シマケン(佐野晶哉)は東京に戻り、りん(見上愛)の元夫・奥田亀吉(三浦貴大)がりんと環(瀧七海)を訪ねてきた。環は進路に悩み「絵を描きたい!」とシマケンに相談。新たな一歩を踏み出そうとしている。「風、薫る」も残すところあと2週。りんとシマケン、直美(上坂樹里)、環……それぞれの人生はどこへ向かうのか――。クランクアップを迎えた見上愛、上坂樹里に気になるシーンの裏側、1年を駆け抜けた今の想いを聞いた。
シマケンとの再会と吾郎との別れ。2つの名シーンへの想い

――シマケンと再会しましたね。りんはどのような気持ちだったのでしょうか。
見上 7年ぶりに再会したという設定でしたが、自分でもどんな表情をしているのかわからないくらい、なんとも言えない気持ちになったシーンでした。気まずさと同時に「生きていてよかった」という安堵感や「なんでいなくなったの」という気持ちなど、なかったことにしてきた感情が一気に頭の中を駆け巡るような感覚がありました。

見上 りんとシマケンには、現代の感覚では捉えきれない時代背景があります。今なら連絡手段はいくらでもあるので、連絡を取らない、ということはその人の人生とはもう交わらない、ということで、心の整理もつきやすいと思います。でも、りんとシマケンが生きたあの頃は、手紙くらいしか、連絡手段のない時代でした。お互いに「もうなんとも思っていない」と思い込んでいたかもしれませんが、いざ顔を合わせてみると当時の想いや恋愛感情とはまた別の「お互いを思いやる気持ち」がにじみ出てきたように感じます。最終回に向けて、2人の関係にもまた変化が生まれますので楽しみにしていてください。

――直美が吾郎(甲斐翔真)の死を受け入れ、泣きながらボタンを縫い付けるシーンは多くの視聴者も涙しました。上坂さんはどのような気持ちで演じられましたか?
上坂 本当に苦しかったです。幸せな新婚生活から吾郎さんが亡くなり、1人でボタンをつけ直すシーンまで、短いスケジュールで一気に撮影しました。幸せなシーンを撮っていても、この先の展開がわかっているから、何気ない日常の会話の場面が余計につらくて、涙をこらえるのが本当に大変でした。1年間の撮影を通して、最もつらい2週間でした。

太田光の差し入れ秘話
――太田光さん(遠藤平蔵)や、相田翔子さん(宮川佳枝)との共演はいかがでしたか。
見上 私は太田さんとの共演シーンはなかったのですが、実際にお会いしてみるとテレビで拝見していた印象そのままでした。

相田さんは本当にキュートで上品な方で、宮川さんそのものでした。リウマチを患っているという役でしたが、その生き様はとても説得力がありましたね。平蔵さんと宮川さん、おふたりの役を通じて、派出看護への想いを感じていただけたらうれしいです。

上坂 直美は平蔵さんと出会い、「自分の目指す派出看護はきれいごとだったのかもしれない」と気づき、現代の訪問看護につながる大切な場面になりました。太田さんは撮影中、ドーナツをたくさん差し入れしてくださいました。「ちゃんと公に伝えてください」と太田さんから言づかっておりますのでここでご報告します(笑)。
撮影を終えた今、したいことは……「何もしない」「旅行に行きたい」

――1年間の撮影を終えた今、いちばん何をしたいですか?
上坂 何もしない、です(笑)。大きな仕事を終えて、心に穴ができたような寂しい気持ちと、終わったという達成感が入り混じった不思議な気持ちです。まずはゆったり過ごしたいですね。
見上 私は旅行に行きたいです。温泉が好きなのですが、1年前に那須でクランクインしたときに毎日温泉に入れたことが幸せだったので、また那須に温泉旅行に行けたらいいですね。
あとは、樹里ちゃんが生牡蠣を食べたことがない、ということで一緒に食べに行く約束をしました。

――“バディドラマ”の魅力は何だったと思いますか?
見上 1人で頑張るのと2人で力を合わせるのでは、成長の度合いが全然違うと思うんです。血がつながっていない2人の主人公が同じ速度で成長していくというストーリーは、今までになかったのではないかな、と思いますし、困ったときに手を差し伸べてくれる存在がいたことは心強かったです。
上坂 ひとりの人生だけを生きていたら、直美とりんのように、あそこまで相手の人生に触れることはできない。直美はりんのことで悩むし、りんも直美のことで悩む。自分の人生を他人が悩んでくれるというのは、人生がより豊かになるのだと思いました。

――りんと直美を1年演じられて、俳優人生にプラスになったことは?
見上 りんと向き合った1年間だったので、これからもりんの思考に助けてもらう機会があると思います。表現の幅を広げていくためにも、豊かな人生を送っていきたいと思っています。
上坂 直美という役をいただいて、お芝居でもそれ以外でも、本当に感謝しきれないほど、多くの方に支えていただきました。この先、仕事でもそうでないときでも、大変なことにぶつかったとき、この1年間の経験が支えになってくれると思います。

――最後に、最終回を楽しみにしている視聴者のみなさんへメッセージをお願いします。
見上 りんはたくさんの人との出会いや別れを経験しながら、自分らしい生き方を見つけようと歩んできました。残り2週の中で、りんなりの答えが見えてくると思います。登場人物それぞれがどんな選択をするのか、最後まで見守っていただけたらうれしいです。
上坂 直美もたくさん悩みながら、人とのつながりの中で成長してきました。皆さんに支えていただいたおかげで、ここまで演じ切ることができたと思っています。最後まで温かく見届けていただけたらうれしいですし、「風、薫る」が皆さんの心に残る作品になったら幸せです。