ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、柳井嵩役の北村匠海さんから、第91回の振り返りをご紹介!
北村匠海さん振り返り
――劇中に、いせたくや(大森元貴)が登場して、北村さんと同じくアーティストとして活躍されている大森さんとの共演になりましたが、いかがでしたか?
もう、久々の共演ですね。「僕たちがやりました」(2017年放送のテレビドラマ)以来なのですが、あのときは僕ら(DISH//)が主題歌で、オープニング曲がミセスさん(Mrs. GREEN APPLE)でした。なので、それこそ対バンでライブも行っていたし、何ならそのドラマに出演していたのが今田美桜さん、という不思議な関係性で。当時、連絡先を交換して「もっくん」と呼びかけて仲良くさせてもらっていたのです。今回再会できて、すごく嬉しかったですね。
撮影前に、もっくんからはすごく熱いメールをもらって、共演できることが本当に嬉しいと言ってくれて……。撮影前に話をしていて、お互いの最近の活動の照らし合わせみたいな会話になって、お互い泣きそうになっていました(笑)。
――アーティストとしての大森さん自身を、どのように見ていますか?
アーティストとしてもボーカリストとしても、彼に勝てるポイントなんて1つもないと僕は思っていて。でも、今回は、音楽家・いせたくやという役者として入ってきてくれて、初めて芝居を合わせたときに「なんで、こんなやりやすいんだろう」と驚きました。それは、お互い音楽でボーカルをやっているというところが助け合っている感じもするのですが。もっくんは本当に「お邪魔しています」という感じのスタンスなのですが、これから不思議な関係が出来上がりそうな予感がしています。

――俳優としての大森さんを間近で見ていて、どのように感じられましたか?
役者を続けてほしいなと思いましたね! 僕からすると、彼はやっぱり天才なので。それが努力の上に成り立っているのは承知の上で、彼を天才と言い切ります。だから、もっくんが心の底からやりたいと思った作品には役者としても飛び込んでいけばいいと思うし、それぐらい才を感じます。
その昔、僕が18歳のとき、ミュージシャンであり役者をしている寺尾聰さんに言われたのは、「音楽をやっているやつはリズム感があるから、俺は大好きだぜ」という言葉でした。その言葉を今になって身に染みて感じていて、もっくんに対しても「ああ、そうだなぁ。このリズム感で喋れるな」って。もう、芝居とかじゃない次元にいるような感じがしますね。
――お互いに感じる部分があった。と。
一緒に話しているときに、「匠海くんにとって、芝居が上手いって、どういうことだと思う?」と聞かれたんです。僕は「それは映像において? 舞台において?」と返し、もっくんは「じゃあ、まずは映像において」と。「僕が上手いと思うのは、呼吸ができる人かな。(芝居をしながら)呼吸が止まってない人が、いちばん上手いと思うかな。映像は(その世界で)生きるのが上手い人だと思うよ」と……。それで「音楽も一緒だよね」という話になり、「歌が上手い」ことと「伝えることが上手い」ことは全く別だし、みたいな。
音楽と芝居の両立についても話していて、「撮影が始まる前に、どうしてこんなに仕事の話をしているんだろう」としみじみ話していたんですけど、こういう価値観とか自分の苦悩とかって、僕はあまり人に話してこなかったんですよ。だから、もっくんと再会して、そういう会話がすぐにできたことが感動でした。