いよいよ9月29日(月)に放送がスタートする連続テレビ小説「ばけばけ」。

松江の没落士族の娘・小泉セツと、外国人の夫・ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに紡ぐ“夫婦の物語”です。

放送開始を前に、第1週の完成披露試写と出演者会見が行われ、主人公・まつトキ役の髙石あかり、トキの夫となるレフカダ・ヘブン役のトミー・バストウ、英語教師でヘブンを公私ともに支える錦織にしこおり友一ゆういち役の吉沢亮、トキの父・松野つかさすけ役の岡部たかし、母・フミ役の池脇千鶴、制作統括の橋爪國臣チーフ・プロデューサーが登壇した。


朝、私たちのことを見て笑っていただけるような朝ドラを

会見冒頭、制作統括の橋爪國臣チーフ・プロデューサーが挨拶。

橋爪「今までの朝ドラとは違うテイストで、素晴すばらしい出演者、素晴らしい脚本、素晴らしいスタッフとともに、自信を持ってお届けできるよう頑張っています。変なこともあるけど楽しいこともある、ちょっとほっこりできる、そんな朝の時間を提供できるドラマになっていたらいいなと思っています」

松野トキを演じる髙石あかりも、キャストとスタッフが一丸となって楽しみながら撮影をしていると語った。

髙石「スタッフもキャストも、この作品のことが好きで、自分たちが作り出すものにこだわりを持って、何より楽しんで撮影できていることがすごくうれしいです。第1週を観た時に、それがそのままあふれ出ていたので、観てくださる方にも楽しい雰囲気が伝わればなと。毎朝、私たちのことを見て笑っていただけるような、そんな朝ドラを作っていけたらいいなと思っています」

トキの父親を演じる岡部たかしは、ハンバート ハンバートが歌う主題歌「笑ったり転んだり」の良さを交えて挨拶をした。

岡部「特に第1週目が主題歌と ぴったりあっていて、本編を観る前に聴くのにとてもいい歌。ちょっと悲しげで寂しげでもありますが、希望のある歌で、メロディーもすごくいい。素敵すてきな音楽を作っていただいたなと感謝しております」

そんな岡部演じる司之介の妻・フミを演じるのは、池脇千鶴。挨拶の時、「“フネ”役をやっております池脇千鶴でございます」と役名のフミをフネと間違えてしまったが、それには理由があった。

池脇「“ございます”で、『サザエさん』のフネさんとごっちゃになって……(笑)。でも、フネさんみたいに、穏やかで朗らかで、時には誰かが間違ったことを言ったりすると、ちょこっとたしなめるみたいな感じになれたら、と勝手に思いながらフミを演じています」

それを聞いた岡部がすかさず、「自分は波平をイメージして……」とコメント。すると、髙石が「娘的には全然わかんない」とツッコミを入れ、親子役の3人の仲の良さが伺えた。

朝ドラのヒロインを演じることの意味を問われた髙石は、「小さい頃から朝ドラのヒロインが一番の夢だった」と明かし、その思いを語った。

髙石「今、私がここにいることさえ夢かもしれないと思うほど、本当に幸せです。この思いを変わらずに持ちながら、お芝居ができていることも幸せなことだなと。朝ドラは夢で、これからも夢であり続けるんだろうなと思います」


スキップをそんなに深掘りしますか?

脚本家のふじきみつ彦が手掛ける脚本についても、出演者が各々の感想を話した。

髙石「モデルになった小泉セツさんの人生が壮絶で、うらめしい日々が続いているのだけど、そんな中でも笑い合える人たちと一緒に日々生活しているという物語。はじめは結構いろんなことがあるんだけど、途中から本当に何も起きなくなるんです。でも、何も起きなくなった時に、ふじきさんの脚本って、なんでこんなに面白いんだ! と思いました」

イギリス出身で、約10年日本語を勉強してきたトミー・バストウも、脚本を絶賛。

バストウ「コメディとドラマのバランスがすごくいいし、登場人物も美しく、脚本を読んで、出たくてたまらない気持ちになりました。日本語学習者としては松山弁や出雲弁だらけですごく大変ですが、毎日脚本に向き合っています」

ヘブンと行動を共にする錦織を演じる吉沢亮は、シリアスな部分があるものの、物語の根底にあたたかいものが流れていると語った。

吉沢「時代の波に飲まれていくシリアスな部分もあるけど、決してシリアスだけで終わらず、ベースにあたたかいものがずっと感じられるような台本になっていて、素敵だなと思いました。ちょっとした出来事を面白く書くというのはすごく大変。ネタバレになりそうですけど、スキップだけの回があって。スキップをそんなに深掘りしますか? と(笑)。僕はすごく好きですし、みなさんにも楽しみにしていてほしいですね。誰もが日常で感じ、くだらないことで笑ったりするようなものがドラマとして成立していて、毎回ニヤニヤしながら台本を読んでいます」

一方、岡部は「何もないといえばないのだけど、何もしていないことはないはず」と語った。

岡部「人に言うほどのことじゃないけど、その人にとっては割と切実なことはあると思っていて、脚本にはそれがいっぱい詰まっています。普段、そんなことはドラマにしないだろうし、僕自身も人に言わないだろうということを、ちゃんと台本にしていて面白いなと思います。スキップの回も面白い。やりすぎてもあかんし、やらなさすぎても何もなくなってしまうような微妙ところで、俳優さんは会話して、表情を出しているので、本当に見応えがあります」


岡部さんがうらめしい!

続いて記者から、「この世はうらめしい。けど、すばらしい。」というドラマのテーマにちなんで、「うらめしい」と思ったことは? という質問が飛び、髙石が岡部のことを挙げた。

髙石「岡部さんがうらめしいです。本番でテストと全く違うことをしたり、岡部さんが映ってないシーンで、笑わせに来たりとか……。真剣なシーンでも笑わせをやってしまうところが、本当にうらめしい。愛を込めたうらめしさがあります(笑)」

池脇も「“岡部病”だなと思っています」と呼応。

池脇「面白くなくてもいいんだけど、カットがかかるまで台本にないことをついやってしまうんですよね。何かやらなきゃ、となっているところはあります」

物語の舞台は明治時代の松江で、ロケも行なわれている。撮影で何度も足を運んでいる髙石は、地元での盛り上がりを実感しているという。

髙石「空港を降りた瞬間からもう『ばけばけ』一色! 街の方々の応援をひしひしと感じながら撮影させていただきました。モデルであるセツさんと八雲さんが見た景色を私たちも見ながらお芝居できたのはうれしかったですし、島根の人や街の景色がすごく好きになって……。ドラマを観た島根のみなさんにも、そんな現場の空気感が届いたらいいなと思っています」

バストウは、松江では外国人は目立つと言いつつも、地元の人々の優しさを感じているという。

バストウ「みなさんがすごく優しくて、歓迎し、応援してくれているのが心に染みています」

吉沢演じる錦織は、松江一の秀才で、“松江の大磐石”との異名を持つ西田千太郎をモデルにしていることから、吉沢は「松江のみなさまの思いを裏切らないように秀才っぷりを(見せたい)」

吉沢「本編では、そんなに秀才っぽくはなく、ひたすらヘブン先生に振り回されている男なので、みなさんに楽しんでいただけるように精いっぱいやっています」

まもなく放送される「ばけばけ」。
これまでと違うテイストの朝ドラに、乞うご期待!


【物語のあらすじ】
この世はうらめしい。けど、すばらしい。

明治時代の松江。まつトキは、怪談話が好きな、ちょっと変わった女の子です。
松野家は上級士族の家系ですが、武士の時代が終わり、父が事業に乗り出すものの失敗。とても貧しい暮らしをすることになってしまいます。
世の中が目まぐるしく変わっていく中で、トキは時代に取り残されてしまった人々に囲まれて育ち、この生きにくい世の中をうらめしく思って過ごします。
極貧の生活が続き、どうしようもなくなったトキのもとに、ある仕事の話が舞い込んできます。
松江に新しくやってきた外国人英語教師の家の住み込み女中の仕事です。外国人が珍しい時
代、世間からの偏見を受けることも覚悟の上で、トキは女中になることを決意します。その外国
人教師はギリシャ出身のアイルランド人。
小さい頃に両親から見放されて育ち、親戚をたらい回しにされたあげく、アメリカに追いやられ、居場所を探し続けて日本に流れ着いたのでした。
トキは、初めは言葉が通じない苦労や文化の違いにも悩まされます。ところが、お互いの境
遇が似ている事に気が付き、だんだんと心が通じるようになっていきます。しかも、二人と
も怪談話が好きだったのです!
へんてこな人々に囲まれ、へんてこな二人が夜な夜な怪談話を語り合う、へんてこな暮らし
が始まります――。


2025年度後期 連続テレビ小説「ばけばけ」

9月29日(月)放送開始
毎週月曜~土曜 総合 午前8:00~8:15ほか ※土曜は一週間の振り返り

作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
出演:髙石あかり、トミー・バストウ/吉沢亮 ほか
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史、小林直毅、小島東洋

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