ドラマの出演者やスタッフが「この回のあの人、あのシーン」について語ったコメントを不定期で配信するコーナー。今回は、第34回でクランクアップした田沼意次役の渡辺謙さんから!
渡辺謙さんの大河ドラマ「べらぼう」振り返り
——クランクアップされてのお気持ちは?
江戸城からの解放です。裃からの解放でもありますね(笑)。
——蔦重(横浜流星)から「書を以て田沼様の世の風を守りたい」との決断を聞かされ、「好きにするがよい」と答えました。あのシーンを演じていかがでしたか?
最後にようやくお互いが同じような境遇で「成り上がり者だよね」ということを共有し合うシーンでした。蔦重と意次は、ある種の敵対関係というところもあったので、その辺の兼ね合いの難しさみたいなものを感じながらやっていました。

——意次を演じ終えて、改めてどのような役だと思いましたか?
“見えない抑圧感”みたいなものが常にありました。上からも下からも、その抑圧感みたいなものを一身に受けながら、必死で何かを模索し続けるという役でした。
——印象的だったシーンは?
前半で言うと武元(石坂浩二)との茶室のシーン(第15回で手袋を前に家基変死の理由を語り合う)ですね。ようやく2人の関係が氷解していくという中で、非常に緊迫感もあり、ミステリー感もあり、長かったですが、やりがいのあるシーンでした。

中盤以降は、家治(眞島秀和)とのシーンかな。厚い信頼を受けながら、でも家治自身が抱えている悩みを意次は解決できない。そのジレンマみたいなものもありました。そして、やがて家治が追い込まれていくなか、失脚した意次は家治に会うことさえかなわなくなってしまう。その状況を想定しながら、それまでの家治とのシーンを積み上げていったので、意次にとっての家治は非常に大きなポジションでした。
——最後に、視聴者へのメッセージをお願いします。
これからもハラハラドキドキ。蔦重もそうだし、世の中的にも波乱万丈な時代がやってくるので、楽しんでいただけたらと思います。ご愛顧よろしくお願いします。
