5月30日(土)に第2話放送予定の土曜ドラマ「ムショラン三ツ星」は、刑務所内の知られざる食のありようを描いた、現役の刑務所に勤務する管理栄養士・黒栁桂子氏による傑作ノンフィクションをドラマ化。
腕利きのイタリアンシェフとして名をはせた主人公・葉子(小池栄子)が、ふとしたことから刑務所の管理栄養士として働くことに。塀の中の刑務官や受刑者たちとのトラブルや騒動を乗り越える姿を描く、全く新しい“刑務所社会派コメディードラマ”です。

このたび、ドラマの原作者であり現役刑務所管理栄養士の黒栁桂子さんと、劇中に登場するすべての料理の監修・撮影時の調理・出演者への所作指導を担当した、フードコーディネーターの石田有花さんからのコメントをご紹介します。


【原作・黒栁桂子さんのコメント】

――原作者として、ドラマをどうご覧になっていますか?

すいじょうを再現したセットに見学に行ったとき、ドラマスタッフが私に「なんでもご指摘ください!」と言ってくださいました。そこで私からは、調理道具を衛生的な観点で配置替えしたり、受刑者にとって凶器になるものは鍵付きのところに置いたり、その場でいくつかは修正させていただきましたが、すごく細かいところまで忠実に再現しようとする熱意と意気込みを感じてとても感激しました。

――視聴者のみなさんへのメッセージをお願いします。

放送が始まり、皆さんもうお気づきかと思いますが、この作品はコメディーとして見てほしいと思っています。刑務所を舞台とした作品なので、おもしろおかしくうま的に見たら不謹慎なのではと懸念される方もいるかもしれませんが、むしろ私は、「刑務所のメシって何!?」という興味本位でご覧いただきたいと思っています。そこから、刑務所ってこういうところなんだ、こういう人たちがいるんだと知ってもらえたらいいなと思います。そうすると、この言い方が適当か分からないのですが、ある意味刑務所を身近に感じていただけるんじゃないかと思うんです。

「刑務所の環境なんて良くする必要はない」と言われることもありますが、私は栄養士としてそこで働いていますし、刑務官たちは真夏でも制服を着崩すことなく職務に当たっています。あの中で働いている人もいるんだよということも、このドラマを通して少しでも多くの人に認識していただけたらうれしいです。


【フードコーディネーター・石田有花さんのコメント】

――刑務所給食を作るうえでの難しさはどんなところでしたか?

これまでも映像作品のフードコーディネーターをしてきましたが、刑務所にいる受刑者が給食を作るシチュエーションは経験したことがなかったので、どうすればリアルに見えるのか悩みました。たとえば第1話の前半は、まだ葉子さん(小池栄子)が刑務所にやってくる前で、料理を教える人がいないため不格好な野菜炒めが給食で出ていたというシーンがありましたが、それがすごく難しかったですね。これまでのフードコーディネーターの仕事では、キレイでおいしそうに見える料理を心掛けていたので、私にとってもいい経験になりました。

また「給食」の特徴で、1度にたくさん作らないといけないことも大変でしたね。事前に自宅のキッチンで練習しようにも、そんなに大きなお鍋や調理器具もありませんし。加熱時間や調味料の量などの計算も難しかったです。おかげさまで無事に全うできて、今は達成感を感じています。

――キャストの皆さんとはどのようなコミュニケーションをとられましたか?

調理シーンの撮影では、実際の刑務所でも受刑者の皆さんは(例外を除き)プロの料理人ではないので、ドラマでもおのおのの役者さんが思うようにやってもらった方がリアルかなと思い、所作指導はあえて控えめにしました。
たとえば、興奮するとすぐラップが飛び出る久我瑛人役のDOTAMAさんは包丁の持ち方が危なっかしくて、そこはさすがに少し注意しましたが、包丁に慣れていないその感じがリアルでいいなと思ったり。逆に、みんなから「アニキ」と呼ばれている梅川龍二役の板橋駿谷さんは最初から包丁の扱いが上手で、中にはそういう人がいても自然かなと思ったのでそのままやっていただきました。

葉子さん役の小池さんは、現場でもかっこよくて優しくて、葉子さん役にぴったりだなと思いました。撮影の合間はおいしいものや生活用品などを紹介し合ったりして、情報交換させていただくのが楽しかったです。
受刑者役の皆さんとは、チームワークを感じられた瞬間もありました。たとえば第1話に出てきたコロッケや、この先に登場するドーナツなど、揚げ物の調理シーンでは、カットがかかったあともそのまま油に入れておくと加熱が進んで料理が焦げてしまうので、受刑者役の皆さんも協力して油から取り出してくださって。そのチームプレーや思いやりは、ドラマにもにじみ出ていると思います。

――撮影期間中はたくさんの刑務所料理を作ったと思いますが、この仕事を通して感じたことなどあれば教えてください。

撮影を見ていると、みんなで一緒に給食を作ることで受刑者役の皆さんが結束力や達成感を実感されていく姿がありました。みんなで何かを作るっていいなと思いましたし、少しスポーツにも似ているなと感じましたね。チームで一緒に“メニュー完成”というゴールを目指すような。そういった目線で受刑者たちの更生への道を描いているドラマだと思うので、受刑者への見方、刑務官への見方など、新しい視点が生まれて自身の学びにもなりました。

――ドラマを楽しみにご覧になっているみなさんにメッセージをお願いします。

刑務所が舞台なので重い作品なのかなと思われるかもしれませんが、コメディー要素もたくさんあるので楽しく見られると思います。個人的には、物語を重ねていくごとに変化していく料理の出来栄えにも注目してほしいなと思っています。葉子さんが刑務所に来る前と来た後では、受刑者たちの心情や作業の手元なども含めて成長しているので。また、受刑者おのおのが持つ“食に関する物語”も今後は楽しみなポイントだと思います。


5月30日(土)放送予定
第2話「俺んちのカレー」あらすじ

葉子(小池栄子)は刑務所のひと月分のメニューを決める給食会議に向けて準備を始める。予算は1人分が3食で543円。バナナやみりんなど使えない食材や決まりもある。
会議当日、厳格な入江総務部長(生瀬勝久)が献立のイカフライレモンに難色を示すが、名取所長(國村隼)の助けで何とか認めてもらう。その頃受刑者の尾藤(関口メンディー)が、濱崎刑務所の麦メシの量が他の刑務所より少ないとクレームを言い出す。

第2話放送の直前にも第1話を再放送します!

5月30日(土) 総合 午前1:20~2:05 (29日深夜)


【物語】
銀林葉子(小池栄子)は高級イタリアン店の超一流シェフ。数々の賞を受けて店は繁盛していたが、店のオーナーが売り上げを全て持ち逃げし、閉店の憂き目に遭う。子供2人を抱え、急きょ決まった就職先は地元の男子刑務所だった。刑務所の管理栄養士としての葉子の仕事は、毎月の献立の作成など事務仕事がメインだが、炊場(炊事工場の略)から呼び出しがかかれば駆けつけなければならない。「みょうがはどこまでむくんですか?」「コロッケが爆発しました!」料理初心者の受刑者たちが朝・昼・晩に行う調理では、ツッコみたくなることばかりが起きる。見た目がいかつく最初は近寄るのも怖かった葉子だが、彼らが必死で頑張る姿とのギャップに、頭を抱えながらもつい笑ってしまう。
刑務所の食費は、1人あたり1日三食で543円。ひと月分の献立を決める給食会議では、しゃくし定規な入江総務部長(生瀬勝久)や事なかれ主義の用度課長と時にけんかしつつ、炊場担当のクールな杉山刑務官(中村蒼)とともに、献立に知恵を絞る。「七夕カレー」「イカフライレモン」「激ウマドーナツ」「うちのから揚げ」葉子の創意工夫の新メニューは、受刑者たちの胃袋もハートもつかんでいく。
ある日、葉子たちに見送られ出所したばかりの受刑者が再犯で捕まるというニュースが流れる。ショックを受ける葉子だが、再犯率の高さを知り、理解者の名取所長(國村隼)に後押しされながら、食をとおした更生への道を探る決意をする。
「人は果たして本当に変わることができるのか」「食をとおしていったい自分は何ができるのか?」かつてミシュランを目指した葉子の“ムショラン三ツ星”への新たな挑戦が始まる!


土曜ドラマ「ムショラン三ツ星」(全5回)

毎週土曜 総合 午後10:00~10:45
NHK ONEでの同時・見逃し配信予定(ステラnetを離れます)
毎週水曜 総合 午前0:35~1:20 (火曜深夜)(再放送)

原作:黒栁桂子『めざせ!ムショラン三ツ星』
脚本:鈴木香里、服部隆、青塚美穂
音楽:SHINCO(ラップボーカルRachel)、遠藤浩二
主題歌:Chilli Beans. 「breath」
語り:ヒコロヒー
出演:小池栄子、中村蒼、ともさかりえ、玉置玲央、関口メンディー、小坂菜緒、葉山奨之 板橋駿谷、パンツェッタ・ジローラモ、ひょうろく、DOTAMA、山内圭哉、河相我聞、石川萌香、川口和空、三宅弘城、温水洋一/塚本高史、生瀬勝久/國村隼 ほか
制作統括:渡邊竜、髙橋練、谷口卓敬
プロデューサー:勝木孝
演出:本橋圭太、瀬野尾一
制作:NHKエンタープライズ
制作・著作:NHK、松竹