9月17日、ドラマ10「シバのおきて~われら犬バカ編集部~」の第1話試写会と会見が行われ、主演の大東駿介、共演の飯豊まりえ、柴犬・のこ、プロデューサーの内藤愼介が登壇した。
記者会見に、柴犬・のこちゃんも登壇!
第1話の試写終了後、会見会場に入ってきたのは、崖っぷちの立場から柴犬専門誌『シバONE』を立ち上げた同誌編集長・相楽俊一役の大東駿介、犬が苦手なのに同誌編集部の一員となってしまった石森玲花役の飯豊まりえ、プロデューサーの内藤愼介だ。大東の手にはリードがあり、相楽の愛犬・福助を演じた柴犬ののこも一緒だ。トコトコと歩くのこの姿は、会場内の記者たちの心を一気にわしづかみにした。

のこをはじめとする柴犬たちと共演した大東は、“お犬さま”に一番助けられた、と語った。
大東 犬とともに作品を作るということで、負担がかからないような現場を作ろうとかなり考えて臨みました。犬にこうしてほしいなとか思っていたんですけど、いざ撮影が始まってみたら、のこに「いや人間たち待て、もっと心穏やかにやろう」と言ってもらっているような、本当に豊かな撮影現場で、無理なく、楽しく過ごさせていただきました。お犬さまに一番助けていただいて、非常に楽しい作品になっていると思います。
本作では、相楽編集長の愛犬・福助をはじめ、多くの柴犬が登場する。主要キャストである犬たちとの共演は、大東や飯豊にとっても驚きの連続だったという。
大東 本当にすごいところしかなくて! 動物プロダクションの方から、お芝居に適応する能力を身につけてもらっていますが、自由な愛くるしさもちゃんと残っているんです。動物と一緒に撮影する時、人間の都合よく映っていると、本来の動物の魅力が薄れていたら嫌だなと思っていましたが、犬たちは、僕らがこういう風になればいいなっていうのをいい意味で壊してくれて。
撮影に入る前、まずコミュニケーションを取ろうというところから始まったんですけど、その段階でもう、キャスト、スタッフ陣が犬を介して一つになっているのがすごく実感としてありました。本当に助けられましたね。

飯豊 カメラに映る時、私たちはバミリ(立ち位置の目印)の前に立つんですけど、のこちゃんにもバミリがあって、すぐ入っていくんです。本当に言葉がわかっているんだろうなって思いますし、勘がほんとによくて。
監督がのこちゃんに、ここで振り向いて、ここでちょっと立ち止まって、みたいなお芝居をツケていたんですけど、正直、絶対わからないだろうなと思っていたのに、ビシッとお芝居をしてくれるんです。本当に賢いなって思いましたし、驚かされることばっかりでした。
柴犬・のこは、“柴犬界の芦田愛菜ちゃん”
のこにはドラマへの出演経験が多くあり、“柴犬界の芦田愛菜ちゃん”と呼ばれているそうだ。
大東 表情をちゃんと作りますよね。「何が?」っていうシーンやったら、本当に「何が?」みたいな顔をするので、全部わかってるんちゃうかな、ってゾッとしました(笑)。
飯豊 私の顔を見て、「大丈夫だよ」というシーンで、私にウィンクしてくれた時があって、本当にラブリーでした。
のこをはじめとする、柴犬が何匹も参加する撮影とあって、犬たちに負担がかからないように細心の注意が払われたという。9回分の台本を先にすべて仕上げ、外でのシーンを前倒しして撮影していくことにした。物語が展開順ではなく、ドラマの後半にあるシーンを先に撮影していくこともあった。
大東 今年の夏は暑かったですが、猛暑が来る前にロケを全部終わらせることができたので、暑い時期は、それを避けるようにスタジオでの撮影ができました。撮り順はバラバラになりましたが、人間にとっても暑くて大変な時期だったから救われましたね。

撮影期間中はほぼ、柴犬たちと過ごすことになった共演者やスタッフだが、柴犬たちの存在がみんなを和ませ、とても楽しい現場だったと振り返る。
大東 ワンちゃんが真ん中にいてくれることで、みんなが自然と仲良くなって、撮影がない時も楽屋に戻らないんですよ。前室(スタジオ前のオープンスペース)にずっと一緒にいるんです。
別のスタジオで撮影をしている人も顔を出したりして、みんなをハッピーにしていたんじゃないかな。犬が手をクンクンするんですけど、片桐はいりさん(編集者・清家めぐみ)に限っては顔が好きみたいで、デロデロに舐めていました。おいしかったんでしょうね(笑)。

大東演じる編集長・相楽は、愛犬・福助のことが大好きで、柴犬専門誌を立ち上げてしまうほどの“犬バカ”だが、第1話では過剰な愛情ゆえに、福助が迷惑そうにするシーンもある。
大東 相楽は犬のことをめちゃくちゃ愛しているけど、犬の気持ちはわからない、自分本位な飼い主って感じだったんですけど、犬を理解しようという気持ちで雑誌を作っていきます。実際にドラマで『シバ ONE』という雑誌を作るんですけど、劇中で終わらせるのはもったいないんじゃないかっていうぐらい、一生懸命作りました。
それだけ、犬と向き合い、理解する時間があったので、撮影を通して、どんどん犬との向き合い方が分かっていくというのはありました。ああ、犬と過ごすってことはこういうことなんだ、言語を超えた思いがつながる瞬間ってあるんだなと、すごく感じましたね。

飯豊演じる石森は、幼い頃に柴犬に追いかけられたことがあり、トラウマで犬嫌いになってしまったのに、相楽と一緒に犬の雑誌を作っていくという役柄で、人間関係で思い悩んでいる一面もある。
飯豊 思い悩んでいる時に、柴犬・福ちゃんのマイペースで素直な部分を見て、こんなに一生懸命真っすぐに生きているから、私も頑張ろうって思えるようになり、どんどん心が解放されていったところが印象的で、大切に演じたいなと思った部分でした。
本作は、犬と人との物語ではあるが、崖っぷち雑誌編集者たちが、面白い雑誌を作るために奮闘する“お仕事ドラマ”としての見どころもある。
大東 友達に雑誌編集者がいまして、日頃からモノ作りの現場は拝見していました。柴犬に特化した雑誌なんて、そもそも純粋な思いがないと成立しない。それを言語化して企画を立てていくのは、すごい大変やなと思いつつも、めちゃくちゃ楽しいなと思いました。
ペットは支えてくれる存在ではありますけど、人の道具になってはいけないし、それをメディアが誘導してしまったら恐ろしいことになります。この物語は、平成にあった雑誌創刊の話ですが、令和で改めて僕らが取り上げるにあたって、それが本当に適切なのかどうなのかということは、劇中の雑誌作りの中でも丁寧に話し合いました。
声が時生くんと聞いて、「なんか撫でづらくなって……」
この会見の前日に、柴犬たちの“声の出演者”が発表された。相楽の愛犬・福助を柄本時生が、フォトグラファー・三田博之(こがけん)の愛犬・ポムを津田健次郎が演じることになった。
大東 撮影の途中で声のキャストが決まったことを知りました。それまでは無邪気に「のこ〜」ってかわいがっていたんですけど、時生くんって決まった時に、なんか撫でづらくなって……。声を聞いたらフィットしているんですけど、現場ではやっぱり時生の顔が浮かぶんです。それがちょっと残念な気がして、聞かなきゃよかったなって(笑)。
でも、ボムの声の津田健次郎さんはちょっと痺れました。かっこよかったですよね。現場では本当にかわいかったんですけど、あんな渋い声なんですか、って。渋すぎるやん。あれはあれで頭撫でづらいな。絶妙なキャスティングだなと思いました。

会見後にはフォトセッションが行われた。大東がのこを抱きかかえ、飯豊とのスリーショットが撮影されたが、のこはカメラマンのリクエストに応じて目線を配るというプロの仕事ぶりを発揮。会場内は笑顔に包まれた。
大東も、「すごいでしょみなさん、これがうちののこです!」と誇らしげ。「こういう撮影では犬の確認ばっかりになるんですけど、人間の僕らの顔も気にしていただいて……」と笑いを誘っていた。
【物語のあらすじ】
「人の人生に足りないものは、犬 !?」
自分のエゴの追求だけを追い求めたアラフォー雑誌編集職の男は、気づいたら職場はボロッボロ。
寄り添うものは誰もおらず、恨みと怒りを買うばかり。
そんな中でふと思いついた、柴犬専門の雑誌。
というのも、彼のそばには柴犬しか残っていなかったから。
押しつけられたはみ出し者や変わり者たちが集まって雑誌を立ち上げようとするが、ギスギスグサグサ、喧々囂囂。
だけど、それを見つめる美しい瞳の犬。
そして、犬によって企画が生まれ、そのことで人間たちの病んだ心が一つ一つ、ほぐれてゆく!殺伐とした、寄る辺なき令和の人間関係を癒やし導くのは、穢れなき心のお犬様。
絡まりもつれた人の心を優しく解きほぐしてゆく、ヒューマン&ケイナイン(犬)ストーリー!
ドラマ10「シバのおきて~われら犬バカ編集部~」(全9回)
9月30日(火)スタート
毎週火曜 総合 午後10:00~10:45
毎週金曜 総合 午前0:35~1:20 ※木曜深夜(再放送)
原作:片野ゆか 『平成犬バカ編集部』
脚本:徳尾浩司
音楽: YOUR SONG IS GOOD
出演:大東駿介、飯豊まりえ、片桐はいり、こがけん、篠原悠伸、やす、黒田大輔、水川かたまり/柄本時生、津田健次郎/瀧内公美、勝村政信、松坂慶子 ほか
制作統括:高橋練(NHKエンタープライズ)、渡邊悟(NHK)
プロデューサー:内藤愼介(NHKエンタープライズ)
演出:笠浦友愛、木村隆文、加地源一郎、村田有里(NHKエンタープライズ)
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