ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、六原永輔役の藤堂日向さんから、第99回の振り返りをご紹介!


藤堂日向さん振り返り

――ミュージカル『見上げてごらん夜の星を』制作の過程では、永輔が作品作りに一切妥協をせず、いせたくや(大森元貴)や劇団員たちが戸惑う様子も描かれていました。

たくちゃんは永輔を完全に信頼しているんですよね。永輔もたくちゃんをすごく信頼していて、だからこそ安心して言いたいことを言えるんだと思います。舞台の前日にダメ出しをするシーンも、どう考えたって無理難題を押し付けられているのに、たくちゃんは嫌な顔もしないという。2人は言わば天才同士で、「あ、そういうことね」とわかり合っていたと思います。その天才同士の裏の会話が演者の人たちには見えないから反発していましたが、2人の中では合点がいっているところが垣間かいま見えたシーンだったかなと、演じながら思っていました。

――大森さんとのお芝居の中で、気持ちが通じ合ったことなどはありますか?

ミュージカルがフィナーレを迎えて観客が拍手しているシーンで、永輔とたくちゃんは会場のいちばん後ろに並んで立っているのですが、本番前に大森さんと僕で、どんな芝居にするか話し合いました。「この時代って、グータッチはないですよね」「多分、ないと思う」「じゃあ、どんな感じがいいかなぁ」って。

それで、2人同時くらいに「……見ましょうか?」と言って、そうすることにしたんです。観客の皆さんがバーッと拍手している中、僕が見たくなったタイミングで大森さんを見たら、向こうもパッと見てくれて、それが満面の笑みで「ああ、いいシーンになるな」と思いました。
長々と描かれていたわけではないけれど、ずっと厳しいけいを続けてきて、苦悩も乗り越えてきて、ようやく華やかな終わりを迎えられた。その中で見せてくれたたくちゃんの表情に、僕はグッときちゃいました。