12月19日、夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」の会見が行われ、出演の北香那、天野はな、制作統括の石澤かおるが登壇した。


香那ちゃんのお芝居は、観る人が思わず愛してしまう魅力がある

本作は、“ラーメン×バレエ×女の友情”をテーマにした、ちょっとブラックな大人のためのコメディーで、劇作家・演出家・俳優の岸本鮎佳がオリジナル脚本を担当している。
主人公は広告代理店で働く佳里奈かりな(北香那)。大人向けのバレエウェアブランドの発表会を担当していたが、予定していたバレエダンサーが来られなくなり、きゅうきょ、佳里奈が代役としてバレエを踊ることになる。さらには、幼少期にバレエ教室で出会ってから20年来の親友・優美ゆみ(天野はな)から突然絶交を言い渡されてしまい、そこからふたりの友情が戻るのか……、というストーリーだ。

北は、脚本の岸本鮎佳のファンであることを明かした。

 私、岸本鮎佳さんのファンで、この作品にすごく思い入れがあります。ラーメン、バレエ、絶交のブラックコメディという岸本ワールド全開の脚本で、「絶対に面白いじゃん!」と。同時に、主演をさせていただくことへの責任や、自分がこの脚本をどこまで広げられるかという不安もありました。でも、キャストとスタッフのみなさんと最高の時間を過ごすことができ、今は視聴者のみなさんに早く届けたい気持ちでいっぱい。感謝しています。

そして、北と天野がお互いの魅力について語った。

天野 香那ちゃんのお芝居は、観る人が思わず愛してしまう魅力があるといいますか……。ドラマの中では大暴走を繰り広げる、大変面白いキャラクターなんですけど、みんなが思わず大好きになっちゃうような、想像したことのないようなお芝居をしています。いつもリハーサルで笑っちゃって、悔しい思いをしていたくらい。何をしても愛されてしまう魅力が素晴すばらしいなと思っていました。

 佳里奈は感情の起伏が激しかったりもするのですが、はなちゃんのお芝居を見て受けていると、自然に気持ちがこみ上げてくるんです。そこにはすごく真剣な緊張感も漂っていました。はなちゃんは、カメラが回ると普段話している時からガラッと変わるんです。切り替え方と空気の作り方がとても勉強になりました。あと、私の放った芝居をしっかりと受けてくださいます。安心して自分の思う芝居ができたのは、はなちゃんのおかげでした。

なぜこの2人を起用したかについて、制作統括の石澤が明らかにした。

石澤 佳里奈という役は、台本だけ読むと、ちょっと友達になりたくない、ややこしい女です。でも、主人公なので嫌われては困る。そんな難しい役をどなたにお願いしようか考えた時に、以前から北香那さんのお芝居には愛らしさがあって、見ていると思わず好きになっちゃうと感じていたことを思い出して。それで北さんのプロフィールを調べたら、バレエ経験があると書いてあったので、「ラッキー!」と思いオファーしました(笑)。
優美は現役のバレリーナに見えなければいけないので、やっぱり経験者の方じゃないと無理ということで、4月に経験者のオーディションをしました。お芝居とバレエを見せていただいて、その中から天野さんにお願いしたい、ということになりました。

天野がオーディションを受けた時、「バレエ経験者の俳優を探している」ということしか聞いておらず、どんな役かは全く知らなかったという。

天野 私も9歳から21歳までクラシックバレエを習ってはいましたが、10年近くのブランクがある中で、大丈夫かなと思いながらオーディションを受けました。クラシックバレエをしている役でドラマに参加できるのはもちろんよかったのですが、30代という等身大の、そして女同士の友情を描いたドラマに出演するということはかなりのサプライズで、すごくうれしかったです。


この撮影で何年分かのラーメンは食べた

北が演じる佳里奈は無類のラーメン好きで、人気ラーメンブログを書いている設定。ドラマの中でもラーメンを食べるシーンが多い。

 この撮影で何年分かのラーメンは食べたんじゃないかなと……。日によっては1日7杯ぐらいのラーメンを食べることもありました。もともとラーメンは大好きなんですけど、自分の中ではたまのご褒美的な感じだったので、撮影中は毎日のようにご褒美をいただけたようで、いい時間でした(笑)。
ラーメンを食べているシーンをモニターで確認すると、一口の量が多くて、しゃくも全然していませんでした。ただただ美味おいしく食べていただけですが、スピード感や一口の大きさが、視聴者の方々のラーメン欲をそそる要素になったらいいなと思っています。

本作は、“ラーメン×バレエ×女の友情”がテーマだが、タイトルも含めてどのようなドラマなのか予想もつかない。そこで、2人にこの作品の共感できる部分や面白いと思えるところはどこか、という質問が挙がった。

 この作品には“愚か”という裏テーマもあります。誰しも少なからず愚かな部分を持っていると思いますが、ふだんの生活の中では他人からどう見えるかを考え、隠しているもの。だけど、佳里奈にはその理性をコントロールする才能がないんです。
例えて言うなら、いろんな障害物のある迷路を直進だけで進もうとするみたいなところがあって……。必ず壁にぶつかっちゃうんだけど、それでも諦めない面白さ、憎めなさがあるんですね。そこが私には面白いと思いますし、視聴者のみなさんにも伝わるといいなと思いながら演じました。
あと、登場するキャラクターがそれぞれちょっと変なんです。共感できる部分と共感できない部分があって、そんなところをツッコミを入れながら観ていただいても楽しめると思います。

天野 私にも共感できる部分がありました。第1週の終わりで、佳里奈が、2人の友情がうまくいっていた頃を思い出して涙してしまうシーンがあるのですが、私も30歳まで生きてきて、佳里奈のような音量で泣いてしまいたい時があります。
「この人たちなんだろう?」と思って観ていたら、ふと「わかるかも……」となる瞬間が訪れたりするので、その相反する感じを突っ込んだり、共感したりしながら楽しんでもらえたらうれしいですね。

第1話では、佳里奈がバレエウェアブランドの発表会で急遽バレエを踊る場面があり、親友の優美はプロのバレエ団に所属しているという設定がある。そのため、北と天野は撮影の前にバレエの猛練習を行うことになった。

 バレエを踊るシーンはかなり猛練習をしました! ブランクがあったので、こんなに難しかったっけ? と思いましたが、同時に、こんなに楽しかったっけ? とも思いました。

天野 香那ちゃんはブランクがあるっておっしゃっていますが、練習を始めてからの伸びしろが素晴らしくて、少しでも時間があれば振り付けを確認していましたし、彼女のクラシックバレエのシーンは見どころです。
私にとっては10年ぶりにトウシューズを履くという大きな挑戦だったんですけど、最初は体が追いつかなくて、思わぬ怪我けがをしてしまい、練習に参加できなくて苦しい思いをした時もありました。
そんな時、一緒に出演するプロのダンサーさんたちが、ご自身が怪我された時に悔しい思いをしたことなどを話してくださり、励ましてくださいました。クラシックバレエの世界は、どのダンサーさんも幼い頃からとんでもない厳しさの鍛錬を重ね、肉体をコントロールする力をつけながらプロになっていかれます。改めて尊敬の念が芽生えました。


テンション的には高校の同級生みたいな感じ

北と天野は年齢も近く、撮影に入る前から一緒にバレエの練習をしていたこともあり、いい関係性ができ、現場でもずっと楽しく過ごすことができたという。

天野 すごくいい現場で、ずっと笑っていました。ムードメーカーは間違いなく香那ちゃんでした。テンション的には高校の同級生みたいな感じで、スタッフさんに、「驚きの子供っぽさ」と言われました(笑)。お芝居のこともなんでも話せるし、等身大の意見交換もできました。

そんな楽しい雰囲気の中で撮影が進められたが、第1週で優美は佳里奈に絶交を言い渡してしまうことになる。2人はお互いの存在についても語ってくれた。

天野 正反対の2人ではありますが、すごく長い時間を一緒に過ごしてきたので、佳里奈といることで自分が保たれる部分もあれば、自分が嫌になったり、コンプレックスを感じたりせざるを得ない部分が両立していたんじゃないかと。優美が絶交しようというまでに、2人の間には大きなズレがもう起きていたんだと思います。

 私自身はそう感じるのですが、佳里奈は著しく優美の空気感を捉えることができないので、佳里奈は全然そんなことも考えずに、「昔からの仲じゃん」と思いながら一緒にいただけで、優美のほうが抱えているものが大きかったのだと思います。絶交を言い渡されても、なんでそうなったのか全然わかっていないんですよね。
2週目からは、佳里奈に「それ、絶対違うよ!?」と教えたくなるようなもどかしさがあるのですが、そういう部分も含めて面白いし、突発的な行動も楽しんでいただけるのではないかと思っています。

天野 優美は1週目では我慢する側だったのですが、ずっと抑えてきた優美は、本当はどんな心持ちでいたのかということが2週目以降にどんどん出てくるので、楽しんでいただければうれしいです。

【あらすじ】
広告代理店で働く千本佳里奈(北香那)は、バレエウェアブランドの発表会を担当することになったが、予定していたダンサーが来られなくなり、バレエ経験者という理由で急きょ代役にされてしまう。予想外のアクシデントに見舞われたその日、佳里奈にはもう1つ、衝撃的なことが起こる。親友・二木優美(天野はな)から突然、絶交を言い渡されたのだ。優美は子供の頃からの夢をかなえてプロのバレリーナになっていた。絶交を信じることができない佳里奈は、優美の自宅や職場のバレエ団を訪ねるが、顔を合わせることすら拒否されてしまう。理由がわからず戸惑う佳里奈が、ふらっと入ったラーメン店では、なんと優美が働いていた!! 佳里奈と優美の友情は、果たして元に戻るのか。


夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」(全20回/5週)

2026年1月5日(月)放送スタート
毎週月曜~木曜 総合 午後10:45~11:00

NHK ONEでの同時・見逃し配信予定(ステラnetを離れます)

作:岸本鮎佳
音楽:近谷直之
出演:北香那、天野はな、駒木根葵汰、葵揚、吉沢悠、川久保晴、梅沢昌代、田中真弓、コウメ太夫、異儀田夏葉、キンタロー。、野添義弘
制作統括:石澤かおる
プロデューサー:二見大輔
演出:中島由貴、伊集院悠、曽我まりこ

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