いきなり大きく出てすいません。正直言って、理解しているとはとても言えません。いや、よくわからない、というのが近いと思います。でも、そのわからなさ故にずっと以前から興味があって入門書を読んだりしていました。この7月から9月にEテレで「3か月でマスターするアインシュタイン」が放送されたのを機にテキストを買って、これまた読んでしまいました。それで理解できた? うーん、自信はありません。でも、ますます興味が湧きました。
相対性理論では、時間や空間は絶対的なものではなく、例えば動いているものの時間は遅く進み、長さは縮んで見える、そうです。ただ、こうしたことがわかるのは、物体が光速に近いくらいの速さで動いているときで、私たちがふだん暮らしているレベルでは全くわかりません。そもそも「時間が遅く進む」とか「空間が縮む」とか言われても理解の範囲を超えていますよね。
アインシュタインはそれらの結論を、光の速さは不変で光よりも速いものはないという原理のもと、実験器具を使わず頭の中で論理展開をする「思考実験」と呼ばれる方法で導き出しました。これがユニーク。例えば、光が1往復して1秒を刻む光時計を載せた列車を動かすとか、秒速24万キロ(光速の80パーセント!)で列車がトンネルに入るとか……。こうした発想自体がすごいですが、そこから導き出された常識外れの結果を却下せず、逆に常識を疑い、
時間や空間の概念を根本的に変えることで説明づけたところがすごいと思います。
アインシュタインは16歳のころ「光と同じ速さで光を追いかけたら、光は止まって見えるのだろうか?」と考えたそうです。光と同じ速さで進むなんて、どんな世界なのでしょう? 私にはわかりません。でも想像するだけで世界の見方が変わります。考えてみれば私たちが見ている世界など、小さな小さな穴から覗いているものに過ぎない気がします。常識が覆された広大無辺の世界が広がっているに違いありません。だから面白い。
(まつい・はるのぶ 第1・3月曜担当)
※この記事は、月刊誌『ラジオ深夜便』2025年11月号に掲載されたものです。
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