ドラマ10「テミスの不確かな法廷」は、2024年放送のドラマ10「宙わたる教室」制作チームが新たに挑む“法廷ヒューマンドラマ”です。
発達障害を隠して裁判官の職務に向き合う特例判事補・安堂清春(松山ケンイチ)を主人公に、裁判所職員や検事、弁護士らが真実を求めてぶつかり合い“普通”や“正義”とは何かを問いかけます。
ミラノ・コルティナ2026オリンピック特別編成により休止していましたが、23日(月・祝)の第1〜5話の一挙再放送を経て、24日(火)にいよいよ放送再開となります。
演出を手がけた4名のディレクターから、撮影の裏側や、第6話とクライマックスに向けての見どころについてのコメントが届きましたのでご紹介します。
【チーフ演出・吉川久岳ディレクターのコメント】
第1話「裁判官忌避」・第2話「真実義務と誠実義務」・第7話「裁判所主導の職権主義」・第8話「向き合う覚悟」担当

――松山ケンイチさんの演技と今後の見どころについて。
第1話の冒頭で、安堂が歩道のタイルに沿ってまっすぐ歩いていくところは特に印象深い場面の1つです。あえて安堂の表情を見せずに彼が抱えている悲しさを表現したかったんですけど、すごく難しいなとも思っていて。撮影初日で松山さんも探り探り演じている部分があったと思いますが、リュックを背負ったその背中がものすごく悲しそうに見えて手応えを感じることができました。安堂というキャラクターを理解するうえでも重要な意味を持つシーンです。
第7話と第8話についてはまだお話しできない部分が多いのですが、25年前の事件の真相を追究していく中で、地裁の人々の安堂に対する理解が深まっていったり、チーム感が色濃くなっていくのも見どころの1つだと思います。
物語の前半で描かれていた伏線がこんなところにつながっているのかという驚きの展開もありますし、最後に安堂が法廷で何を話すのかというところもぜひご注目いただけたらと思います。松山さん自身も「まさかこんなふうになると思っていなかった」と驚いていたくらい、松山さんと安堂が一体となった芝居に、最後までぜひご期待ください。
【演出・山下和徳ディレクターのコメント】
第3話「裁判官の資質」・第4話「伝説の反逆児」担当
――法律やASD・ADHD関連の取材を担当して。
今回は吉川さんを始め4人で演出を担当したのですが、それぞれ役割を分担し、私はおもに法律に関する部分やASD・ADHD関連の取材を担当しました。ドラマの中で、安堂が落ち着きなく机を指で小刻みに叩く場面が出てきますが、ASDの人とADHDの人とではその行動に至る理由が全く違います。
ASDの場合、何かモヤモヤしたり自分のルーティンから外れると不安になり、それを抑制するために指で刺激を加える。一方、ADHDの場合はじっとしていられない衝動から動き始めるわけです。しかし、定型発達の人から見ると、この特性の違いはなかなか区別がつかないでしょう。ASDの人は他者とのコミュニケーションに苦労することが多いという共通の特徴があります。ただ、安堂の場合は、自分の意思を言語化できるために周囲の人から障害を持っていることを認識されにくい傾向にあります。第3・4話では、そうした特性やカムフラージュしている部分を分かりやすく可視化することで、安堂の生きづらさや葛藤をできるだけ理解してもらいやすいよう意識して演出しました。
【演出・相良健一ディレクターのコメント】
第5話「書証主義と人証主義」担当
――ドラマへの反響を受けて。
これまでの放送をご覧いただいた皆さんのSNSの書き込みなどを見ていると、「法廷物のドラマというとシリアスなイメージがあるけど、エンターテインメントとして面白く見られる」という声が寄せられていてうれしい驚きがありました。「僕は宇宙人。だけど、地球人のふりをして生きている」という安堂に、自分自身を重ねて親近感を感じてもらえているのかなという印象も受けています。

――恒松さんと市川さんのシーンの思い出。
第5話は、安堂の同僚でエリート判事補の落合(恒松祐里)と執行官の津村(市川実日子)の関係を中心に描いた回。声を上げることもできず社会の片隅に埋もれていた少女・春(石田莉子)と向き合いました。それまでベクトルの異なる落合と津村のそれぞれが、最終的に春を訪ねて鉢合わせするシーンは、今後の2人の関係性を描く上でも大事なシーンでした。2人で公園を歩きながらそれぞれの本音を吐露する場面は、本当は秋の設定だったんですけど、スケジュールの都合で冬枯れの公園での撮影となりました(苦笑)。
落合が箱から出た、殻を破る部分の演出がストレートすぎていないか、視聴者にどう受け止められるか不安だったんですが、放送後に「落合が悩んでいる表情を見て彼女をもっと好きになった」という声が多かったのでホッとしました。そこは、恒松さんや市川さんをはじめキャストの皆さんが作品を後押しし、ドラマを豊かにしてくれたと思います。
【演出・富澤昭文ディレクターのコメント】
第6話「再審請求審」担当
――第6話の見どころ。
第1〜5話でも時折出てきた「前橋一家殺人事件」。その全貌が少しずつベールを脱ぎはじめるのが、放送が再開される第6話です。この事件の詳細と並行して、安堂が誕生した瞬間まで時を遡り、結城との親子関係に光を当てていきます。演出するうえで意識していたのは、「変わっていくもの」と「変わっていかないもの」があるということ。つまり、大人になった安堂が持っている特性は、子どものころからそうだったのか、あるいは成長とともに変わっていったのかを明確に描こうと思いました。
安堂は、赤ん坊のとき、小学校のとき、そして現代と父親の腕を掴む場面が3回あるのですが、それぞれ意味合いが異なるので、その違いが視聴者の方にもうまく伝わるといいなと思っています。

――齋藤飛鳥さんの演技について。
第6話以降のキーパーソン・吉沢亜紀を演じる齋藤飛鳥さんの存在は、ラストに向けてすごく大きいと思います。父親の遺品を見て感情的になる場面が描かれるのですが、それが齋藤さんにとっての撮影初日だったんです。非常に難しいお芝居だったと思いますが、目の表情から亜紀の葛藤や裁判への思いが強く感じられました。すでに出来上がっているチームに自ら積極的に加わろうと努力される姿勢もすばらしかったですね。
第6話「再審請求審」(2月24日[火]放送)あらすじ
一家4人が惨殺された「前橋一家殺人事件」。逮捕された秋葉一馬には死刑判決が下され、死刑が執行された。
事件から25年、秋葉の娘・吉沢(齋藤飛鳥)が父の無罪を訴え、新たな証拠を手に再審を求めていた。再審開始を認めるか否か、その審理に関わるべきか葛藤する安堂(松山ケンイチ)の脳裏に、封じてきた苦い記憶がよみがえる。それは、かつて秋葉に死刑を求刑した検察官・結城(小木茂光)との、消せない過去だった。
2月23日(月・祝)に第1話〜第5話を一挙再放送!
【第1話】2月23日(月祝) 午後3:05~3:50
【第2話】2月24日(火) 午前0:35~1:20 ※2月23日(月・祝)深夜
【第3話】2月24日(火) 午前1:20~2:05 ※2月23日(月・祝)深夜
【第4話】2月24日(火) 午前2:05~2:50 ※2月23日(月・祝)深夜
【第5話】2月24日(火) 午前2:50~3:35 ※2月23日(月・祝)深夜
ドラマ10「テミスの不確かな法廷」(全8回)
毎週火曜 総合 午後10:00〜10:45
毎週金曜 総合 午前0:35〜1:20 ※木曜深夜(再放送)
※NHK ONEでの同時・見逃し配信予定(ステラnetを離れます)
原作:直島翔『テミスの不確かな法廷』
脚本:浜田秀哉
音楽:jizue
出演:松山ケンイチ、鳴海唯、恒松祐里、山崎樹範、山田真歩、葉山奨之、小木茂光、山本未來、入山法子、齋藤飛鳥/和久井映見、遠藤憲一 ほか
演出:吉川久岳(ランプ)、山下和徳、相良健一、富澤昭文
制作統括:橋立聖史(ランプ)、神林伸太郎(NHKエンタープライズ)、渡辺悟(NHK)
NHK公式サイトはこちら ※ステラnetを離れます