ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、てい役の橋本愛さんから!
橋本愛さんの第30回振り返り
——歌麿(染谷将太)が耕書堂から出ていきましたが、ていは一緒に暮らしていた彼に対してどんな気持ちを持っていたのでしょうか?
歌麿さんは蔦重(横浜流星)さんにとって大切な、家族のような存在だから、当然ていにとっても大事な存在です。それに、自分にはない才能を持った方なので、ていは歌麿さんに尊敬の念を抱いています。そんな自分の素直な気持ちを伝えてもいましたが、歌麿さんからは何かしらひねくれた感情が返ってきて……(笑)。蔦重さんに特別な感情を持っている歌麿さんからすれば、ていは気に食わない存在なので、どうしても噛み合わないところが生まれていました。
つよ(高岡早紀)さんから「蔦重は歌麿の念者(男色関係の兄分)なのかい?」と聞かれたときには、ていもそこに考えが及びましたが、蔦重さんから「そうじゃない」と言われてからは特に気にすることもなく……。
ていは恋愛経験がひどく少ないので、そういった人間関係の機微には敏感じゃないだろうなと思って演じています。そうやって歌麿さんの思いに気づかないから、ていは蔦重さんに対して遠慮なく思いが深まっていくわけで、ふたりの関係性を見て歌麿さんがヤキモキするのかなと思いました。

——橋本さんは染谷将太さんと映画『寄生獣』(2014)などで共演した旧知の仲です。そのことは、ていと歌麿の微妙な関係性を表現することに影響していますか?
そうですね。染谷さんとは特に打ち合わせをせずとも、ていと歌麿の関係性を出せている気がします。私は現場で再会する前から、放送で染谷さんのお芝居を見ていましたし……。
染谷さんが初登場した回は「あ、唐丸だ!」と思って感動しました。(唐丸を演じた)渡邉斗翔さんとすごく似ているわけではないのに、どこか面影が重なっていて……。声なのか、話し方なのか、佇まいなのか、「こんなふうに表現できるんだ!」とすごく感銘を受けました。物語の中では、ていは唐丸の存在を知らないので、その感慨は消しているんですけれど、それはすごく印象的でした。
