大学2年の夏休みに研修旅行で訪れたフランス・ボルドー地方のワインに感動し、醸造家を目指した斎藤さいとうまゆさん(46歳)。数々の夢を実現させてきた斎藤さんが、いつも心がけていることとは?

聞き手 三橋大樹

この記事は月刊誌『ラジオ深夜便』2026年4月号(3/18発売)より抜粋して紹介しています。


ピノ・ノワールは畑の宝石

――2025年のワインの出来は?

斎藤 2025年はすばらしい年でしたね。醸造家は毎年「すばらしい年」って言うんですけど、これは本当です(笑)。雨が少なかったのでブドウが病気にならず、私たちにとってご褒美のような年でした。

――斎藤さんのワイナリーでは、何種類ぐらいのブドウを栽培されてるんですか。

斎藤 そのまま食べるブドウも育てているので、40種類以上です。ワイン用としては、甲州、ピノ・ノワール、シラー、シャルドネ、ヴィオニエの5種類ですね。

――特にピノ・ノワールに力を入れているそうですね。

斎藤 ピノ・ノワールは世界中のワイン愛好家が大好きな品種なんですけど、一般的には栽培が難しいといわれています。確かに病気になりやすかったり、実が潰れやすかったりととてもデリケートで、他の品種と全く違う特性があります。

――どんなふうに違うんですか。

斎藤 何といっても実が色づいていく様子がきれいです。ピノ・ノワールは黒いブドウなんですが、最初は緑色をしています。熟すときに一気に染まるのではなく、“飛び玉”って言って、ポンポンと飛ぶように色づいていくんですね。ラメが入ったような実の美しさはまるで畑の宝石のようです。栽培が難しくてもピノ・ノワールを育てたいという農家が多い理由が分かります。


国際線ファーストクラスに採用

――ところで、斎藤さんが造ったワインは国際線のファーストクラスに採用されたとか。

斎藤 はい。2019年に醸造したワインです。自分たちのワインを国際線のファーストクラスに乗せることは、ずっと前からの夢だったんです。何度も挑戦しては選考で落とされて。だから2020年に航空会社から電話がかかってきたときは、本当にうれしかったです。

――航空会社の方はどうやって斎藤さんたちのワインを知ったんでしょうか。

斎藤 やっぱりいちばんは、世界一のソムリエである故・ジェラール・バッセさんがめてくださったことですね。バッセさんは“ワインの神様”っていわれるような方で。

――「世界最優秀ソムリエ」「マスター・オブ・ワイン」など5つのタイトルを持つジェラール・バッセさんですね。

斎藤 その方が日本に来ると聞いて、私たちのワインを好きな人たちが、彼を招いた食事会を企画してくれたんです。


ワインの神様に認められた夜

――食事会は緊張されましたか?

斎藤 もう何を着ていこう、英語もフランス語も勉強しなきゃと前日まで焦りまくりでした。そのうえ当日は列車が遅れて、おまけに車内で名刺を忘れたことに気付くという。
「もう、ビール飲んじゃおうか」と、社長と2人で車内販売のビールを買いました。そうしたら、奇跡的に財布の中に名刺が3枚入ってたんです。

――(名刺も運も)持ってましたね!

※この記事は2025年12月27日放送「ブドウ畑の空に乾杯」を再構成したものです。


ジェラール・バッセさんとのユーモアあふれるやりとり、ワイナリー立ち上げの時期に妊娠していたことで得た新たな発見。“醸造家の仕事は体力勝負”と語る斎藤さんのお話の続きは、月刊誌『ラジオ深夜便』4月号をご覧ください。

購入・定期購読はこちら
4月号のおすすめ記事👇

▼新アンカー決定! 4月からの〈ラジオ深夜便〉情報
▼野口五郎 僕の“クロスオーバー”な音楽人生
▼ロバート キャンベル × 川上弘美 「100年後の本棚」を考える
▼ツバキの歴史、その光と影 ほか