ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、雨清水トキ役の髙石あかりさんから、最終回の振り返りをご紹介!
髙石あかりさん振り返り
──トキが亡き夫・ヘブン(トミー・バストウ)との思い出を語った内容が記された『思ひ出の記』。トキのモデルである小泉セツさんも同じものを残されていますね。
そうですね。ヘブンのモデルである小泉八雲さんについてはほかにいろいろな史料が残っているのですが、セツさんについては記録がすごく少ないんです。でも『思ひ出の記』には、セツさんの言葉があふれています。もちろん、書かれているのはセツさんから見た八雲さんなんですが、それをとおして、セツさんがどんな人なのかが伝わってくるので、私にとっては役作りの段階から、すごく大切な本でした。きっと今回、ドラマを最後まで見終わってから読んだら、とても感じるところがあると思います。だって、セツさんは実在していたわけですし、内容も、「あ、そのままヘブンさんみたい」って思うかもしれません。
──「ばけばけ」ロスにはうってつけですね。でも、ドラマでは、ヘブンとの日々を振り返って語ることは、最初はトキにとって試練のようにつらいものでした。
それは、イライザさん(シャーロット・ケイト・フォックス)から指摘されたこと──自分がヘブンさんを縛り付けてしまったという後悔からきているわけですが。ヘブンさんと出会ったばかりの頃、松江の人たちが彼を特別扱いするのを、トキは「ヘブンさんも人間なんですから」と言って、その自由奔放さを見守っていましたが、大人になって子どももできて……という中でだんだん変わってきてしまった。もちろん、彼を応援したいという気持ちが揺らいだことはなかったと思います。実際、フィリピン行きだって止めてはいませんし。
でも、結果的にはその後、ヘブンさんは海外には行かないまま生涯を終えたわけで……。トキがそれを申し訳なく思うのは当然だし、自分をうらめしく思う気持ちはよくわかります。つまり、これまで周りに向けられていた「うらめしい」という感情が、最後になってトキ自身へ向いたわけです。すごく残酷ですよね。
でも、「うらめしい」が「素晴らしい」に変わるのがこの作品です。うらめしかった『思ひ出の記』のおかげで、トキは、素晴らしい時間があったこと、素晴らしい家族の存在に気づくことができた。これがとっても「ばけばけ」らしい展開だと思いました。
それから、私がこの作品を好きなのは、「不器用に生きる」人たちの姿が描かれていることです。寂しさ、愛しさ、うらめしさなど、人には時代や環境を超えて抱くいろいろな感情があって──それでも、ただ生きるしかない。トキだって、懺悔の気持ちがすべて消えることはないと思います。きっと、その思いは抱き続けていく。でも、いろいろな感情を持って、人は生きていくしかない。これも、そんな「ばけばけ」らしい最終回だと受けとめています。

──ずっと夢だったという朝ドラのヒロインを経験されて、これからの髙石さんの展望をお聞かせください。今後、やってみたい役などはありますか?
トキとは全然違ったキャラクターをやってみたいです。今回、「ばけばけ」で応援してくださった皆さんが、「あれ?」って驚くような。「トキをやっていた人とは気づかなかった」と言ってもらえたり、面白がってもらえたら、うれしいです。

──「ばけばけ」でいうと、母・フミを演じた池脇千鶴さん、イライザを演じたシャーロット・ケイト・フォックスさんのように、過去に朝ドラヒロインを演じた方が、のちに別の作品に出演することも多いですが、その時はどんな役で朝ドラに出てみたいですか?
わー、まだ考えたことはないですけど。でもいつか……そうなったらうれしいです。今回、池脇千鶴さんには本当に助けられたんです。優しさもですし、一度経験されているからこそ、そばで支えてもらっているという安心感はすごくありました。だから私も、もっと経験をたくさん積んで、支える、見守る役などに挑戦できたらいいなって思います。