NHK財団ではさまざまな展示会を企画・制作しています。
現在、北海道・釧路市立美術館では、日本しゅう作家・草乃しずかさんの作品展「草乃しずか日本刺繍展~源氏物語を花で装う~」が開催されています。(~8月23日[日]まで)


北海道で待望の開催! 特別展示作品も登場

訪問着《女三宮》(左)と《明石の君》(右)

本展は、不朽の古典文学『源氏物語』全54じょうをテーマに、物語に登場する女性たちの生き方や心情をそれぞれ「花」に例え、それを日本刺繍で表現した作品を展示しています。

源氏物語の姫君たちを彩る訪問着

草乃しずかさんの卓越した技によって生み出された作品には、一針一針に祈りにも似た思いが込められています。絹糸が放つ繊細な光沢と、洗練された花の意匠が織りなす空間は、まさに日本刺繍の美の結晶です。

タペストリー《平和への願い》

NHK財団ではこれまで、草乃しずかさんの展覧会を定期的に開催するとともに、全国巡回にも長年携わってきました。そして今回、待望の北海道開催が実現しました。
本展は「源氏物語を花で装う」の巡回展ですが、釧路市立美術館での開催にあたり、特別展示として日本刺繍をあしらった大型タペストリー6点を展示しています。

特別展示作品《祈り》

その中でもひときわ目を引くのが、《祈り》です。
高さ約450センチ、幅約600センチという圧倒的なスケールで、来場者を迎えます。

この作品は、東日本大震災を受けて「自分に何ができるのだろう」と思い悩んだ草乃さんが、被災した人々へ「愛と希望と勇気」を届けたいとの思いを込めて制作したものです。今回、およそ5年ぶりの展示となります。

絹糸が光を反射して生まれる、艶やかな表情は、見る角度によってさまざまに変化します。日本刺繍ならではの豊かな色彩の重なりを、ぜひ間近でご覧ください。


華やかな刺繍の世界を体感できる《ザ・クローゼット》

ウェディングベール《花唐草》

会場内には《ザ・クローゼット》も展示されています。
洋装に日本刺繍を施したドレスやスーツが並び、まるで華やかなパーティーシーンのような空間を演出しています。

作品名《四季の花衣》(左)、タキシード ジュエリー刺繍《唐花》(右)

伝統技法を現代の洋装に取り入れた作品群からは、日本刺繍の新たな魅力と可能性を感じることができます。

作品名パーティドレス《海の女王》(左)、パーティドレス《蝶の舞》(右)

開会式には草乃しずかさんも登壇

開会式にて

開幕に先立って行われた開会式には、草乃しずかさん本人が登壇。関係者や来賓を前に、草乃さんは、今回の開催にあたって、次のように話しています。

草乃「これまで全国各地で展覧会を開催させていただいてきましたが、ようやく北海道を訪れることができ、大変うれしく思っております。釧路市立美術館が入るこの施設にはさまざまな文化教室があり、とても文化意識の高い方々がいらっしゃるところで展示できることを光栄に思っています。また、空港からこちらに来るまでの豊かな自然にも感激しました。自然に恵まれたこの地域で暮らす皆様の感性と、私の作品づくりの感性には通じるものがあるのではないかと思っております。花々を刺繍した作品をじっくりとご覧いただければ幸いです」

また、初日に開催された、草乃さんによるギャラリートークには、80名を超える来場者が参加。作品制作の背景や『源氏物語』への思いなどに耳を傾け、大盛況となりました。


写真撮影・SNS投稿もOK

 『源氏物語』より「紫式部」など

会場では、『源氏物語』の解説パネルや登場人物の相関図も掲出されており、物語に詳しくない方でも作品世界を楽しむことができます。
また、本展では、会場内での作品撮影が可能です。お気に入りの作品や印象に残った展示を写真に収め、SNSでその魅力を発信することができます。訪れた記念に、美しい刺繍作品をぜひ撮影してみてください。

日本の伝統美と文学の世界が融合した特別な展覧会へ、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。


日本刺繍作家 草乃しずか (略歴)

1944年 石川県くい市生まれ
1967年 フランス刺繍「森山多喜子教室」に参加
1969年 丹羽正明氏に師事し日本刺繍をはじめる
1978年 NHK文化センター講師
1987年 NHK「婦人百科」に出演
1996年 銀座ミキモトホールで個展開催
以降、日本各地のほか、イギリスやアメリカ、台湾・香港などでも展覧会や講習会を実施。NHK主催の手芸展や国際キルトフェスティバル等にも多数出展し、一貫して日本刺繍の普及活動に邁進まいしんしている。


「草乃しずか日本刺繍展 源氏物語を花で装う」

2026年7月4日(土)~8月23日(日)
会場:釧路市立美術館 北海道釧路市幣舞町4-28
開館時間:10:00-17:00(最終入館 16:30)
休館日:月曜日(7月20日を除く)
観覧料:一般900円(大学生以下無料)
主催:釧路市民文化展実行委員会、釧路市立美術館、北海道新聞釧路支社
後援:FMくしろ、(一財)釧路市民文化振興財団
協賛:アートギャラリー協力会
企画制作:NHK財団
企画協力:アトリエ草乃しずか

企画展「草乃しずか日本刺繍展―源氏物語を花で装う―」 | 釧路市立美術館の公式サイトはこちら (※ステラnetを離れます)


(取材/文 NHK財団 展開・広報事業部 橋本弥生)

展覧会の開催についてのお問い合わせはNHK財団 展開・広報事業部へどうぞ。