放送中の大河ドラマ「べらぼう~つたじゅうえいゆめばなし~」で、戯作者・朋誠堂ほうせいどう喜三二きさんじを演じる尾美としのりさんと、地本問屋・鶴屋つるや喜右衛門きえもんを演じる風間俊介さんが、9月23日(火・祝)に愛知県西尾市の岩瀬文庫を訪問しました。

重要文化財をふくむ古典籍から近代の実用書まで、幅広い分野と時代の蔵書8万冊余りを保存・公開している岩瀬文庫は、「古書の博物館」として知られます。今回、尾美さんと風間さんは、岩瀬文庫に所蔵されている古書のなかから、おふたりの役・喜三二や鶴屋にまつわる6点を閲覧。貴重な資料を手に取った感想を寄せてくれました。

尾美さん、風間さんが閲覧した古書

◆朋誠堂喜三二
①『長生ながいき見度記みたいき』(朋誠堂喜三二作・恋川こいかわ春町はるまち画)
②『吉原よしわら細見さいけんゆたみつぎ』(こうしょどう版・喜三二序文)
③『文武ぶんぶ二道にどう万石まんごくどおし』(朋誠堂喜三二作・喜多川きたがわ行麿ゆきまる画)*昭和2年複製

◆鶴屋喜右衛門
①『作者さくしゃ胎内たいない十月とつきのず』(山東さんとう京伝きょうでん作・北尾きたお重政しげまさ画)*鶴屋版

②『三歳さんさい図絵ずえおさね講釈こうしゃく』(山東京伝作・北尾重政画)*鶴屋版

③『忠臣ちゅうしん水滸伝すいこでん』(山東京伝作・北尾重政画)*蔦屋つたやと鶴屋の共同出版


尾美としのりさん<朋誠堂喜三二(平沢ひらさわ常富つねまさ)役>のコメント

朋誠堂喜三二を演じるにあたり、インターネットなどでも喜三二さんについていろいろ調べましたが、実際に古書を手に取ることができて、本当に貴重な経験をさせていただきました。「べらぼう」の撮影前に、こういう古書に触れておきたかったという気持ちが強いですが、まだ撮影が続いていますので、この経験を腹に落として頑張りたいと思います。
岩瀬文庫には古書が保存され、こうして皆さんが手に取って見ることができて、すごくいい環境だなと思います。本当にたくさんの蔵書が素晴すばらしいので、今回の経験をうまく生かして教養豊かになれたらいいなと思います。

「べらぼう」出演のオファーをいただいた時は、大河ドラマに出ると親戚や友人がすごく喜んでくれるので楽しみだな、という気持ちでした。でも喜三二さんを演じるにあたり、彼はインテリなのでちょっと困ったなあと思いました(笑)。一番気を付けたのは、喜三二さんは明るく楽しんで生きている方だと思ったので、とにかく僕自身が楽しんで演じることです。視聴者のみなさんにも楽しんでいただけたらと思います。
今後の「べらぼう」は、これから葛飾かつしか北斎ほくさい写楽しゃらくなどビッグネームがどんどん登場します。放送はまだまだ続きますので、日曜日は大河ドラマ「べらぼう」をぜひご覧いただけたらと思います。


風間俊介さん<鶴屋喜右衛門役>のコメント

僕は「べらぼう」の世界で本と関わってきていますが、江戸時代からずっとこの古書は生き続けていて、今この瞬間、とてもテンションが上がっています。身近に感じると急にこんなに面白くなるのか! という体験をさせていただき、西尾の方々がうらやましいです。僕もまたいつかもう一度来たいなと思いました。
岩瀬文庫に足を運ばれる方々が増えていると聞き、勝手ながらうれしく思っています。本を大事にしている気持ちを共有でき、皆さんが作品を実際に見たいと思ってくださっていることがすごくうれしいです。

最初に大河ドラマに出演したのは江戸後期を描いた「西郷どん」。次は「麒麟がくる」で、これから江戸がやってくる時代でした。「べらぼう」は江戸のど真ん中、戦がない時代。大河ドラマは大きく時代がうねる瞬間を描くことが多く、どんな物語になるのだろうと飛び込んでいきました。江戸の商人たちの戦いは令和の世の私たちにも通じ、ワクワクしながら演じさせていただきました。本当に鶴屋さんがいい人になって、仲間になってよかったなと思っています(笑)。
今「べらぼう」の世界では、娯楽に規制や締め付けが起きています。どこか現代と通じるものを感じながらも、ドラマは皆さんの心の余裕の元に成り立っていると思っているので、人生に必ずしも必要ではないかもしれないけれど、楽しみがあふれている時代であってほしいという願いを込めてお届けしたいです。ぜひ大河ドラマ「べらぼう」をご覧ください。


大河ドラマ「べらぼう~つたじゅうえいゆめばなし~」

毎週日曜 総合 午後8:00~8:45、翌週土曜 午後1:05~1:50(再放送)
毎週日曜 NHK BS 午後6:00~6:45

毎週日曜 BSP4K 午後0:15~1:00、午後6:00~6:45(再放送)

【物語】
18世紀半ば、人口は100万を超え、天下泰平の中、世界有数の大都市へと発展した江戸。蔦重こと蔦屋重三郎(横浜流星)は、江戸郊外の吉原の貧しい庶民の子に生まれ、幼くして両親と生き別れ、引手茶屋の養子となる。
血のつながりをこえた人のつながりの中で育まれた蔦重は、貸本屋から身を興して、その後、書籍の編集・出版業をはじめる。
折しも、時の権力者・田沼意次(渡辺謙)が創り出した自由な空気の中、江戸文化が花開き、平賀源内(安田顕)など多彩な文人が輩出。蔦重は、朋誠堂喜三二(尾美としのり)などの文化人たちと交流を重ね、「黄表紙本」という挿絵をふんだんにつかった書籍でヒット作を次々と連発。33歳で商業の中心地・日本橋に店を構えることになり、“江戸の出版王”へと成り上がっていく。
蔦重が見出した才能は、喜多川歌麿(染谷将太)、山東京伝(古川雄大)、葛飾北斎(くっきー!)、曲亭馬琴(津田健次郎)、十返舎一九(井上芳雄)といった若き個性豊かな才能たち。その多くは、のちの巨匠となり日本文化の礎となっていく。
しかし時世は移り変わり、田沼意次は失脚。代わりに台頭した松平定信(井上祐貴)による寛政の改革では、蔦重の自由さと政治風刺は問題になり、財産の半分を没収される処罰を受ける。周囲では江戸追放や死に追いやられるものもあらわれる……蔦重は、その後も幕府からの執ような弾圧を受け続けるが、反権力を貫き通し、筆の力で戦い続ける。そんな中、蔦重の体を病魔が襲う……。命の限りが迫る中、蔦重は決して奪われない壮大なエンターテインメント「写楽」を仕掛けるのだった……。

作:森下佳子
出演:横浜流星、染谷将太、橋本愛、古川雄大、井上祐貴、生田斗真、里見浩太朗 ほか
制作統括:藤並英樹、石村将太
プロデューサー:松田恭典、藤原敬久、積田有希、美濃里亜
演出:大原拓、深川貴志、小谷高義、大嶋慧介
公式Xアカウント:@berabou_nhk
公式Instagramアカウント:@berabou_nhk
ハッシュタグ:#大河べらぼう