NHKが公開している「メディア・リテラシー×探究学習」のための体験型WEB教材「メリ探 (※ステラnetを離れます)」をご存じでしょうか? どなたでも使えるフリー教材です。

NHK財団では、この教材について学校の先生方に使い方のポイントをお伝えする「メリ探活用先生セミナー」をオンラインで開催していますが、まとまった人数での参加希望があれば、リアル開催もお引き受けしています。

先日、先生方の研究会でお話ししてきました。


会場となった板橋区立高島第六小学校(7月24日)

お邪魔したのは板橋区教育会の情報教育研究部が主催する、一斉部会です。会場は夏休み中の板橋区立高島第六小学校でした。この日は私たちのほかに「デジタル教科書について」や「著作権研修」「ICT相談」などが行われていました。教育現場でもこうした知識が必須になってきていて、最先端をどんどん取り入れないといけない先生たちは本当に大変なんだろうな、と改めてそのご苦労を感じました。「メリ探」は無料のシミュレーション形式のWEB教材です。お忙しい先生方の助けに、少しでもなれたらと思います。

子どもたち用の小さな机と椅子で。真剣なまなざしです。

この日は20人余りの先生がご参加くださいました。中には他の分科会と掛け持ちで、転戦してきてくださった先生も。
“情報教育研究部”の研修会ということもあって、普段から児童とメディアの関わり方を考えている方が多い印象でした。

セミナーの内容は基本的にはオンラインと同じです。(メディア・リテラシーの教材にも! NHKの「メリ探活用 先生セミナー」にご参加ください | ステラnet)

目の前でうなずきながら聞いてくださるので、その反応がリアルに感じられて、楽しみながらお話しすることができました。

まず、実際に先生方ご自身が、普段どのようなアプリをつかっていらっしゃるのか聞いてみました。Yahoo!やGoogleなどの検索サイトやYouTubeなどの動画サイトに多くの手が挙がりました。最近話題のBeRealに手を挙げた方は……いらっしゃいませんでした。


みんな違って、みんないい……受け取り方はいろいろ

メリ探はシミュレーション形式なので、宿題などでひとりで学ぶこともできます。それに対して、教室で先生がリードしてみんなで話し合いながら進めると、情報の「送り手として」「受け手として」、感じ方や考え方はみんな違うんだ! ということに気づくことができます。その上で「送り手の意図はなんだろう?」「どうしてこんなことを書いたのかな?」「どう受け取ったらいいのかな?」と考える。これが大事なポイントです。

「メリ探」の画像から

シミュレーションの中に、「子どもたちが街に出て聞いてきたインタビュー、6人の中から3人選ぶ」という課題があります。(内容は上の写真をご覧ください。「メリ探」にはインタビュー動画もあります)

ここで問題です。
全員のインタビューを使うことはできません。
①どの3人を選びますか?
②選んだ結果(取捨選択した結果)それは“かたよっている”と思いますか?

子どもたちに考えてもらう内容をこの日は先生たちにも同じように考えて、答えてもらいました。特に②の「かたよっている」か「かたよっていない」かという質問は、ほぼ半々に意見が分かれました。

調べたことをすべてを発表することはできません。だらだら全部発表されたら、聞いている方だって困りますよね。同じように、情報は集めたものから取捨選択された上で発信されます。つまり……すべての情報は送り手の意図によって切り取られているのです。
一方で、受け取る側の感覚も人それぞれです。送り手が、どんなに「かたよっていない」ように気を付けて発信したとしても、「かたよっている」と受け取る人は必ず存在します。

まず「かたよっている」と思う先生の意見です。「同じ方向の意見ばかりではなく、別の考えがあったんだから、それも入れるべきだ」ということでした。これは私たちも、そういう意見があるだろうな、と思っていたところです。
ところが、同じ「かたよっている」に手を挙げた別の先生はこんなふうに答えたのです。

「かたよっている、けれど、自分たちが訴えたいことなんだから、それでいいと思います」

なるほど!

この意見、私にとっては新鮮でした。単純に「かたよっているのはよくない」ではないんですね。「かたよっている。けれど、それでいい」

メリ探の重要なテーマ、情報は「送り手として」「受け手として」感じ方や考え方はみんな違う、正解はない、ということが実感できました。


ネットではどうしてこんなことが起きるの?

最後に番外編として、先生方に知っておいてほしいネットの特徴をお話ししました。

「どうしてこんな、うそやフェイクが広まってしまうんだろうか?」
「他人を傷つけるような言動ばかりがあふれてしまうのはなぜ?」

ネットの世界では、時に激しい対立が起きたり、うそやフェイクが一気に広まったりします。うっかりシェアすると、そんなつもりはなくても、結果的にそれに加担してしまうことになります。

ここでは、フィルターバブル、エコーチェンバーといった特有の現象や、アルゴリズムによるおススメ、アテンション・エコノミーという、ネットが持つ構造そのものに「脳」が反応してしまうことなどをお話ししました。最近は子どもをターゲットにしていると思われるフェイク情報なども拡散されることがあるということです。情報教育研究部の先生方にとってはすでにご存じのことだったかもしれませんが、深くうなずきながら聞いてくださいました。

1時間はあっという間でした。「メリ探」を使って子どもたちと一緒に考えるポイントについてお伝えできたと思います。小学校低学年の子どもたち用の机と椅子で、熱心に聞いてくださった皆さん、ありがとうございました。

先生方からは「保護者も、子どもとネットの関係について関心が高いので、保護者向けに講座を企画したらどうか?」とか「関心が高い先生方はほかにもいるので、もっと広げたらどうか」など、積極的なご意見もいただきました。

これをきっかけにメリ探を授業の中で有意義にご利用いただけたらこんなうれしいことはありません。


メリ探活用先生セミナーはこれからもオンラインで開催する予定です。
夏休み期間のセミナーもまだありますのでお申し込みをお待ちしています。

詳しい予定などはこちらをご覧ください (※ステラnetを離れます)
セミナーは学校の先生が対象ですが、それ以外の方はご相談ください。また、まとまった人数での参加など、条件がそろえばリアル開催も検討いたします。
詳しくは直接お問い合わせください。

(文 展開・広報事業部/ことばコミュニケーションセンター 阿部陽子)