8月8日(土)、気仙沼市主催による連続テレビ小説「おかえりモネ」『おかえり』コンサートが、気仙沼市民会館で開催されました。

ドラマの音楽を手がけた高木正勝さんを中心に、ボーカルのアン・サリーさん、坂本美雨さん、12人の演奏者による美しい音楽が会場を包み込み、さらにドラマ出演者の清原果耶さん、竹下景子さん、藤竜也さんがゲストとして演奏にエールを送り、撮影当時の思い出や気仙沼への思いを語りました。
会場には約1,000人が来場。抽選で選ばれた観客の皆さんは、市内をはじめ北海道から沖縄まで、全国各地から集まり、中には台湾から参加した人もいました。
「おかえりモネ」が結んだ縁で再び気仙沼に集い、作品への愛情と音楽の力を分かち合う特別な一日になりました。

(※NHK財団はコンサートの企画・制作を担当しています)


開演前 気仙沼に『おかえり』

当日、気仙沼は、午前中から、真夏らしい強い日差しの日に。
午後3時15分の開場を前に、市民会館には続々と来場者が集まり始めました。館内には「おかえり」の文字があちこちに掲示され、訪れた人々を出迎えます。

ひときわ目を引いたのが、脚本家・安達奈緒子さんから贈られたスタンド花です。色鮮やかな花々は、これから始まるコンサートへの期待を高め、多くの来場者がその前で記念写真を撮る姿が見られました。


オープニング 「環」で幕開け、そして出演者登場!

午後4時。会場が静寂に包まれる中、どんちょうがゆっくりと上がり、テーマ曲である「たまき」の演奏でコンサートは幕を開けました。
山に降った雨が川となり海へと流れ、再び空へ昇って雨となる。作品全体のモチーフともいえる“山・海・空”の循環を表現したこの楽曲は、繰り返される旋律が少しずつ表情を変えながら、やがて大きなうねりとなり、会場全体を「おかえりモネ」の世界へと誘います。客席では早くも目頭を押さえる人の姿も見られました。

「環」の演奏後、高木正勝さん、アン・サリーさん、坂本美雨さん、そしてゲストの清原果耶さん、竹下景子さん、藤竜也さんが、主題歌「なないろ」が流れる中、ステージに登場しました。

高木さんは「おかえりモネの頃は、ちょうどコロナが始まった時で、振り返ると300曲くらい作っていて、自分でもびっくりしています。今日はその中から大事な曲を演奏します」と笑顔で挨拶。清原さんも「撮影ぶりに気仙沼に帰ってこられて、とてもうれしいです。一曲目の『環』を舞台袖で聴いてもう感動してしまって、涙をぐっとこらえて出てきました。今日は、最後まで楽しみましょう」と語り、会場から大きな拍手が送られました。


コンサート前半 8曲披露! 天気も参加した!?

コンサート前半は、下手花道の特別席のゲストによるトークを挟みながら、「おかえり」「朝風」「あかつき」「喜雨きう」「小さな想い」「虹に向かって」「海心」「天と手」の8曲が演奏されました。
アン・サリーさんは「おかえり」「小さな想い」を、観客一人ひとりに語りかけるように優しく歌いました。「初めて気仙沼に来て、おいしいお魚を食べたり、海の景色を見たりして、海風を受けて歌い方も変わったような気がします」(アンさん)
生で音楽を聴いた竹下景子さんは「ドラマを見ているときは、音楽だけを意識して聴くことができませんでしたが、一曲一曲の中に、ドラマがあるんですね」と感心された様子で、藤竜也さんも「ありがとう。すばらしい」と演奏を絶賛されました。

坂本美雨さんが歌う「虹に向かって」「天と手」では、透明感と力強さが共存する歌声が響き渡りました。
「天と手」の演奏が終わった直後、会場の外から雷鳴が聞こえて…。いつの間にか降り始めていた雨は勢いを増していました。
すると坂本さんは、「私の歌う曲は歌詞がなくて、自然界の音の一部としての声という役割だと自分は思っていて、今日もその気持ちで歌いました。空や海に届くといいなーと思っていたので、空の雷さまから返事をいただけたのかもしれません」とほほみながらコメント。その言葉に、観客もうなずいていました。

また、「喜雨」と「小さな想い」には、早稲田大学フィルハーモニー管弦楽団の学生2人が特別に参加しました。2024年に気仙沼市と早稲田大学が包括連携協定を結んでおり、その縁での参加です。高木さんから事前に助言を受けて、本番ではしっかり演奏を披露しました。
観客をさらにドラマの世界へ引き込んだのが、スクリーンに映し出された劇中場面のスライドです。永浦家の家族、サヤカ、菅波、新次、亮、美波、そしてモネの同級生たち。それぞれの印象的な場面が楽曲とともによみがえり、会場は温かな余韻に包まれていました。


コンサート中盤 ゲストに気仙沼スウィングドルフィンズが登場

中盤では、まず気仙沼でロケされた、印象的なシーンが映像で流れました。中学時代のモネたちと同級生が島の山頂で演奏する場面です。(第3週 第13回)
観客を前に、元気よく演奏するモネと同級生たち、トランペットを陽気に吹く耕治、ムービーカメラを手に演奏を見守る亜哉子。ドラマファンには忘れられないシーンです。

映像が終わると、大きな拍手とともに撮影に参加した地元のジュニアジャズバンド・気仙沼スウィングドルフィンズから、メンバーが登場。彼らがサプライズで十八番の「LOVE」とドラマで演奏した「アメリカン・パトロール」が演奏されると、客席から自然と手拍子が起こりました。

演奏後、ドラマの撮影に参加したOGメンバーが、再びこの舞台で演奏できた喜びを語ると、それに応えるように、清原さんから「これからも仲間たちと一緒に音楽だったり、自分の好きなことを楽しんで過ごしてほしいと思います。健康に気をつけてください」とエールが送られました。

その後、ゲスト3人が、撮影の舞台となった山頂をコンサート前に訪れたことを、写真を交えて報告。3人は、先月開業したばかりのモノレールで山頂へ向かい、新たな施設「亀山テラス360°」から、気仙沼湾や市街地、リアス海岸、気仙沼大島ごしの太平洋など、360度の雄大な眺望を楽しみましたと語りました。


コンサート後半 「忘れじの海」、高木さんが歌う「来光」

開演からおよそ1時間10分。コンサート後半の演奏曲は、「うつくしい羽」「かがやき」「大事な人たち」「忘れじの海」「来光」の5曲です。
「大事な人たち」は、繊細なフレーズがモチーフの曲。途中、スクリーンに、菅波が永浦家を訪れる場面や、未知と亮が互いの思いを確かめ合う場面などがスライドで映し出されました。
またアンさんが歌う「忘れじの海」は、気仙沼らしい海を思わせ、震災で傷ついた気持ちに寄り添うような曲です。スクリーンには、新次が美波の死亡届に印鑑を押す場面や、モネが同級生たちの前でサックスケースを開き笑顔を見せる場面が投影され、観客をより深い感動へと誘いました。

そしていよいよコンサートは、クライマックスとなる「来光」へ。
高木さんは、一つひとつの音を確かめるように丁寧に奏で歌います。その音楽は祈りにも似た響きを帯びていて、演奏後、会場はその余韻からしばらく静寂に包まれました。

演奏後、高木さんはこの曲について、「震災後に船に乗ることをやめる決断をした新次さん(浅野忠信)のような人たちの思いをそのままに作った曲です」と語ると、出演者や観客の中には涙をぬぐう人たちも多く見られました。


エンディング 全員で「環」を演奏

アンコール曲は「環」が演奏されました。
ステージ上には演奏チームに加え、気仙沼スウィングドルフィンズ、早稲田大学フィルハーモニー管弦楽団のメンバーも加わり、この日ならではの特別編成が実現。ドルフィンズのメンバーで楽器初心者の子は手拍子で演奏に参加、観客も手拍子で盛り上げます。

演奏が終わると、高木さん、アンさん、坂本さん、清原さん、竹下さん、藤さんがステージ前方に並び、観客へ最後のあいさつを行いました。

コンサート開催への思いがこみ上げたのか、高木さんは時折言葉に詰まりながらも、「気仙沼で演奏できて良かったです。ありがとうございました」と感謝の思いを伝えました。隣に立つ清原さんはそっと高木さんの背中に手を添え、そんな清原さん自身も、何度も目元をぬぐっていました。

アン・サリーさんは、「今日こうして一曲一曲を仕上るために皆で力を寄せ合えたことは、良い夏の思い出になりました」と笑顔を見せました。
坂本美雨さんは、「今日8日の開催には、熊本や能登への思い、広島、長崎の間の日という平和への思いを新たにする機会になりました。ここに居られて幸せでした」と話しました。

竹下景子さんは、「気仙沼はじめ全国からモネを思ってきてくださった皆様と、この素晴らしいひと時を過ごせたことにとても感動しています。一緒に生きていく勇気をいただきました」と語りました。
藤竜也さんは、「竹下さんに言いたいことを全部言われてしまいました」と会場の笑いを誘いながら、「皆さん、今日はありがとうございました」と会場の人たちに感謝の言葉を贈りました。

最後に清原果耶さんは、「おかえりモネが、今もこんなにも愛されていることを実感しました。私自身、そしておかえりモネに携わったスタッフも皆々様も、そのみんなの思いが糧になって明日から頑張って生きていけるな、と皆様を代表して思います。本当に一緒にこれからも生きていけたら
うれしいです。今日は素敵すてきな時間をありがとうございました」と笑顔で語りました。

こうして気仙沼での特別な一日はフィナーレを迎えました。


エピローグ

美しい音楽、出演者たちの心のこもったトーク、そして気仙沼スウィングドルフィンズと早稲田フィルのメンバーの演奏。そこには「おかえりモネ」が描いてきた、人と人とのつながりや優しさが息づいていました。
ドラマの放送終了から年月がった今も、多くの人々が気仙沼に集い、ドラマの音楽を聴いて、同じ思いを分かち合ったことは、「おかえりモネ」が、多くの人の心の中で生き続ける大切な作品であることを改めて感じさせてくれました。
この日の感動が、これからも気仙沼や全国の皆さまと結ぶ“縁”となって、「おかえりモネ」が末永く愛され続けていくことを願っています。

(文:NHK財団 展開・広報事業部 吉永 証)