現在放送中の連続テレビ小説「ブラッサム」。明治、大正、昭和を駆け抜け、自由を求め続けた作家・宇野千代をモデルに、彼女の生きざまを大胆に再構成した、フィクションとして描くオリジナルの物語です。
珠(石橋静河)と関わる、文芸雑誌『首都公論』の副編集長・山中勇三役の井浦新さんのコメントをご紹介します。
山中勇三/井浦新
黒崎(遠藤憲一)の右腕。一流の作家を数多く抱える『首都公論』を、冷静な判断力で支える敏腕編集者。
【井浦新さんのコメント】
――出演が決まったときの感想を教えてください。
「なつぞら」の時もそうでしたが、連続テレビ小説からのオファーというのは自分がうれしいだけではなく、親戚一同、家族みんなに喜んでもらえる本当に光栄なことです。
西尾一路役の染谷(将太)君とは「なつぞら」以来の共演になるので、また朝ドラで会うなんてちょっとおもしろいねと話をしました。他の映画やドラマに比べて1日で撮る分量が圧倒的に多く、撮影のリズムが速いので、緊張やプレッシャーも感じます。朝ドラのリズムの中にポンと入ってすぐにエンジンをかけられるか緊張しました。

――演じられる山中勇三はどんな役ですか?
まずは、遠藤憲一さん演じる黒崎編集長とのコンビネーションの中から山中の人物像を作っていきました。
全くタイプが違う2人ですが、思ったことや感じたことをそのまま言葉と体に出す直感的な黒崎と、それ以外のものを持っている山中はとてもバランスがいいと思います。黒崎から山中への絶対的な信頼が見えますし、山中も編集長に対して結構ズケズケと物を言うので、ただの上下関係ではなく本当に信頼し合った戦友のような関係なのではないでしょうか。
黒崎と対比すると山中は静と動の「静」ですが、いつも冷静沈着な精密機械のようなキャラクターというわけではありません。監督と相談しながら淡々としたセリフに少し肉づけをし、生っぽい言い回しに落とし込みながら役を育てました。細かなところで黒崎さんへの信頼や敬愛がにじみ出る、人間らしい揺らぎが表現できていたらいいですね。
敬語と敬語じゃない時の使い分けが明確なところも、山中の特徴です。珠のような出自やキャリアの作家でも認めたらパッと敬語に切り替えますが、編集部員などにはまだ敬語ではありません。きっと山中なりのルールがあるのでしょう。意外とこういう部分が人間臭さにつながるので、大切にしています。敬語を使うのは作家への敬意はもちろん、自分の仕事や文学に対する山中なりの情熱の表れでもあると思います。

――山中は珠にどんな気持ちで接していると思われますか?
(第5週のシーンの)たまたま悠樂軒に来た黒崎編集長に原稿を手渡すという、ある種“飛び級”のような珠のやり方は山中好みではなかったと思います。文壇の世界は誰にでもチャンスが開かれているわけではありません。そこに“飛び級”のようなやり方で入ってくる珠のことが、山中は苦手だったのではないでしょうか。でも「苦手」ではあっても、「嫌い」ではないと思うんですよね。
というのも、僕の中で「山中は面倒くさい人間が大好き」という設定があって、面倒な100のことはできないけれど1のことが飛び抜けてできる人や、山中自身が持っていない能力を持っている人への敬意が深いはずです。その最たる人が黒崎さんですが、きっと敵も多くてつきあうのも大変な黒崎のことを山中は大変だと思っていません。同じように、珠のことも実は大好物だろうなと解釈して演じています。
山中は自分も変なことには気づけていないタイプ。周りから見れば山中も変なのに、黒崎や珠を「変な人ってやっぱりおもしろいな」と見ているんです。このわかりやすくはない変さや自覚のないオリジナリティが実は出ている、人としての豊かさも山中の魅力です。
――視聴者の方への見どころ・メッセージをお願いします。
すごく挑戦的な朝ドラだなと思っています。人を愛することや恋をたくさんすることは、決して悪いことではないはず。でも、いまは「常識がない」「節操がない」という言葉で簡単に片づけられてしまう、そういう流れが色濃い時代になっているからこそ、刺激を与えられるのではないでしょうか。
これまでの朝ドラのヒロイン像とは少し違うかもしれませんが、情熱的に人を好きになることや愛すること、人と人とが関わり合うことの尊さを謳う作品にきっとなると思います。珠の素直に人を愛して、恋をして、それを仕事にも生かして……という生き方が朝ドラというフィルターを通してどう表現されるのか僕も楽しみにしています。
2026年度後期 連続テレビ小説「ブラッサム」
毎週月曜~土曜 総合 午前8:00~8:15ほか
【物語のあらすじ】
明治30年(1897年)、主人公・葉野珠(石橋静河)は山口県の岩国に生まれました。実母は珠が2歳の時に亡くなり、父(渡部篤郎)と後妻である継母(国仲涼子)によって育てられました。女学校を卒業後、代用教員として働き始めますが解雇され、故郷の岩国を追われることになります。親戚を頼って上京したことで、珠は幼き日の夢を強く意識し、小説の懸賞応募から、作家の道を切り開きます。
しかし、世の中は価値観が大きく揺れ動く時代。
大正から昭和にかけて、関東大震災と戦争、結婚と離婚、倒産そして借金……と、珠は、さまざまな困難にのみ込まれながらも、作家として生きることに向き合います。そうした中で、小説家として花を咲かせるのです。
時には敵を作り誤解され、傷つけ傷つきながらも、自由を求めて生きることに正直であり続けた珠は、小説に思いを忍ばせることで、読む人に「幸せ」を運んでいくのです。
※実在の人物をモチーフとしますが、大胆に再構成します。登場人物名や団体名などは一部改称して、フィクションとして描きます。原作はありません。
作:櫻井剛、小松與志子
音楽:fox capture plan
主題歌:「咲き誇れ」YOASOBI
語り:三條雅幸アナウンサー(NHK大阪放送局)
出演:石橋静河、加賀まりこ、松たか子、国仲涼子、渡部篤郎/染谷将太/錦戸亮/井浦新、遠藤憲一/尾野真千子 ほか
制作統括:村山峻平、櫻井壮一
プロデューサー:大野陽平
演出:盆子原誠、中泉慧、佐藤玲衣、田中陽児、小林直毅、野田雄介
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