新潟の村で赤痢が発生し、直美(上坂樹里)のサポートもあって、看護婦としての仕事を再びやり遂げたりん(見上愛)。さらに、黒川先生(平埜生成)から「1年だけうちで働いて、看護婦を育ててほしい」と頼まれる。りんは少しずつ自信を取り戻していった。撮影が順調に進む中、見上愛に今の心境を聞いた。
看護婦としての自信を取り戻すことがテーマだった

――りんが看護婦として再び患者と向き合う姿に、多くの視聴者がほっとしたと思います。どのような思いで演じましたか?
赤痢が発生し、黒川先生から同行を頼まれたものの、りんは一度その申し出を断ります。それでも最終的には看護の現場へ向かうことを決意しました。今回のエピソードでは、りんが改めて「自分の手で誰かを救いたい」という思いに気づくことが大きなテーマだったと思います。父上(北村一輝)がコロリで亡くなったとき、自分は何もできなかったという後悔を、りんはずっと抱えていました。正しい知識を身につけて成長した今、あのときと同じような状況の中で、誰かを救うことが前に進む原動力になったのだと思います。

――横沢さん(井上祐貴)も「看護婦の尽力により、早期に赤痢蔓延を防ぐ」と記事にして力を貸してくれましたね。横沢さんはどのような存在なのでしょうか。
看護婦を辞めて新潟へ来た頃のりんは、かなり気落ちしていたし、心がうまく動かない状態でした。そんな時、思ったことをはっきりと口にする横沢さんに出会い、りんも自分の素直な気持ちや、はっきり“ノー”と言えるようになって心が健康になっていったと思います。家族以外には見せられなかった感情も見せられる相手で、りんが回復していく中で、横沢さんの存在にはすごく助けられたと思います。

――中村倫也さん(柳生藤次役)も意外な登場シーンでした。共演していかがでしたか?
筵にくるまれての登場で、現場に入られたときもくるまれたままだったので、実は全然気づかなくて……。そのまま素通りしてしまい、あとから慌ててご挨拶しました。柳生さんは内務省衛生局の人で、看護のおかげで死亡率を1割に抑えられた、と国に報告してくれたことが、これからの直美とりんの看護人生に大きな影響を与えていくことになります。

――シマケンとりんの関係の今後も気になるところですが、改めて佐野晶哉さん(島田健次郎役)の印象は?
佐野さんは、ずっと私より年上だと思っていたのですが、実は年下だと知ってびっくりしました(笑)! アイドル活動と並行しての撮影は本当に大変だと思うのですが、弱音を吐いているところを一度も見たことがありません。自分が好きなものを一生懸命極めていこうとする姿は、シマケンさんと重なる部分があります。ひたむきな姿に、「私も頑張らなきゃ」と思わせてくれる人ですね。
りんと直美が多くの人に勇気を与えているなら本当にうれしい

――放送が続く中で、周囲の反響はいかがですか?
とてもうれしかった反響が2つあります。
1つは、転職活動中の親友の話です。早朝に勉強をはじめて、8時から「風、薫る」を15分見て、そこからまた勉強を再開しているそうなんですが、うまくいかないときや気分が落ち込んだとき、りんと直美を見て「2人が頑張っているから、私も頑張ろうと思える。それが“朝ドラ”なんだと思った」と言ってくれて。その言葉を聞いて、1人の人生を、じっくり丁寧に描く作品だからこそ届くものがあるのだと思いました。
もう1つは、私の恩師のお母さまの話です。いま、恩師は介護をされていて、お母さまはふだん感情表現もほとんどなくなっていたそうなのですが、テレビに映るりんの姿を見ると「あなたの教え子じゃない」と言って、その時間は笑ってくれるのだとか。おっちょこちょい節も歌ってくださるそうで、その話を聞いたときは本当にうれしかったです。

――1年間1つの役と向き合う中で、ご自身の変化を感じることはありますか?
これまでは複数の作品を同時並行で撮影することも多かったのですが、1年間、1つの役と向き合うことで、その人物についてどんどん深く考えることができている感覚がありました。それと、脚本が完成している作品を撮るのと違って、撮影をしながら新しい台本が届くのも“朝ドラ”ならではです。その経験もすごく勉強になっています。
――クランクアップが近づいてくると、寂しくなりますね。
そうですね。共演者やスタッフの皆さんと毎日顔を合わせることが当たり前になっていますし、今は新しい作品や役に出会う姿が想像できないほど、「一ノ瀬りん」に染まっています。この1年をともにした仲間と、またどこかの現場で再会できるように、これからも頑張っていきたいです。
――今後のりんについては?
赤痢の防疫を経験し、看護婦として再び前を向けるようになったりんが、これからどのような看護の道を歩んでいくのか。直美やシマケンとの関係にも注目してください。多くの人と出会い、支えられながら成長していくりんの姿を最後まで見届けていただけたらうれしいです。