1月18日放送の「NHKスペシャル」の舞台は、宮崎県椎葉村。
“日本最後の秘境”とも呼ばれるこの場所で、番組が長期密着取材。見えてきたのは、今や失われかけている私たちの心の「原風景」だ。


1年以上にわたる密着取材 村の暮らしを記録した

宮崎市中心部から北西に約60キロ、標高1000mを超える山々に囲まれ、面積の約94%が森林という深い山間部に位置する椎葉村。壇ノ浦の戦いで敗れた平家の生き残りが逃げ込み、隠れ住んだという伝説が残されている場所だ。

明治41年(1908年)には、当時、農商務省の高級官僚だった民俗学の祖・柳田國男がこの地を訪れ、すでに多くの地域で廃れていた伝統的な農法「焼畑」が残っていることに驚き、最初の書物『のちのかりことばの』を書き記した。同時に柳田は近代化が進んでいくなかで、いつまでこの暮らしが続いていくのかを危惧したという。

それから100年あまり。番組では1年以上にわたって村の生活に密着。そして、今もこの地で根付いている “日本の原風景”を再発見。「焼畑」や「犬を使ったイノシシ猟」など、村の暮らしの記録から日本の原風景を描き出す59分をお届けする。

椎葉の伝統農法・焼畑

すべては授かりもの 村に根付く“のさり”の考え

恵まれた土地とは言えない椎葉での生活に息づいているのが“のさり”だ。良いことも悪いことも、すべては神様からの「授かりもの」として受け入れる考え方のことだ。人々の暮らしにも“のさり”が深く根付いている。これこそ、かつて日本人ひとりひとりの中にあった精神世界に深く通じるものだ。

◆91歳のハチミツ採りの名人は、今日もミツバチと話をする
「ハチは私を神様と思っとっとたい。心でハチの気持ちなったらやっぱやって来る」。
蜜が採れても採れなくても、“のさり”。飼っている鶏がテンに襲われても“のさり”。

◆75歳の猟師は今も犬の後を追う。
イノシシを追う犬のすぐ後ろを、風のように追走する。獲物が獲れても獲れなくても、“のさり”。

犬とともに猟をする岩崎康道さん

◆近所の家を訪ねれば、当たり前のようにご飯が……
一度も定職に就いたことはないが、集落の皆が家族のように気に掛けてくれる。米も野菜も肉も授かりもの、それを分け合うのは当たり前というのも“のさり”の精神。混迷深まる時代、私たちがいつしか失ってしまった“世界”がここにある。

共同体の暮らしが今も息づく椎葉

NHKスペシャル「椎葉 山物語 “のさり”の原風景」

1月18日(日)総合 午後9:00~9:59
NHK ONEでの同時・見逃し配信予定(ステラnetを離れます)