大津市歴史博物館で7月18日(土)、大河ドラマ「豊臣兄弟!」の制作統括を務める松川博敬チーフ・プロデューサーによるトークショーが開催されました。
同日から、2階企画展示室Aで企画展「豊臣秀吉と大津」、1階エントランスでは明智光秀の役衣装やかぶとなどを展示する「豊臣兄弟!」展もスタート(各展とも8月30日まで開催)。会場には滋賀県内を中心に約70人が来場し、ドラマの舞台裏や今後の見どころに熱心に耳を傾けました。
(※NHK財団はトークショーの制作を担当しています)


屋外に本能寺セットを建て、実際に火を放った

トークショーでは、7月12日(日)に放送され大きな反響を呼んだ「本能寺の変」の制作秘話が語られました。

松川さんによると、この最大の見せ場をどう描くかは、ドラマ制作の初期段階から脚本家の八津弘幸さんと議論を重ねてきたテーマだったそうです。本能寺の変にはさまざまな説があり、その組み合わせだけでも100通りに及ぶ可能性がある中、制作チームは「複数の要因が重なって起きた出来事」と捉え、物語を構築していったといいます。

今回、信長の弟・織田信勝の子である信澄を事件の“着火点”として描いたのは、時代考証を担当する柴裕之さんの提案によるもの。前半の大きなテーマである「織田兄弟」と「豊臣兄弟」の対比を描く流れの中で、信澄の存在は自然に物語へ組み込まれていったと明かしました。

また、放送では約10分だった本能寺のシーンについて、実際の撮影には約20時間がかかったことも紹介されました。前半の廊下の場面は渋谷のスタジオで撮影し、後半の炎に包まれる本能寺の場面は屋外に建てたセットで収録。実際に火を放ち、そのシーンだけで約10時間をかけて撮影したといいます。CG技術が発達した現在でも、あえて本物の炎を使うことで役者の熱量も高まり、「やって良かった」と振り返りました。

後半の質問コーナーでは、キャスティングへのこだわりについても語られました。

松川さんは「俳優の皆さんに、自分でも気づいていない新たな一面に挑戦してほしい」との思いから、比較的若い世代の俳優に積極的にオファーしていると説明。豊臣兄弟をはじめ、信長、お市、光秀など主要キャストについても、「自分にその役が来て当然という人は一人もいない」とし、それぞれが悩みながらも新たな挑戦を重ねていると話しました。

最後に松川さんは、今後の見どころについて「いよいよ豊臣兄弟が天下取りを自覚し、本格的な激闘へと向かっていく。ここからが『豊臣兄弟!』の本番です。」とコメント。
来場者は、ここでしか聞くことのできない制作の舞台裏と、今後の展開への期待を胸に会場を後にしました。

(取材・文 展開・広報事業部 土居美希)