1月5日から放送が始まった夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」は、“ラーメン×バレエ×女の友情”をテーマにした、大人のためのコメディー。広告代理店で働く佳里奈かりな(北香那)が主人公で、ある日、20年来の親友・優美ゆみ(天野はな)から突然絶交を言い渡されてしまう。ふたりは札幌出身で、幼少期から同じバレエ教室に通っていた仲。優美は小さい頃の夢をかなえて、東京のバレエ団に所属するプロのバレリーナになっていた。なぜ優美は佳里奈との絶交を決意したのか? ふたりの仲は元に戻るのか……、というストーリー。 
優美を演じるのは、バレエ経験のある天野はな。天野から見た優美や、このドラマをとおして伝えたいことなどについて聞いた。


オーディションでは全然踊れなかった

――天野さんはオーディションでこの役に決まったということですが、優美がどんなキャラクターなのか、といった事前情報はあったのですか?

天野 NHKの夜ドラで、バレエ経験のある俳優を探している、ということしか聞いていませんでした。オーディションを受けた時は舞台の公演直前で、バレエの練習をする時間がありませんでした。家で1回だけバーレッスンをやってからオーディションに臨んだものの、10年もブランクがあったので、案の定全然踊れず、これで大丈夫だったのかな? と思いながら帰ったのを覚えています。

――オーディションに合格した後で、どんなドラマか知ったのですね。

天野 バレエとラーメンって聞くと意味がわからないのですが、そこに女の友情があって、しかも絶交というインパクトのある出来事から物語が始まるのは、すごく面白いと思いました。30歳まで生きてきたら、友達と疎遠になってしまうことって意外と経験している人が多いと思うので、そこにフォーカスを当てるのもいいなと感じました。

――思ったことはすぐ言葉にして行動に移す佳里奈と違って、優美は自分の感情をあらわにしないキャラクターです。ご自身と優美が似ているところや、いいなと思うところはどこですか?

天野 デフォルトでニコニコしているところは、自分と似てるなと思います。優美はどこかで「自分はもっとできる」「佳里奈にだって勝てる」と思っていて、実はそのエネルギーが強い。私はそんな優美を応援したくなりました。

――優美は20年来の親友である佳里奈に絶交を言い渡しますが、天野さん自身も、優美みたいに長年の友達とのズレを感じたことはありますか?

天野 あります。双子みたいな感じでずっと一緒に過ごしていた親友がいます。彼女が就職し、私は芸能の仕事を始めた時に、ライフステージがズレてしまったように感じた瞬間がありました。これまでどおり彼女のことを大切に思っているし、明確な喧嘩けんかがあったわけではないんですけど、ある瞬間から、なんとなく連絡を取らなくなったんです。それが21歳くらいの時でした。そのあと、5年くらい経って、それぞれの環境にある程度慣れたタイミングでふと連絡を取ってみたんです。あの時実はこんな気持ちだったんだよね、本当は寂しかったよね、といった気持ちを話したらまた通じ合うことができて……。そんな経験をしました。


言葉をちゃんと聞いて、少しずつ佳里奈を見限っていく

――第3回で、佳里奈がこう(駒木根葵汰)に容赦ない言葉を投げかけていて、それを聞いている優美の表情や感情がリアルに変化していく様子は思わず引き込まれるものがありました。どのような気持ちで演じていましたか?

天野 佳里奈は光生に怒っているんだけど、その言葉一つ一つが、意図せず優美を傷つけているという構図はすごく面白いと思いました。だから、その言葉をちゃんと聞いて、ちゃんと傷ついていく、少しずつ佳里奈を見限っていく、という心持ちで演じていました。優美的にはもう限界、ということがあっての一番強い“カード”が、絶交だったと思います。

――佳里奈を演じる北香那さんとは初共演ですね?

天野 香那ちゃんが率先して、いい空気感を作ってくれていたと思います。自分のことをオープンに話してくれたから、私もさらけ出して話し、お芝居をすることができました。

印象的だったのは、全部の撮影が終わり、カメラも回っていない時に、香那ちゃんが「はなちゃんに良くしようということしか考えていなかった」と言ってくれたんです。それは私も同じで、「香那ちゃんは今疲れていないかな?」「香那ちゃんがお芝居しやすいといいな」「楽しいと思ってくれていたらいいな」といったことをずっと考えていました。そうしたことがお芝居のいい関係性になったのかな、と感じています。

――天野さんはバレエ経験者ということで、プロのバレリーナである優美役を演じることになりましたが、何歳からバレエを始めたのですか?

天野 10歳頃からです。当時、仲の良かった子がバレエ教室に体験に行くということで、一緒に行ったのがきっかけでした。私自身はバレエをやりたかったわけではなく、どちらかというと外で遊ぶ方が好きだったのに、クラシックバレエを始めることになりました。

でも、その友達はバレエ教室に入らなくて、私一人で通うことになったんです。家族にも、「バレエをやりたいの?」と驚かれました。いざ始めてみたら、ものすごくきれいなお姉さんたちがいて、踊りも上手で憧れるようになりました。

――約10年のブランクを経て、今回の撮影のためにバレエを練習したわけですが、いかがでしたか?

天野 体の動きや感覚的なものは覚えているんですけど、バレエは鍛錬を重ねていく踊りなので、体が追いつかなかったです。子どもの頃は何も考えずにバレエ教室に通っていましたが、知らない間に自分の体が作られていたことを改めて実感しました。あと、トウシューズも10年ぶりに履きました。すごく痛いんですけど、懐かしくもありました。バレエは自分の人生の大部分をともに過ごしてきた踊りなので、これからも私から離れないでいてくれたらうれしいなと思いました。

それと、私はプロのバレリーナ役ということで、本物のプロのみなさんと一緒に踊るシーンもありました。練習の早い段階からご一緒していたので、すごく仲良くなりましたし、みなさんが「はなちゃんいけてるよ」「ここはもっとこうしたらいいよ」と声をかけてくれたので、撮影に入る頃にはチームワークができていました。なので、本番でもそんなにプレッシャーを感じずに済みました。

バレエを本格的にやろうとすると、体に負荷がものすごくかかるんです。でも、大人になってからの趣味としてのバレエは、一つ一つの動作を丁寧になぞっていくのが瞑想めいそう的ですし、踊った後はスッキリします。あと、バレエ教室は鏡張りなので、鏡に映った自分の姿を見て、きれいなところを探すことになります。バレエをとおして自分をちょっと好きになれるところもいいなと改めて思いました。


体型維持のために、ラーメンのつまみ食いは我慢

――佳里奈はラーメンが大好きで、ラーメンブログを書いているという役柄なので、ドラマの中でもたくさんのラーメンを食べていました。対する優美は高校時代から、バレリーナになるためにラーメン断ちをしています。ということは、撮影中でもあまりラーメンを食べられなかったのでしょうか?

天野 そうなんです。私はラーメンを食べるシーンが少なくて、香那ちゃんが食べている横で見ながら、「美味おいしそう!」と思っていました。でも、バレリーナ役なので「体型を維持してほしい」と言われていて、撮影中はつまみ食いもしなかったです。でも、自分がラーメンを食べられるシーンでは、ここぞとばかりにカットがかかっても食べていました(笑)。

――第2回で、佳里奈のためにラーメンを作るシーンがありましたが、とても手際がよかったですね。

天野 先生に1回だけ指導してもらっての本番でした。他の作品でも、ご飯を作ったり、お茶を入れながらお芝居をしたことはありました。今回はラーメンを作る手順が多かったので、セリフをしゃべったら、次はこれをして……、などと頭の中で考えることがいっぱい。サーカスをしているみたいで大変でしたけど、とても楽しかったです。

――1週目で絶交宣言する優美ですが、2週目からはどうなっていくのでしょうか?

天野 佳里奈から見たら、ずっとうまくいっていると思っていたふたりの関係性ですが、視点を変えてみたら、ずっと黙っていた優美が、本当はどんなことを思っていたかが少しずつ明らかになります。そこには共感できるポイントがたくさんあると思うんです。そこは見どころになるはずです。あと、バレエのシーンも見どころです!

みんな人生がそんなにうまくいくわけではありませんが、それでも頑張ろう、と感じられる応援歌のようなメッセージがこのドラマには込められています。1日の終わりに、ちょっとだけ自分のための時間を作ってこのドラマを見て、笑ったり、共感したりしながら、私たちからのエールも受け取ってもらえたらうれしいです。


【あらすじ】
広告代理店で働くもと佳里奈かりな(北香那)は、バレエウェアブランドの発表会を担当することになったが、予定していたダンサーが来られなくなり、バレエ経験者という理由で急きょ代役にされてしまう。予想外のアクシデントに見舞われたその日、佳里奈にはもう1つ、衝撃的なことが起こる。親友・ふた優美ゆみ(天野はな)から突然、絶交を言い渡されたのだ。優美は子供の頃からの夢をかなえてプロのバレリーナになっていた。絶交を信じることができない佳里奈は、優美の自宅や職場のバレエ団を訪ねるが、顔を合わせることすら拒否されてしまう。理由がわからず戸惑う佳里奈が、ふらっと入ったラーメン店では、なんと優美が働いていた!! 佳里奈と優美の友情は、果たして元に戻るのか。


夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」(全20回/5週)

毎週月曜~木曜 総合 午後10:45~11:00
NHK ONEでの同時・見逃し配信予定(ステラnetを離れます)

作:岸本鮎佳
音楽:近谷直之
出演:北香那、天野はな、駒木根葵汰、葵揚、吉沢悠、川久保三子、梅沢昌代、田中真弓、コウメ太夫、異儀田夏葉、キンタロー。、小林きな子、床嶋佳子、草村礼子、野添義弘 ほか
制作統括:石澤かおる
プロデューサー:二見大輔
演出:中島由貴、伊集院悠、曽我まりこ

兵庫県生まれ。コンピューター・デザイン系出版社や編集プロダクション等を経て2008年からフリーランスのライター・編集者として活動。旅と食べることと本、雑誌、漫画が好き。ライフスタイル全般、人物インタビュー、カルチャー、トレンドなどを中心に取材、撮影、執筆。主な媒体にanan、BRUTUS、エクラ、婦人公論、週刊朝日(休刊)、アサヒカメラ(休刊、「写真好きのための法律&マナー」シリーズ)、mi-mollet、朝日新聞デジタル「好書好日」「じんぶん堂」など。

NHK公式サイトはこちら ※ステラnetを離れます