとする。
母子は一緒に喫茶店に行くことに。
“昔、三星百貨店で買い物した後、ここでよく父さんと待ち合わせした”という喫茶店だ。
「そうそう、嵩、三星百貨店で宣伝部の社員を募集しているんですって。嵩、採用試験受けてみたら?」
受かるわけがない、という嵩に、
「嵩、あなたはやればできる子なのよ……ちゃんとしたところに就職して、のぶさんを安心させてあげなさい。それが男のつとめですよ」

一方、自室に戻ってきた鉄子は“児童福祉法の草案がまとまった”と機嫌がいい。
嵩の就職の相談にも乗る、という。
のぶ「彼は、漫画を描くために上京したがです、そのためやったら貧乏でもええがです」
世良「不幸のにおいがプンプンしますね」
ガード下には七夕飾り。闇市で子どもたちと短冊を書いているのぶの元へ嵩が現れた。
「仕事、見つけた」
のぶ「漫画の仕事もう見つかったが?」
嵩「違うよ。三星百貨店に就職が決まったよ」
周囲で聞いてた女たちはおめでとうと盛り上がるが、のぶは、ちょっとびっくりした様子。八木も不満そうな表情を見せるが……。
浮かない顔ののぶに、嵩は言う。
「どんなに忙しくても、漫画は描くから」
「ほんまに?」
そこで初めて笑顔になったのぶ「がんばり」
まずは給料をためて、一緒に暮らせるところに引っ越そう、という嵩なのだった。
「いつもまっすぐ、ひたむきに走るのぶちゃんのことを、子どものころからずっと愛しています」
就職した三星百貨店で、ひな人形のポスターを書いている。活躍しているらしい。
そこへ上司から、洋画の猪俣昇一郎先生に描いてもらった新しい“包装紙”のデザインを、田園調布の家まで取りに行くよう言われた。

包みを開けると……オレンジと赤の不思議な模様が不規則に並んでいる。切り絵(?)のようだ。
(実際、やなせたかしさんが就職したのは三越百貨店ですから、ドラマの包装紙もちょっとそのイメージがあります)
社員たちは口々に
「なんだこれ?」「これ本当に猪俣先生のデザインか?」「柳井さんが適当に貼り付けただけじゃないんですか?」
嵩「違いますよ。みつぼし、という字はこっちで書くように言われました。場所も指定してあります。ここに」

嵩はローマ字の筆記体で「Mitsuboshi」と記入した。
(※アンパンマンミュージアム学芸員・仙波美由記さんインタビュー)
のぶがガード下を通りかかると、いつも八木のところにいる孤児アキラの様子がおかしい。
そこにガード下のメンバー「マサ子」と「ケイ子」が通りかかり、アキラの引き取り手が見つかったらしい、と言う。
「年明けにはここを発つみたい」

一方、鉄子の事務所では……
児童福祉法の公布についてのパンフレットづくりをのぶは命ぜられている。
鉄子「のぶさん、元気ないねぇ」
のぶ「法の整備も進んで、少しずつみなさん前に進みゆうがですけど、取りこぼしちゅうこともあるような気がして」
それを聞いた世良は“私たちの仕事は国のルールを作ること、そこから先は各人が努力してつかみ取るほかない”という。
ガード下の自宅に戻ると、嵩が待っていた。
職場の人の紹介で、中目黒の長屋を借りられることになったというが、言いたいのはそのことではないらしい。
ようやく「のぶちゃん、今日は大事な話があって……」

そこで戸がノックされる。……登美子だ。
“三星百貨店の包装紙は嵩のデザインだ”とすっかり思い込んでいる登美子は、
「そうだわ、結婚式の引き出物は、嵩がデザインした包装紙で包みましょうよ」
そこで、固まった嵩と、戸惑いの笑顔を浮かべるのぶ。
登美子「まさか、まだ?」
嵩は優しいから、死んだ次郎に気兼ねしているのだとのぶは言った。
そこで嵩が「のぶちゃんも」と言い出す。
「ぼくがここに来てから、次郎さんの写真、ずっとしまったままだから。ぼくは次郎さんを愛して結婚したのぶちゃんを好きになった。前よりもっと。だから気兼ねしないで、次郎さんの写真を堂々と飾ってほしい。もう一つ、のぶちゃんに言えなかったことがある。
千尋はのぶちゃんのことが好きだったんだ。千尋ののぶちゃんへの想いを知ってずっと告白できなかった。その背中を蘭子さんが押してくれたんだ」
ここまで言うと、登美子に向き直り
「母さん、今日だけでも、二人きりにして欲しい。ごめん」
「そう、わかったわ」と登美子が出ていき……

嵩「のぶちゃん、ぼくは、いろいろな人に背中を押されて今があって、勇気が生まれて、情けないけどぼくひとりではのぶちゃんに気持ちを伝えることはできなかったと思う。
でもね、ぼくは誰よりものぶちゃんの強い部分も、弱い部分も知ってる。誰にも見せない涙も知ってる。みんなを助けたいっていう愛情も知ってる。まっすぐな正義感も、全部、全部好きだから。だから、ぼくから言わなくちゃいけないことがある。
のぶちゃん、いつもまっすぐ、ひたむきに走るのぶちゃんのことを、子どものころからずっと愛しています。千尋の分も、次郎さんの分も。ぼくが幸せにします。結婚してください」
(ようやく言えた! プロポーズ!)
「ふつつかもんですけんど、よろしゅうお願いします」
二人とも、涙を流しながら優しい笑顔で見つめ合うのだった。
「幸せって誰かにしてもらうもんやのうて、ふたりでなるもんやないろうか」

昭和23年の正月、のぶと嵩はガード下から引っ越すことになった。
別れの日、八木がアキラを連れてくる。
アキラ「のぶさん、ありがとう。いっぱい本を読んでくれて、ありがとう。字も教えてくれてありがとう。おれのこと、忘れないでね」
のぶ「アキラくん、ありがとう」

リヤカーで家財を運んで引っ越し。のぶは新居に興味津々の様子。
夕方、雨が降ってきた。
お手洗いから戻ってきた嵩はずぶ濡れで……。
のぶ「なんでずぶ濡れだが?」
嵩「あな、穴が開いてた。天井にこんなおっきな穴」
のぶ「たまるか~」と大笑い。
「晴れちゅう日は青空が見えて気持ちよさそうやね」
それでも楽しそうなのぶと嵩。
そこに世良が訪ねてきた。鉄子先生から引っ越し祝いのふとんを届けに来た、という。
世良「礼は先生に言ってください」
のぶ「はい、明日、お目にかかったときに」
世良「今日言ってください。新年早々申し訳ありませんが、先生がお呼びです」
鉄子と世良は地方に行くので、事務所に泊まって電話番をせよ、というのだ。
世良「30秒だけ時間をあげます。29、28、……」
新婚生活はスタートからバタバタだ。

「ただいま」「おかえり」
それだけで、ちょっとウキウキしている二人。
そこへ羽多子(江口のりこ)、くら(浅田美代子)、蘭子(河合優実)、メイコ(原菜乃華)がそろってやってきた。
羽多子「いい部屋やねぇ」
くら「物置みたいにかわいい部屋や」
部屋は朝田家の女たちでみるみるあふれ……嵩は八木に助けを求める。
「明日は八木さんのところから出勤させてください」

そういえば、と八木が言い出す。「テジマオサムシ、だっけ、あの漫画家、医学生らしいな」
嵩「医学生? 医者目指しながらあんなに面白い漫画描いてるんですか」
八木「そうらしい」
嵩「まぎれもなく天才です。ああいうのを読むと猛烈に焦ります。早く漫画描きたいなって」八木「じゃあどうして就職なんてしたんだ」
嵩「のぶちゃんを幸せにしたいんです」
八木「らしくないな、お前は。お前の気持ちはどうかと聞いてるんだ」
嵩「まずは、愛する人を喜ばせたいです」
お前がそれでいいなら、という八木に
嵩「八木さんは、家族はいるんですか?」
八木「いたよ」……過去形に、絶句する嵩。

三星で、嵩の仕事は早い。さっさとショーウインドーのデザインを終わらせ、手嶌治虫の漫画をそっと取り出し……ため息。
と、そこへ羽多子が訪ねてきて、今夜は長屋に戻って来るよう言われ……。
勤め帰りののぶと家の前で落ち合って、玄関を開けると……
くら以下、朝田家の女たちが、みっちり。
こわ~い顔をして「嵩くん、のぶ。落ち着いて聞いてよ」
のぶ「どういたがで?」
「結婚おめでとう!」
みんなからのお祝いサプライズだ!
ご祝儀はあんぱんだった。
金曜日はのぶと嵩の結婚のお祝い会から。
くらが釜次(吉田鋼太郎)の写真を持ってきて、朝田家は揃っている。
くら「ほんまは嵩くんのお母さんも呼びたかったけんど」
嵩「あの人がいると、いろいろやっかいなので」

登美子「あの人ってわたしのことかしら?」
ガラリと玄関から登場。ゴージャスな毛皮の肩掛けを羽織っている。
「やっかいものの、母でございます~」とにっこり頭を下げる。
登美子「もうひとりいらっしゃいますのよ?」と招き入れたのは千代子(戸田菜穂)。
千代子「嵩さん、お久しぶり……うれしゅうて御免与町から飛んできました」

ちゃぶ台を8人(!)が囲んでのお祝い会。(嵩以外は全員女性だ)
寛伯父さん(竹野内豊)、千尋(中沢元紀)、釜次、次郎の写真と結太郎(加瀬亮)の帽子が並べられている。
くら「のぶはこんまいころから向こう見ずで、いつもひやひやさせられよったがよ。あんたもえろう振り回されたねぇ。けんど、嵩くんにはぴったりの嫁やと思う。こればあ気の強いおなごがついちょったら、柳井嵩はきっとひとかどの人物になるがやき。あてが保証します」
嵩「ぼくもそんな気がしてきました」
男はみんな、しっかりした女に支えられて、ひとかどの男になる、という話になる。
(まあ、嵩以外は女性たちなので……)

蘭子が“豪ちゃんに一生分の恋をした、それが心の支え”と言うと、登美子は泣き出して蘭子に抱きつく。「あなたの気持ちわかるわ~」
嵩が「母さん父さん死んでから2回も結婚してるじゃない」と突っ込むと
登美子「一生分愛したのはあなたの父さんだけよ」
メイコの歌で盛り上がり、最後にくらが嵩に「長生きしてね、のぶより長生きしてね。生きてさえおりゃ、貧乏でもえい」(きっと釜次に先立たれたのが辛かったんでしょうね)

盛り上がるお祝いの席から外に出てきたのぶと嵩。
「これからがんばるよ、のぶちゃんに負担かけないから」と嵩が言うと
のぶ「嵩、そんなにがんばらんでええきね」
嵩「がんばりたいんだ、のぶちゃんのために」
穴の開いた天井から星を見上げて(ということは、ここはお手洗い⁈)
のぶ「うち、こじゃんと幸せ。嵩とおるだけで。でも、今が一番幸せやったらいややな」
嵩「ぼくがもっと幸せにする」
のぶ「幸せって誰かにしてもらうもんやのうて、ふたりでなるもんやないろうか。……ふたりで探していこう。何が起きてもひっくり返らんもの」
嵩「そうだね。ふたりならきっと見つかる」
のぶ「ねえ、嵩。うち嵩とあえてほんまによかった」
そっとのぶの肩を抱く嵩。優しいキスのあと、照れくさそうに前を向く嵩。その肩にそっと頭を載せるのぶだった。
(※北村匠海 振り返りインタビュー)

翌日、高知に帰る朝田家の面々を見送るのぶと嵩。
くらは振り返り「ありがとう」
最後にナレーションが、くらが亡くなったことを告げた。
今週最後の「ほいたらね」は、くらの声でした。別れの時のやさしい、明るい笑顔が印象に残りました。
最後のキスシーンの場所はいわゆる“トイレ”なんですよね。画面上は穴の開いた天井しか見えてませんでしたが、冷静に考えると……ちょっとクスっと笑えるシチュエーションです。
さて来週のタイトルは「勇気の花」。アンパンマンの元気の源になっている花の名前で、そのエキスは重要なアイテム。「勇気の花がひらくとき」という歌もあります。なんだか私たちの知っているアンパンマンにちょっとだけ近づきそうな予感。楽しみに待ちましょう! ほいたらね。