ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、北尾政演(山東京伝)役の古川雄大さんから!
古川雄大さんの第38回振り返り
——松平定信(井上祐貴)による出版統制が激化するなか、政演と蔦重(横浜流星)の本作りに対するスタンスの違いが明確になりましたが、古川さんは政演の考え方をどのように捉えていますか?
政演は、「絵師として」「戯作者として」というこだわりがさほど強いわけではなく、自由気ままに状況に応じて変化していける人なんだろうな、と思っています。史実でも、タバコの小物販売店を営んで大繁盛させているように、何をやってもうまくいく人なんです。「世に抗うとか柄じゃねぇ」というセリフにもあるとおり、流れに身を任せて生きていたのではないでしょうか。
一方で、蔦重は「書をもって世を耕す」と言っているように、本作りそのものを背負って生きている。だから、蔦重はほかの戯作者たちとともに「寛政の改革」を揶揄せずにはいられなかったのでしょう。そんな中で、政演には「自分だけはちょっといい思いをしたい」という助平心——ある種の自己中心的な部分が出たわけですが、そこが彼の弱さだと思います。
でも、自分のような生き方ができるのは、恋川春町先生(岡山天音)をはじめ、先に道を切り開き、進んできた人たちがいたから、ということは、政演自身もわかっているんです。その苦悩みたいなものから、また新たなドラマが生まれてくるのが、この「べらぼう」の面白いところだと思っています。
