浅野長勝ながかつ(宮川一朗太)の娘で、藤吉郎(池松壮亮)の正妻となる寧々。すぐに侍女が辞めてしまうほど、勝ち気で負けず嫌いな性格だが、小一郎(仲野太賀)の幼なじみ・直(白石聖)とはうまくやっている。藤吉郎とはいつも口げんかばかりしているが、本心では想いを寄せており、ついに結婚することに。ここから藤吉郎とともに出世街道を駆け抜けることになる寧々を、浜辺美波はどのような女性と捉えているのか。


いままでの寧々のイメージとは違った表情豊かな普通の女の子

――これまで、寧々は秀吉を支える強い女性として描かれることが多かったですが、今作の寧々は少し違う印象です。浜辺さんは、寧々をどういう女性だと捉えていますか?

撮影に入る前、寧々が主人公だった「おんな太閤記」(1981年放送)を拝見しました。なので、私の中では寧々ってすごく器の大きな女性というイメージがありました。いざ現場に入ってみると、現代の女の子にも通じるようなキャピキャピ感があるというか(笑)、表情豊かに演じてほしいとリクエストをいただいて。今は、これまでの寧々像にこだわりすぎず、この作品らしい、自分なりの寧々を演じていけたらいいなと思っています。物語の序盤は、見ている方がびっくりするくらい普通の女の子です。

――確かに、ちょっと気が強いチャーミングな女の子という雰囲気ですね。

初登場時が12歳で、そこから年齢を重ねていくのですが、気が強いところは脚本にも描かれていますし、自分でも表現するようにしています。そこから徐々に、どっしり構えた大人の女性になっていけたらいいなと思っています。旦那様の藤吉郎さんがとても破天荒なので、それに負けないくらい、家を守る人としての器を大きくしていきたいです。

――演じられていて、寧々のどういうところに魅力を感じますか?

今作での寧々は、もちろん負けん気も強いのですが、その中に幼さがあって、藤吉郎に対してもツンツンしていることが多いのに、たまに甘えるところがかわいいなと思います。旦那様の思いつきに振り回されながらも、持ち前の負けん気でしがみついていく、そういう芯の強さも魅力的です。

――第7回では、ついに寧々と藤吉郎が祝言をあげました。寧々は藤吉郎のどこにかれたと想像していますか?

藤吉郎は次に何をするのかわからなくて、寧々は「この人には無限の可能性がある」と感じているんだと思います。何にでも果敢に取り組んでいく姿は、本当にワクワクさせてくれるし、すごく生命力を感じます。池松さんとは別の作品でも共演させていただいたことがあるのですが、その時とは別人のようで、本読みの時から生命力にあふれた藤吉郎だったのでびっくりしました。池松さんが演じる藤吉郎には、この人は何かやってくれる、そういう希望や期待を抱いてしまうパワーがあると感じます。


池松さんは言葉だけでなく、行動で気遣ってくれるので嬉しくなります

――婚礼の前に藤吉郎と大げんかするシーンなど、ふたりの掛け合いもありました。池松さんとはお芝居について相談されることもあるんですか?

事前に相談することはまったくなくて、池松さんが大きな声を出したら、私も大きな声で返すくらいです(笑)。ただ、けんかの後に仲直りをするシーンで、私が監督から「もっとかわいげのある感じで」とオーダーされたんです。そうしたら、私がかわいく演じられるように、カメラに映っていないところで芝居の相手をされていた池松さんも、若干かわいらしくお芝居をしてくださって。言葉だけじゃなくて、実際に行動して、こちらが演じやすくしてくださるんです。そういう気遣いに、すごくうれしくなります。

――小一郎と藤吉郎の兄弟を近くで見ている寧々ですが、浜辺さんから見て、仲野さんと池松さんの兄弟ぶりはいかがですか?

お顔つきも動きもなんだか似ているように感じてくるので、すごいなと思います。凸と凹が合っているというか、似ているんだけど、ぴったりハマっていて、ずっと見ていたくなります。このふたりだからこそ、何かを成し遂げることができるんだろうなと感じます。現場での芝居への向き合い方も似通っていて、リハーサルからしっかりと芝居を考えていらして、それが作品に生かされていると思います。カメラが回ってないところでも膝の上に乗ったり、差し入れのドーナツを半分コしたり、おふたりの明るさに助けられています。これからさらに関係性を積み重ねられて、芝居がどう変化していくのか、そばで見守りたいです。

――直との共演シーンも多いですが、白石聖さんはどのような印象ですか?

直はすごく大人で、寧々のことをたしなめてもくれるし、一方で慰めてもくれます。わがままが許されてきた寧々にとっては大きな存在で、本当の姉のような感覚なんだろうなと感じています。直と話す時は、寧々がちょっと妹っぽくなる瞬間があって、藤吉郎と接している時とはまた違った一面を引き出していただいているなと感じるんです。それに現場では同年代の女性が少ないので、白石さんとはたくさんお話をしていて、役柄の上でも私自身にとっても、白石さんはかけがえのない存在です。


現代より別れが身近だから、瞬間瞬間を全力で生きているような感覚です

――八津弘幸さんの脚本を読んで、どんなところに魅力を感じますか?

大河ドラマの脚本を読むのは初めてですが、兄弟の会話もテンポがよいですし、登場人物たちのキャラクターがしっかりと書き分けられているので、脚本を読んだだけですごくワクワクするんです。ですから、歴史が苦手な人や大河ドラマをあまり見てこなかった人も、すごくわかりやすく見られるんじゃないかなと思います。

――寧々という人物を1年以上演じることになりますが、今はどんな気持ちで撮影に臨まれていますか?

連続テレビ小説「らんまん」(2023年放送)で長く1つの役を演じさせていただいた時に、今までのどの作品よりも役になりきれました。家族役の方々を本当の家族だと思えましたし、ごく自然に役柄の感情になることができたんです。それは自分でも驚きましたし、すごく楽しかった経験でした。なので、これから先、豊臣家の皆さんとどのくらい関係が深まって相手を慈しむことができるのか、寧々がどのくらい変化するのか、楽しみです。

――寧々は立場も大きく変化する役柄です。外見の変化もあるのでしょうか。

だんだん身分が高くなると、座ってばかりで動かなくなるみたいなので、正座が鍛えられるなと思っています(笑)。セットもだんだん豪華になって、たぶん旦那様も徐々に変化していくと思うので、その中で、寧々がどういう感情になるのかまだ未知数ですが、楽しみながら演じたいです。

――王道ともいえる戦国時代を描いた久しぶりの大河ドラマですが、戦国時代の女性を演じてみて、どのような印象をお持ちですか?

夫や家族がいつ戦に駆り出されるかも、無事に帰ってくるかもわからないですから、人との別れが現代よりずっと身近で、今を大切に生きなければいけない環境なのが大きな違いだと思います。藤吉郎たちが無事に帰るのを待つシーンを何度も撮ったのですが、その時に寧々がどんなことを思うのか考えると、本当に苦しくて。でも、寧々には待つことしかできない。そういうことって現代にはないので、その分、相手を大切にできるし、瞬間瞬間を全力で生きているような感覚があります。これを繰り返していたら、そりゃあ腹も据わるよねと思います(笑)。

――逆に、現代と変わらないと感じる部分もありますか?

やっぱり家族愛でしょうか。寂しかったり、思い詰めることがあったりした時に、そばに家族がいる。現代よりも距離が近いというか、家族で支え合って生きている感覚は強いです。お義母かあさん役の坂井真紀さんをはじめ、豊臣家のみなさんは本当にあたたかくて、家族っていいなと思える作品になっていると感じています。