4年に1度開かれる、聴覚に障害のあるアスリートたちの国際スポーツ大会「デフリンピック」。
11月15日(土)~26日(水)に、日本で初めて開催される「東京2025デフリンピック」に向けて、NHKは関連番組の出演者や番組内容を発表。メディア向けの説明会には、特番の司会を務めるNHKアナウンサー北野剛寛、後藤佑季、千葉美乃梨、池間昌人が登壇し、大会の魅力や特番の見どころについて語った。
デフリンピックをきっかけに、聴覚障害のことを知ってほしい

開会式の様子を伝える特番「世界のデフアスリートが集結 開幕!東京2025デフリンピック」(11月15日[土] Eテレ 午後8:00~)の司会を務めるのは、北野剛寛アナウンサーと後藤佑季アナウンサー。
北野アナウンサーはパラリンピックメダリストへのインタビュー経験を持つスポーツキャスター。後藤アナウンサーは、人工内耳を装着して生活をしている聴覚障害の当事者でもある。2人は「デフリンピックをきっかけに、聴覚障害のことや競技の魅力を伝えたい」と言葉に力を込める。
北野「以前、パラリンピックの選手の方にインタビューをしたとき、選手がご両親に向けて『生んでくれてありがとう』と話しておられたことが印象に残っています。障害のある皆さんが自分の限界に挑戦している姿にすごく胸を打たれて、その後、個人的に手話の勉強を始めました。現在、手話サークルに通っていますが、ろうの先生たちが口をそろえておっしゃるのが“今回のデフリンピックをきっかけにして、ろうの文化や競技の魅力をいろんな方に知ってもらいたい”ということでした。一生懸命、選手や競技の魅力を伝えていきたい」と語る。
後藤「私は生まれた時から聴覚障害があり、左耳に人工内耳を装着して仕事や生活をしています。取材者として、そして障害のある当事者として、選手や関係者に取材をするなかで、皆さんおっしゃるのは“自分のプレーを見てほしいけれど、1番はデフリンピックや聴覚障害のことを知ってほしい”という言葉でした。聴覚障害は、コミュニケーションの障害です。見た目では分かりづらく、日常生活のなかで理解されにくいこともあります。だからこそ、選手の思いや競技の魅力を丁寧に取材し、皆さんに届けたい」と意気込みを語った。
今回、東京や静岡、福島を会場に、70以上の国と地域から、3000人を超えるアスリートが参加。21競技すべてに日本選手が登場する予定だ。
北野「全ての競技に選手それぞれのバックグランドやストーリーがあります。SNSで選手を集めた競技や、偶然の出会いから代表に選ばれた選手など、競技ごとにドラマがあります。ぜひ21競技すべてに注目してほしい」と呼びかけた。
「注目する選手は?」という記者からの質問には、
後藤「すべての選手にストーリーがあるので全員、と言いたいところですが、1人挙げるとするなら、デフリンピックの存在意義を教えてくれた、競泳の茨隆太郎選手です。彼が自己ベストを出しているのは、デフリンピックだけなんです。というのも“聞こえる”大会だと、いろんなコールやお知らせのアナウンスを見逃さないよう、常に気を遣いすぎて競技の前に疲れてしまう、ベストの自分を出せないんだ、と教えてくれました。デフリンピックは聴覚障害者アスリートのためにスタートランプや旗などでお知らせする工夫がされており、最高の自分を出せる舞台だと語っていました」と紹介した。

番組では、手話通訳、音声と字幕のずれがない「ぴったり字幕」、副音声の解説放送をつけた「ユニバーサル放送」で、誰もが番組を楽しめる内容を目指す。
北野「『ぴったり字幕』は映像を30秒遅らせて字幕と音声をぴったり合わせる技術。視覚障害の方には副音声もあり、すべての人に配慮した番組です」と説明した。
皆さんと一緒に選手の活躍を振り返ることができたら

閉幕直後に熱戦を生放送で振り返る特番「ハートネットTV #ろうなん~デフリンピック閉幕スペシャル~」(11月26日[水] Eテレ 午後8:00~)の司会を務めるのは、千葉美乃梨アナウンサーと池間昌人アナウンサー。
千葉アナウンサーは、今年4月から「ハートネットTV」(毎週月曜~水曜 Eテレ 午後8:00)でキャスターを務めている。
千葉「アスリートの皆さんは、自分の頑張っている姿を通して、これまで出会った人たちへの感謝と、ろう・難聴を抱える子どもたちの希望になりたいと語っていました。その姿がとても印象に残っています。『ハートネットTV #ろうなん』は、ろう・難聴の皆さんの世界を知って想像するという機会を与えてくれる番組です。東京デフリンピックを機に、ろう文化・難聴文化を知っていただく機会が多くなると思いますが、大会後も番組を通して、視聴者に“気づき”と“想像力”を育む場を提供したい」と話す。
池間アナウンサーは、リポーターとして2022年から「ハートネットTV #ろうなん」で東京デフリンピックに向けて、選手の活躍や競技の魅力を取材してきた。
池間「#ろうなんのリポーターを担当して初めてデフリンピックの存在、そしてパラリンピックより歴史があるということ、東京で初開催されることを知りました。最近では駅でポスターが貼られていたりしますが、まだまだ知らない方が多くいらっしゃるのではないかと思います。ぜひ、#ろうなんを含めて、NHKでのさまざまな関連番組を通して、広く伝えていきたいです。そして、レジェンド選手・新人選手の活躍を期待しながら、閉会特番で皆さんと一緒に選手の姿を振り返ることができたらうれしいです」と語った。
デフリンピックは今年創設100周年。今回の「東京2025デフリンピック」は記念すべき大会となる。NHKでは選手の思いや競技の魅力を発信する番組が多数予定されている。番組を通して、選手たちの熱い思いに触れながら、競技をじっくりと楽しみたい。
◆東京2025デフリンピック関連番組◆
(※番組タイトル・放送日時は変更になる場合があります)
世界のデフアスリートが集結 開幕!東京2025デフリンピック
11月15日(土)Eテレ 午後8:00~9:15(生放送)
※NHK ONEでの配信あり(ステラnetを離れます)
東京・渋谷区の東京体育館で当日開催される開会式の様子をハイライトで放送します。デフリンピックの歴史や意義、無音の世界で競い合うデフリンピック競技ならではの見どころ、そして注目選手の情報などを伝えます。誰もが番組を楽しめるよう、手話通訳、音声と字幕のずれがない“ぴったり字幕”、副音声の解説放送をつけた「ユニバーサル放送」でお届けします。
MC:岡部大(お笑いトリオ・ハナコ)、北野剛寛アナウンサー、後藤佑季アナウンサー
ゲスト:栗原恵(元バレーボール女子日本代表)、長井恵里(俳優)

ハートネットTV #ろうなん11月号~開幕直前!わたしの推しデフアスリート~
11月5日(水) Eテレ 午後8:00~8:30
※NHK ONEでの配信あり(ステラnetを離れます)
「ハートネットTV」でもデフリンピックを特集。個人的な推しアスリートや、注目競技、過去の大会にまつわるクイズコーナーなど、選手愛あふれる皆さんと、ちょっぴりマニアックにデフリンピックを深堀り! さらに、大会開催に合わせて上演される、ろう者と聴者の舞台作品についてもご紹介、デフリンピックを思う存分楽しむための情報をお届けします。
MC:千葉美乃梨アナウンサー
ゲスト:橋本一郎(手話通訳士)、手塚満里(元デフバドミントン日本代表)、水口みらい(俳優)

ハートネットTV #ろうなん~デフリンピック閉幕スペシャル~
11月26日(水)Eテレ 午後8:00~8:30(生放送)
※NHK ONEでの配信あり(ステラnetを離れます)
閉会式が行われる日の「ハートネットTV」は、12日間の熱戦を生放送で振り返ります。前回大会で新型コロナウイルスの感染拡大により棄権を余儀なくされた日本の女子バレーボールチームの雪辱は果たせたのか!? その他、注目競技・選手の活躍をハイライトで伝えます。
MC:千葉美乃梨アナウンサー、池間昌人アナウンサー
ゲスト:橋本一郎(手話通訳士)

超越ハピネス 手話で楽しむSP
11月14日(金)Eテレ 午後10:00~10:30
※NHK ONEでの配信あり(ステラnetを離れます)
互いの人生を認め合う1組の“超ハピメイト”を招いて、世間の固定観念を超越した多様な幸せのカタチを語り合うトークバラエティー「超越ハピネス」。今回の“超ハピメイト”は、「NHK 手話ニュース845」でキャスターを務める、俳優の那須英彰さんと、手話エンターテイナーの娘の那須映里さん。
映里さんは、およそ100人の国際手話通訳者の1人として東京2025デフリンピックで活躍予定。「もしろう者じゃなかったら、手話で楽しむ現在の人生ではなかったと思うので、今がとても幸せ」と語ります。英彰さんは、「人生でやりたいことリスト100」を作り、すでに82を達成。「“聞こえる”、“聞こえない”の二極ではなく、人生を楽しむことが大切」だと言います。大会前日、超アクティブな親子の人生観を、全編手話つきでお伝えします。
MC:岩田剛典(三代目 J SOUL BROTHERS)
ゲスト:平子祐希(アルコ&ピース)、福田麻貴(3時のヒロイン)、八木勇征(FANTASTICS)

首都圏情報 ネタドリ! 開幕直前!東京2025デフリンピックに集う思い
11月14日(金)総合 午後7:30~7:57(生放送)
※NHK ONEでの配信あり(ステラnetを離れます)
開幕前日、ハナコの岡部大さんと、大会の意義とそこにかけるアスリートたちの姿を伝えます。9月の陸上世界選手権にも出場した円盤投げの湯上剛輝選手は「健常者と障害者に壁はない」ことを示すため、大会での優勝を狙っています。テニスの親松直人選手は、大会を機に多くの人にインクルーシブについて考えて欲しいと各地を回っています。大会独自のルールや楽しみ方も伝えながら、日本で初めて開催されるデフリンピックに集う思いに迫ります。
MC:首藤奈知子アナウンサー
ゲスト:岡部大(お笑いトリオ・ハナコ)

週刊情報チャージ!チルシル デフスポーツの魅力を中継で紹介!
11月22日(土)総合 午前9:00~9:30(生放送)
※NHK ONEでの配信あり(ステラnetを離れます)
デフリンピック開催期間中、東京・世田谷区の駒沢オリンピック公園で開かれるイベント会場から中継。デフスポーツならではの魅力や、音のない世界で戦うアスリートたちの驚くべき能力をお伝えします。さらに、デフリンピックから生まれた新たな応援スタイル「サインエール」についても紹介!
MC:佐々木希、江原啓一郎アナウンサー、後藤佑季アナウンサー、みちょぱ(池田美優)※声の出演

スポーツ×ヒューマン ふたりでふたり以上に~デフバドミントン 矢ケ部紋可・真衣~
10月27日(月)NHK BS 午後11:25~午前0:10
11月7日(金)総合 午前1:20~2:05 ※木曜深夜(再放送)
※NHK ONEでの配信あり(ステラnetを離れます)
打球音もパートナーの声も聞こえない世界で2人が目指すのは、世界の頂点――
デフリンピックの注目競技のひとつデフバドミントン、矢ケ部紋可(姉)選手と真衣(妹)選手は姉妹ダブルスで挑みます。常に競技成績でリードしてきた妹、そしてその背中を必死に追いかけてきた姉。音のない世界であるがゆえに2人が磨いてきたのは、パートナーの動きやシャトルに込められた相手の意図を見極める「目」。国内外の大会や強化合宿など、最高の「あうんの呼吸」を目指す日々に密着します。

スポーツ×ヒューマン 限界を超えて跳べ~デフバレーボール 狩野拓也~
12月15日(月)NHK BS 午後11:15~午前0:00
12月26日(金)総合 午前1:20~2:05※木曜深夜(再放送)
※NHK ONEでの配信あり(ステラnetを離れます)
仲間の心の成長を支える先にメダルがある―― そう信じるのは、デフバレーボール日本代表をキャプテンとして引っ張る狩野拓也選手。過去2大会で得点を量産したチームのエースで、普段は医師として働いています。ミスが許されない職場で、なによりも大事にしているのが、同僚との濃密なコミュニケーション。悲願のメダル獲得に向けて代表の仲間には積極的なメンタリティを求めています。
障害があることで引っ込み思案になった経験を持つチームメイトたちは、果たして殻を破ることができるのか、狩野選手と仲間たちの日々を見つめます。

スポヂカラ!デフリンピックSP
12月23日(火)NHK BS 午前0:00~0:44 ※月曜深夜
今回は11月に日本で初開催される「デフリンピックのチカラ」。去年の世界選手権を制し、過去のデフリンピックでも金メダルを獲得しているバレーボール女子。しかし、デフリンピックは認知度が低く、その活躍もなかなか知られずにいます。こうした状況を、自国開催を機に変えようと奮闘する選手たちの思いに迫ります。さらに、大会に向け、“見えない障害”とも言われる聴覚障害者の事や、ろう文化の手話を学んだり、触れたりする機会も増えています。手話をベースにした新しい応援「サインエール」の取り組みにも密着、応援を通して得た新たな気づきとは!?
MC:田村淳、宮本真智アナウンサー
このほか、「みみより!解説」、「午後LIVEニュースーン」「首都圏ネットワーク」「おはよう日本」や「ニュースウオッチ9」のスポーツコーナー、「サンデースポーツ」、「NHK手話ニュース」、また、ラジオ「Nラジ」や「NHKジャーナル」などでも、大会の見どころや選手の活躍を放送する予定です。