2026年10月18日(日)、愛知県岡崎市にて『大河ドラマ「豊臣兄弟!」パブリックビューイング in おかざき』が開催されました。会場には多くのドラマファンが集まり、第40回「あさひの輿こし入れ」の放送にあわせて、あさひを演じる倉沢杏菜さんと、歴史タレント・歴史作家の堀口茉純さんをゲストに迎えたプレトークを実施。ドラマの見どころや撮影秘話、史実から見た旭姫の人物像などが語られ、放送前から会場は大いに盛り上がりました。

(NHK財団はこのトークイベントの制作を担当しました)


「一人で登壇するイベントは初めてなんです」

登壇した倉沢さんは、「キャスト一人でこうしたイベントに出演するのは初めてなんです」と語り、「とてもうれしい反面、すごく緊張しています」と率直な思いを明かしました。イベントに先立ち岡崎城も訪れたそうで、「天守閣まで登ってきました!」と笑顔で報告。「お堀が曲がっているのが珍しいと聞きました」と、歴史ある城郭を実際に歩いた感想を語りました。

また、あさひ役のオーディションを受ける前には、旭姫の墓所を訪れたことも紹介。「歴史上の人物の人生をお借りして演じるので、ご挨拶をしてから挑みたいと思いました」と話し、役に向き合う真摯しんしな姿勢をのぞかせました。役が決まった後も関連書籍を読んだり、あさひが登場する時代劇を見たりしながら理解を深めていったそうです。


「あさひ」という人物をどう演じるか

松尾アナから「あさひをどんな人物だと思って演じていますか」と問われると、倉沢さんは「史実では無口で病弱だったなどの記録もありますが、八津さんの描くあさひとのギャップに驚きました」とコメント。

さらに、「当時も、名前には特別な意味があったと思うので、“あさひ”という名前に合う人物として演じたいと思いました」と語りました。

脚本家や時代考証の先生、共演者たちと話し合いながら人物像を作り上げていったといい、「歴史上の人物を演じることに正解はないけれど、歴史が好きな方にも受け入れていただけるように、でも『豊臣兄弟!』らしいあさひをどう作るか、皆さんと考えながら演じています」と作品への思いを明かしました。


現地を訪れて見えてくる歴史

撮影はセットで行われることが多いため、実際の土地を訪れることは役づくりの大きな助けになるそうです。「お城のシーンも実際の大きさは想像するしかない部分があります。でも岡崎城のような現地に来ると、その空気や距離感がわかるので役づくりに役立ちます」と倉沢さん。

さらに、「地域の方のお話を聞くと、教科書で学ぶ歴史ではなく、一人の人間として歴史上の人物を感じられるんです。今と地続きなんだなと思います」と語り、会場から大きな共感を集めました。


堀口茉純さんが語る“旭姫”の魅力

後半からは堀口茉純さんが登壇。豊臣家の家紋「五七の桐きり」の帯留めや、徳川家康の馬印をモチーフにしたかんざしを身に着けた装いも披露されました。

堀口さんは旭姫について、「豊臣兄弟の家族の中でも、一番わからない人物かもしれません」と解説。

尾張・中村で生まれ、後に徳川家康へ輿入れした旭姫ですが、その人生を伝える史料は限られています。だからこそ想像の余地があり、ドラマならではの人物像が生まれる面白さがあると語りました。

また、第40回で描かれた輿入れについても紹介。天正14年(1586)、秀吉は妹・旭姫のために大規模で華やかな行列を整えた記録が残されているといい、「岡崎を経て浜松へ向かった行列からも、秀吉が旭姫をとても大切にしていたことが伝わってきます」と解説しました。


会場一体となって楽しんだ「あさひの輿入れ」

プレトーク終了後は、会場の皆さんとともに第40回「あさひの輿入れ」を鑑賞。あさひにとって大きな転機となる今回の放送。秀吉(池松壮亮)の妹・あさひ(倉沢杏菜)が、徳川家康(松下洸平)との和睦のために、夫・副そえ田だ吉成よしなり(甚じん兵べ衛え/前原瑞樹)と涙の離縁を経て家康の正室として徳川家へ輿入れをします。


第40回への思いを語ったアフタートーク

上映終了後には、倉沢杏菜さんと松尾剛アナウンサーによるアフタートークを実施。放送直後の余韻が残る会場で、第40回の撮影を振り返りました。

倉沢さんは脚本を読んだ当時を振り返り、「起こっていることは悲劇ではあるけれど、『豊臣兄弟!』だからこその愛に包まれていて、できる限りの誠意や優しさ、家族への思いがぎゅっと詰まった回だと思いました」と語ります。

撮影前には、甚兵衛役の前原瑞樹さんとも「素す敵てきな脚本だから、私たちも頑張りたいね」と言葉を交わしたそうです。

そして、「ある意味、あさひにとっての晴れの日。甚兵衛さんの大きな愛に包まれて背中を押してもらえたことは、本当に幸せでした」と、第40回への特別な思いを明かしました。


あさひと自分自身が重なった

倉沢さんは、あさひと自身に重なる部分があったとも語りました。「『豊臣兄弟!』のキャストの皆さんは年齢もキャリアも大先輩ばかり。その中で感じていた気持ちが、あさひと重なることがありました」と振り返ります。

また、今回大きく描かれた甚兵衛との関係については、「甚兵衛さんとのシーンが本当に好きなんです。かっこいいですよね」と笑顔を見せました。「あの2人は直接言葉にしなくても、お互いがお互いを思い合っている。第40回は2人がずっと目指してきたゴールのような回だったと思います」と語り、「かわいらしい夫婦でありたいと思いながら演じていました」と撮影当時の思いを明かしました。


仲間に支えられて迎えた大切な回

長期間にわたる撮影をともにしてきた豊臣家のキャストとのエピソードも披露されました。「豊臣家の皆さんに会うと本当にほっとするんです」という倉沢さん。

第40回の撮影前には、秀吉役の池松壮亮さんから「ここまであさひとして長くやってきたんだから、心と体が正解を知っているよ」と声を掛けられたそうです。

その言葉に支えられて撮影に臨むことができたといい、さらに秀長役の仲野太賀さんとは、第40回の最後の秀長とあさひの場面で、「仲野太賀さんが肩にぽんと手を置いてくださって、そのときに『あさひ、頑張ったな』という気持ちが伝わってきたんです。」と回想。

「脚本だけではなく、実際に小一郎兄さまの目を見ながら演じていると、『甚兵衛さんにちゃんと別れを言えたよ』という感謝の気持ちが自然とあふれてきました」と語ると、会場は温かな拍手に包まれました。


「豊臣兄弟!」の世界をより深く味わう一日

岡崎という歴史の息づく地で開催された今回のパブリックビューイング。出演者によるプレトーク、会場一体となったパブリックビューイング、そして放送直後だからこそ聞けるアフタートークを通じて、参加者は「あさひ」という人物、そして「豊臣兄弟!」の世界をより深く味わうことができました。

ドラマの感動と歴史の魅力が交差した一日。会場は作品への愛情と温かな余韻に包まれながら、盛況のうちに幕を閉じました。

(取材・文/NHK財団 展開・広報事業部 徳田祥子)