現在放送中の連続テレビ小説「風、薫る」。
瑞穂屋の店員で主人公のひとり・大家直美(上坂樹里)の実の母だとわかった柳川文を演じる内田慈さんからのコメントをご紹介します。
柳川文/内田慈

瑞穂屋の店員。店の商品を誰よりも知り尽くしていて、外国人の接客もこなす。
後に、直美の実の母親であることが分かる。
かつて女郎屋「錦栄楼」で初代夕凪として働いていた文は、身重の体で男と店を抜け出すも、結局男に捨てられて一人に。なんとか子どもを産んだものの自分一人生きていくことさえままならず、我が子を託す思いで、教会の前に子どもを捨てたのだった。
末期の胃がんを患うも、貧しさゆえに医者にかかることもできない文。最期は、直美の看護を受けながら息を引き取る。そして、生前ためてきた全財産を、自宅での看護費用として直美に託す。
【内田慈さんのコメント】
――柳川文役を演じられていかがでしたか?
文が元・女郎であり直美のお母さんであるということ、具合が悪くなった文を看護するなかで直美に新たな決意や気持ちが生まれるということを最初に聞いていたので「これはすごい大役をいただいたな」と思いました。
このドラマは必死で生きる人たちがバトンを渡して進む物語。文としてきちんとバトンを渡す役割を果たしたいという思いで演じていました。
文は冷静でスンとした人なのかと思っていたら、美津さんや卯三郎さんと楽しく笑ってしまうようなところもあり、つかみどころがない人。直美が自分の娘だということも「ここで気づいた」というはっきりとしたポイントはないんですよね。自分のことを語らないと決めている人で疑問が生じても深掘りせず、フワッとそのまま置いておくようなところがある気がします。「まさか……」が重なって「やっぱりそうなのか」と受け入れた感覚。
人生の辛酸をなめてきた文は「こういう現実ってあるんだよね」と、娘との再会という奇跡的な偶然も妙に静かに受け入れられたのだと思います。
今まで演じたことのないタイプの役でしたが、気づいたら自分の中に文という人間がはっきりといた。そんな役作りは初めてでおもしろく、私にとって特別な役になりました。

――娘である直美を演じる上坂樹里さんへの思いは?
上坂さんへの思いはたくさんあります。直美が文の看病をしてくれるシーンで、例えば“手を取る”とか“体を支える”というお芝居のとき、上坂さんはすごく優しいんです。“自分とは違う人間に触る”ということに対しての敬意や注意を感じました。それでいて遠慮せず支えてくれるから不思議なものが両立していて、安心して身を預けたい気持ちになりました。
彼女自身が持っているものが出ているのでしょうけれど、更に彼女が大家直美という看護婦を志す人間としてここまで生きてきた証でもあるのだろうと感じました。
上坂さんとは空き時間は全然関係のない話をしていましたが、撮影が始まると2人ともなるべくフラットでいたいからおしゃべりはしないほうが楽なタイプ。その空気感も居心地がよく自然な信頼関係が生まれた気がします。
【物語のあらすじ】
明治18(1885)年、日本で初めて看護婦の養成所が誕生したのを皮切りに、次々と養成所が生まれた。そのうちの1つに、物語の主人公・一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)は運命に誘われるように入所する。不運が重なり若くしてシングルマザーになった、りん。生まれてすぐ親に捨てられ、教会で保護されて育った直美。養成所に集った同級生たちは、それぞれに複雑な事情を抱えていた。手探りではじまった看護教育を受けながら、彼女たちは「看護とは何か?」「患者と向き合うとはどういうことか?」ということに向き合っていく。
りんと直美は、鹿鳴館の華といわれた大山捨松(多部未華子)や明六社にも所属した商人・清水卯三郎(坂東彌十郎)らと出会い、明治の新しい風を感じながら、強き者と弱き者が混在する“社会”を知り、刻々と変わり続けていく社会の中で“自分らしく幸せに生きること”を模索していく。
養成所卒業後、2人は同じ大学病院でトレインドナースとしてデビュー。まだ理解を得られていない看護の仕事を確立するために奮闘の日々を送っていたが、りんは程なくして職場を追われることに。一方、直美は誰もがひとしく看護を受けられる仕組みを考え始めるが……。
やがて、コレラや赤痢などさまざまな疫病が全国的に猛威をふるい始める。一度は離れ離れになった2人だったが、再び手を取り、疫病という大敵に立ち向かっていく。
※実在の人物をモチーフとしますが、激動の時代を生きた2人のナースとその仲間たちの波乱万丈の物語として大胆に再構成します。登場人物名や団体名などは一部改称して、フィクションとして描きます。原作はありません。
2026年度前期 連続テレビ小説「風、薫る」
毎週月曜~土曜 総合 午前8:00~8:15ほか
※NHK ONEでの同時・見逃し配信予定(ステラnetを離れます)
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
音楽:野見祐二
主題歌:Mrs. GREEN APPLE 「風と町」
出演:見上愛、上坂樹里 ほか
語り:研ナオコ
制作統括:松園武大、宮本えり子
プロデューサー:葛西勇也、松田恭典
演出:佐々木善春、橋本万葉、新田真三、松本仁志 ほか
公式Xアカウント:@asadora_nhk
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