表題の歌は1971年に発売された井上順さんのセカンド・シングルです。「ミッドナイトトーク」のゲストとして今年3月まで2年間、「深夜便」にご出演いただきました。ザ・スパイダースのメンバーとして16歳で芸能界デビュー以来、日本のエンターテインメントのど真ん中で活躍されてきた井上順さん。その細やかな心遣いと謙虚な人柄には、お話を伺うたびに頭が下がりました。
“お世話”といえば、5月のある日、近所の花屋で買ってきたシャクヤクの切り花です。実は4月にも1度購入したのですが、そのときは5本のうち2本のつぼみが開かず悔しい思いをしたので再挑戦です。ネットで検索してみると、「シャクヤクのつぼみが開かない原因と対処法」といった記事が並び、同様の悩みを持つ方は多いようです。
花屋の主人に前回の“打率”を伝え窮状を訴えました。この花屋は若い夫婦(だと思う)が営んでいる小さいお店なのですが、二人の温かい人柄に惹かれて時折訪れています。すると奥様が店の奥から仕入れたばかりのシャクヤクの束を出してきてくれました。濃いピンクの花びらが少し開きかけていて茎もしっかりしています。ご主人からは再び注意点をアドバイスされ、まだつぼみの固い白と薄桃色の花も合わせ今回も5本購入しました。
さっそく花瓶に入れてリビングに飾ります。すると濃いピンクのつぼみはみるみるうちに膨らみ、翌日には華やかで大きな花を咲かせました。ところが、あと2本のつぼみは膨らんではきたものの開く気配がありません。嫌な予感がする中、毎日の世話を続けていると開花の兆しが。満開の花の形はわからないのですが、何とか“七分咲き”となりました。私が特に植物好きというわけでもマメな性格というわけでもありません。強いて言えば“誰でも簡単に育てられる”と言われた観葉植物ですら枯らしてきた私の意地です。
ちょっとした不安とともに喜びを与えてくれたシャクヤクの花。世話をしているつもりが、感謝するのは私の方だと感じたのでした。
(よしの・きよし 第1・3水曜担当)
※この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2025年7月号に掲載されたものです。
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