9月1日は「防災の日」です。大阪・関西で起きた歴史的な災害を題材にした資料の展覧会が9月1日から28日まで東京・八重洲の「あいおいニッセイ同和損保 アンペルギャラリー」で開かれています。
1995年の阪神淡路大震災から30年が経ちました。これを機に、関西で起きた災害に焦点を当て、災害への備えや心構えについて考えるきっかけにしようと企画されました。(NHK財団ではこの展示に協力しています)

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社で所蔵する資料の中から、関西で起きた災害の資料23点を展示しています。
大阪の大火、地震と津波、大洪水などの被害状況、そして被災するごとに蓄積された、大阪市民の防災の知恵に触れることができます。


嘉永七年寅十一月大坂大地震おおなみ

嘉永七年寅十一月大坂大地震大津浪

これは嘉永7年(1854)に起きた安政南海地震と津波による、大阪の被害についての報道です。挿絵には地震後、通りに避難して野宿する様子や、津波によって川をじょうしてきた船と、それによって壊された橋の様子が描かれています。

また、NHK財団と共に開発した「災害の記憶 デジタルミュージアム」の展示もあります。

江戸時代は写真や映像の技術がなかったため、災害は文字と絵によって伝え残されてきました。しかし当時の文字を現代人が読むのは難しく、絵や図も、たくさんの情報が小さく詰め込むように描き込んであるため、拡大しなければわかりづらいものがあります。 デジタルミュージアムではそれらの絵図を8Kで撮影することによって、自由に拡大して見ることができるようになりました。
またAIによる合成音声での読み上げや解説を聞くこともできます。その絵図に何が書かれているのか、デジタルミュージアムで是非確認してみてください。


火の用心を呼び掛ける大火の記録も 

「大阪今昔三度の大火」文久3年(1863)

今回は、地震津波などの自然災害以外に、大火の記録についても展示されています。
文久3年(1863)「大阪今昔三度の大火」では、大阪大火の折、過去の二度の大火、すなわち▼享保9年(1724)の妙智焼け
▼天保8年(1837)の大塩平八郎の乱での市中の大火
を合わせて多色刷り出版し、火の用心を促しています。
過去の災害を併せて出版する例は、大阪のかわら版に見られる特徴なのだそうです。

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社広報部 神保伶衣さん

展覧会を担当する「あいおいニッセイ同和損害保険株式会社」広報部のじんぼうさんは、広報部に配属されて2年目、メセナ事業に携わるのは今年度が初めて、と言います。

「私が損害保険会社に入社したのは、東日本大震災で宮城県石巻市にある祖母・叔父の家が大きな被害に遭ったことがきっかけでした。弊社は防災・減災につながる様々さまざまな機能・サービスを提供していますが、所蔵している災害関連資料にも多くの防災・減災へのヒントが隠されています。新しい視点で自然災害に対する知識を深められると思います。
最新技術や専門家の方々の知見を活用して丁寧に読み解き解説していますので、今回の展示をより多くの方にご覧いただき、防災・減災に対する知識を深めて頂ければと思っています」

去年8月には「南海トラフ地震」の「臨時情報」も出されました。また今年に入ってからはトカラ列島での群発地震、カムチャツカ半島沖地震ではほぼ全国の沿岸に津波警報が出されました。日本列島は今も地震災害の心配にさらされています。
災害の歴史や先人たちの知恵を知ることで、備える気持ちを新たにしたいと思います。

(取材/文 NHK財団 展開・広報事業部 橋本弥生)

あいおいニッセイ同和損保所蔵「災害資料コレクション」 
災害の記憶をもういちど-大阪の災害史 

2025年9月1日(月)~9月28日(日) 

アンペルギャラリー 〒103-0027 東京都中央区日本橋3-1-6 あいおいニッセイ同和損保八重洲ビル1階 

開場時間 11:00~19:00 最終日は17:00まで 

     休廊日 毎週月曜(9月1日は開館) 

入場無料 

主  催 UNPEL GALLERY 

企画協力 一般財団法人 NHK財団 

後  援 中央区、中央区観光協会 

資料提供 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 

アンペルギャラリーのスタッフ 
左から 神保 伶衣さん 井上 英里さん 渡邉 真理子さん

展覧会「「伝えるー災害の記憶」 あいおいニッセイ同和損保所蔵災害資料 「災害の記憶をもういちど―大阪の災害史」展」 | UNPEL GALLERY(ステラnetを離れます)