1月5日から放送が始まった夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」は、“ラーメン×バレエ×女の友情”をテーマにした、大人のためのコメディー。
広告代理店で働く主人公の佳里奈かりな(北香那)は、大人向けのバレエウェアブランドの発表会にきゅうきょダンサーとして踊ることに! しかし、アクシデントでウェアがはだけてしまい、上半身をさらしてしまう……。さらに追い打ちをかけるように、20年来の親友・優美ゆみ(天野はな)から突然絶交を言い渡されてしまった佳里奈。2週目以降もとうの展開が待ち構えている。そんな佳里奈を演じる北香那に、役作りの裏側などについて聞いた。


朝ドラ出演が、改めて家族との懸け橋になってくれた

――年が明けて夜ドラの放送が始まりましたが、昨年は朝ドラ「ばけばけ」のリヨ役で注目を集めていましたね。

 私は「ばけばけ」が初めての朝ドラ出演でした。朝ドラに出演できたことは、私自身すごく大きなことでした。オファーをいただけて、役者として経験を積むことができ、とてもうれしかったです。

いろんな方と会うたびに「見たよ」と言ってくださいました。祖父母が昔から毎朝、朝ドラを楽しみにしているので、私が出演することになって本当に喜んでくれましたね。リヨが初めて登場する回は、実家で母と一緒にました。母は以前から私の仕事に対して意見を言うことはなく、見守ってくれていたんです。一緒に作品を観たのは初めてでしたが、横で泣いていました。「ちょっともう1回観ていい?」と言って、もう1回観て、また泣いていました。朝ドラ出演が改めて家族との懸け橋になってくれて、よかったなと思いました。

――リヨを演じるにあたって、英語や琴の演奏など、新しい挑戦も多かったですね。

 これまで英語を話す役とは縁がなかったもので、大丈夫かなという不安がありました。撮影の2か月前から英語のレッスンを受けたのですが、先生が親身になって指導してくださいました。お琴も1か月ぐらい集中的に稽古しました。最初は「どうしよう?」とプレッシャーを感じていたのですが、指導の先生のおかげもあり、「新しい経験すら楽しみたい!」というマインドに変わっていきました。

――今回の夜ドラでは、バレエに挑戦していますね。

 そうなんです。12年くらいブランクがありましたが、挑戦することを楽しみながらバレエをさせていただくことができました。実はずっとバレエをまたやりたいと思っていて、体験レッスンに行ったこともあったんです。その時は再開までには至りませんでしたが、今回をきっかけに、また始めてみることにしました。母が誕生日祝いにバレエグッズを買ってくれましたし。

――今回、撮影のために久々にバレエをやってみていかがでしたか?

 筋肉痛がすごかったです。バレエは普段使っていない筋肉をこんなに使うのか、ということを改めて思い知りました。何よりも、踊っていて楽しかったです。バレエには型があって、それは意外と覚えていたのですが、思うように体が動きませんでした……。

――脚本を担当する岸本鮎佳さんのファンだったそうですね?

 岸本さんが主宰する演劇ユニット「艶∞ポリス」を観た時に衝撃が走ったんです。岸本さんは女性のちょっと恥ずかしい部分をすごく面白く描く方で、そこにはちゃんとリアリティもあるんです。だから、この作品もおかしなことの連続なのですが、どこかにリアリティがあるから物語としてすっと入ってくるし、そこが岸本さんの脚本の魅力だと思っています。岸本さんが描くキャラクターを演じられて、本当に幸せです。


私がよくわかる! と思ったのは、突発的な部分

――実際に演じてみていかがでしたか?

 台本を読むと、なるほどね、とに落ちる部分がたくさんありました。でも、私が不意を突かれたのは、自分の読み方とは違う解釈を中島(由貴)監督がされていたことです。もっと深いところで監督からアドバイスをいただくことができて、演出に助けられたと感じました。

例えば、第1話で、自分が急遽発表会のステージで踊ることになり、優美に電話をかけるシーンがあります。優美に「そもそも佳里奈はプロじゃないんだから、変にカッコつけたり無理しなくてもいいと思う 」と言われて、私は当初、「頑張るわ!」という気持ちでいたのですが、監督からは「負けないけど!」という感情の盛り上がりを求められました。悔しいという表情がクローズアップになったのですが、演出のおかげでより深く演じることができたと感じています。

――ご自身と佳里奈が似ているな、と思うところはありますか?

 私が佳里奈のことでよくわかる! と思ったのは、彼女の突発的な部分。子どものころは考える前に言葉を発したり、行動に移したりしてしまい、怒られることがよくあったんです。大人になるにつれて、それを抑えるように努力をしてきましたが、佳里奈は常にありのまま。子どものころの自分を見ているようです。それを周りが「こういう子だよね」と受け入れているので、佳里奈がたまにまともなことをすると、まともに見えてしまうんですよね。そういうところは羨ましいなと思いました。

――それにしても1週目の佳里奈は散々さんざんでしたね。上半身がはだけてしまった姿を面白おかしく加工されてネットで拡散されていましたし、公園では涙でメイクが落ちた状態で子どもに絡んだりしていましたし……。

 アクシデントだったのに、動画での遊ばれ方はちょっと悲しすぎますけど、そういうことって今の時代、世の中にあふれ返っているんですよね。だからリアルではあるなと思いました。公園のシーンは私もお気に入りです。

あの日の佳里奈は、ネットで晒され、子どもに悪態をついて、彼氏に振られて、友達からも絶交され、「大凶を箱買いしたの?」っていうくらいの一日じゃないですか。ただ、何もかもうまくいかない日もあるし、どこかに共感しつつ楽しんでもらえたらいいなと思いながら演じました。


佳里奈には優美しかいなかった

――20年来の親友から絶交されてしまう佳里奈ですが、なぜあんなにも優美を追いかけてしまうんでしょうか?

 私にも20年来のおさな馴染なじみが何人かいて、その関係にはすごく恵まれていて感謝しかありません。でも、佳里奈には優美しかいなかった。だからあんなに死に物狂いで優美を追っかけているんだろうなと思います。佳里奈は絶交された理由がわからない。「言ってくれないとわからない」というセリフが何回も出てくるのですが、これはまさに佳里奈を象徴する言葉。たった一人しかいない親友の気持ちを捉えることができないんですよね。でも、そんなところも憎めなく感じます。

――それだけでなく、佳里奈は仕事でも失敗してしまって、厳しい立場にいますよね。

 自分に重なる部分はあるかもしれないです。ただ、私は最近、自分の身に起きる物事は決まっていると意識するようになりました。佳里奈に同情する部分はありますが、彼女が前に進むため、より良い自分に出会うために起こっていることだと思います。また失敗するだろうけど、それも全部彼女の成長過程に必要なことだと思うし、同時に自分にもそう言い聞かせているところがあるように感じます。

――優美を演じる天野さんとは初共演ですが、演じてみていかがでしたか?

 一緒にいて自然体でいられるので、カメラが回っていない場所でもずっとしゃべっていました。撮影に入った時に、中島監督から、「リハーサルをした時とは全然違う雰囲気だよね」と言われたのですが、(天野)はなちゃんと関わっていく中で、2人の自然な雰囲気ができて、お芝居にもリアリティを持てたと思います。

はなちゃんは、役に入るとぐっと集中するひょう型の女優さんで、もっと彼女のいろんな役を見てみたいと思うような、人をきつける魅力がありました。見ているだけですごく勉強になりました。

――佳里奈はラーメンが大好きな役ですが、ドラマでもいろんなラーメンを食べていましたね?

 これはご褒美の撮影なんじゃないか! と思うくらい、美味おいしいラーメンをたくさん食べさせていただきました。私は普段、豚骨や魚介のドロドロ系が大好きなのですが、今回食べたいろんなラーメンの中でも、鶏ゆず塩ラーメンに衝撃を受けました。あとは煮干しラーメンも! 替え玉どころか何杯も食べられる感じでした。

1話のバレエシーンは撮影2日目に撮ったのですが、あの衣装を着るためにご飯を控えたりしていました。だから、あの撮影が終わって、心置きなく、次の日にむくんじゃうんじゃないかと思うくらいラーメンを食べましたね(笑)。

――2週目以降の見どころと、視聴者へのメッセージをお願いします。

 佳里奈はファンキーな役柄ですが、彼女の魅力をちゃんと芝居で体現しなくては、と常に考えていました。2週目以降、なぜ彼女が突発的な行動をとってしまったのかという背景も見えてくるので、彼女のことを楽しんで見守ってほしいと思っています。

誰もが身に覚えのある感情やもどかしさ、羞恥心がいっぱいで、共感してもらえるところがあるはず。ドラマをとおして、少しでも自分らしく生きることへのエールになればいいなと思っています。2026年はじめの放送ですし、自分らしく生きることを後押ししたい気持ちもありますね。あとは“飯テロ”注意です! 夜のいい時間に美味しそうなラーメンがたくさん登場して、食べたくなりますので(笑)。


【あらすじ】
広告代理店で働くもと佳里奈かりな(北香那)は、バレエウェアブランドの発表会を担当することになったが、予定していたダンサーが来られなくなり、バレエ経験者という理由で急きょ代役にされてしまう。予想外のアクシデントに見舞われたその日、佳里奈にはもう1つ、衝撃的なことが起こる。親友・ふた優美ゆみ(天野はな)から突然、絶交を言い渡されたのだ。優美は子供の頃からの夢をかなえてプロのバレリーナになっていた。絶交を信じることができない佳里奈は、優美の自宅や職場のバレエ団を訪ねるが、顔を合わせることすら拒否されてしまう。理由がわからず戸惑う佳里奈が、ふらっと入ったラーメン店では、なんと優美が働いていた!! 佳里奈と優美の友情は、果たして元に戻るのか。


夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」(全20回/5週)

毎週月曜~木曜 総合 午後10:45~11:00
NHK ONEでの同時・見逃し配信予定(ステラnetを離れます)

作:岸本鮎佳
音楽:近谷直之
出演:北香那、天野はな、駒木根葵汰、葵揚、吉沢悠、川久保三子、梅沢昌代、田中真弓、コウメ太夫、異儀田夏葉、キンタロー。、小林きな子、床嶋佳子、草村礼子、野添義弘 ほか
制作統括:石澤かおる
プロデューサー:二見大輔
演出:中島由貴、伊集院悠、曽我まりこ

兵庫県生まれ。コンピューター・デザイン系出版社や編集プロダクション等を経て2008年からフリーランスのライター・編集者として活動。旅と食べることと本、雑誌、漫画が好き。ライフスタイル全般、人物インタビュー、カルチャー、トレンドなどを中心に取材、撮影、執筆。主な媒体にanan、BRUTUS、エクラ、婦人公論、週刊朝日(休刊)、アサヒカメラ(休刊、「写真好きのための法律&マナー」シリーズ)、mi-mollet、朝日新聞デジタル「好書好日」「じんぶん堂」など。

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