12月14日、大河ドラマ「べらぼう~つたじゅうえいゆめばなし~」の最終回放送に合わせ、蔦屋重三郎ゆかりの地である東京・中央区で「最終回!ありがた山スペシャル パブリックビューイング&トークショー」が行われた。主演・横浜流星をはじめ、染谷将太、橋本愛、中村蒼、風間俊介、高橋克実と、豪華な出演者が顔をそろえたイベントの模様を紹介する。


最終回を出演者と一緒に楽しめる貴重な機会、応募倍率は約34倍!

今回のパブリックビューイング&トークショーは、中央区と中央区観光商業まつり実行委員会、そしてNHKが共催。会場となる東京・中央区の銀座ブロッサムのホールには、応募総数約28,600人、倍率約34倍という狭き門をくぐり抜けた、超強運な「べらぼう」ファンが集まった。

ステージに設置されているのは、パブリックビューイング(以下、PV)用の大きなスクリーンと、蔦屋の版元印が描かれた定式幕、耕書堂の名が記された店頭幕。「べらぼう紀行」の語りを担当した鈴木奈穂子アナウンサーが司会として登壇し、3部構成となるイベントの流れを紹介していく。

第1部はプレトーク。拍子木が打ち鳴らされると、つる右衛もん役の風間俊介、駿河するがいち右衛もん役の高橋克実、次郎兵衛じろべえ役の中村蒼、喜多きたがわ歌麿うたまろ役の染谷将太が姿を見せ、客席から大きな拍手が送られた。

最初の“お題”としてスクリーンに映し出されたのは、「べらぼう」の場面写真。駿河屋が誰かを店の階段から落とした後に言葉を発している場面の画像で、落とされたのが誰か、そして駿河屋のセリフについて語り合うことになる。

風間が「ちょっと(難しさの)角度がきつくないですか?」とツッコミを入れつつも、観客席に「皆さんはわかってくれていますか?」と問うと、拍手とともに大多数がうなずく。

正解は鶴屋を落として「この赤子あかごづら!」と言う場面だが、セリフを言った高橋当人は「おお喜利ぎりですか、これ?」と言いながら、隙あらばボケを入れようとして、風間から「面白漫才コーナーじゃないんですから!」と笑顔でくぎを刺されていた。

その軽妙なやり取りに、場内は早くも大盛り上がり。「このままでは、話がまとまらないですね」と、風間が鈴木アナに助けを求め、鈴木アナの仕切りで、出演者が選んだ「もう一度見たい名シーン」をプレーバックすることになる。スクリーンには「階段落ち」「舞い」「ドーンキュッキュッ」「競争」という4つのキーワードが提示された。

高橋が選んだ「階段落ち」は、第1回「ありがた山の寒がらす」で、駿河屋が蔦重を廊下から階段までり、突き落とすシーン。「人を引き摺るって、なかなかできないんですよ。あれ、流星くんが自分から動いてくれていて、その身体能力たるや。流星くんは重いわけじゃないけど、協力してくれているから、あのスピードで引き摺っていけたんです」という高橋の言葉に、一同がうなずく。

「舞い」を選んだのは、中村。第33回「打壊うちこわし演太女えんための功徳くどく」で、お救い銀が出ることを周知させるために、次郎兵衛が太鼓をたたいて蔦重たちが踊りながら町を練り歩くシーンだ。「僕は神輿みこしの上で太鼓を叩いていて、後ろの人たちがどういう動きをしていたのか、よくわからずに撮影していたんです。周りの人を巻き込んでお祭り騒ぎにしていくシーンだから、踊りの形に決まりはなかったんですよ。で、オンエアを見たら、流星がめっちゃきれいに舞っているじゃないですか(笑)。あ、『国宝』を匂わせてる、と思って(笑)」

その横浜の動きについては、染谷も「歌麿に『ちょっと役者っぽい動きをしてみろよ』と言われた蔦重が見得を切るシーンがあったのですが、もうキレッキレでしたね」と同意していた。

また染谷が選んだ「ドーンキュッキュッ」は、第46回「曽我そがまつりの変」で、写楽絵に取り組む歌麿に対して勝川かつかわしゅんろう(後の葛飾北斎かつしかほくさい/くっきー!)が蘭画の特徴を語るシーン。染谷は「くっきー!さんがハマリ役すぎて、笑いがこらえきれなくて、本番でもNGを出してしまいました」と共演の日々を振り返った。

風間が選んだ「競争」は、第25回「灰の雨降る日本橋」で、蔦重と鶴屋が灰捨て競争を繰り広げたシーン。風間は「まぁ、流星くんの足が速くて。鶴屋さんは下駄げたなんですよ。ただでさえ走りづらいのに、監督から『最後はデッドヒートにならないといけないから、風間さん、もうちょっと頑張ってもらえますか』と言われて。流星くんに、こっそり『もうちょっとだけ遅らせてもらうことは可能かな?』とお願いしました」と撮影の舞台裏を紹介した。


今だから語れる裏話。共演者が証言する横浜流星の素顔は?

第2部は、お待ちかねの最終回PV。冒頭のひとつばし治済はるさだ(生田斗真)が雷で命を落とすシーンで観客たちは息をみ、物語が進むにつれて笑いが続くようになり、てい(橋本愛)が蔦重の戒名を用意していたシーンで大爆笑。そこから、ていが「日の本一のべらぼうにございました」と語りかける感動の場面まで、感情はジェットコースターのように翻弄される。涙腺が決壊して、涙を拭う人、鼻をすする人、多数。観客席だけではなく、プレス席でも涙を流しながらキーボードを打っていた人がいた。

PVの終了後、場内が大きな拍手に包まれると同時に、風間と鈴木アナが再登場。風間は早速、雷が落ちて治済が絶命するシーンに触れて「早々に悪が倒されて、それ以降は私たちの物語になりました」と話を始め、「撮影現場でみんなと話していたのは『あれ、源内げんない先生(安田顕)の“エレキテル・アタック”だったんじゃないかな』と(笑)。天罰が下ったのかなと思いますよね」と解説した。そして第3部となるアフタートークでは、風間もMCに。鈴木アナとともに、出演者を呼び込んでいく。

高橋、中村、染谷に続いて登場したのは、てい役の橋本愛。そして蔦屋重三郎役の横浜流星が姿を見せると、本日一の大歓声が送られた。まずは風間が「おつかれ山でした」とねぎらい、横浜と橋本に最終回を迎えた心境を聞いた。

横浜「感謝の気持ちが大きいですね。最終回を無事に迎えられたことがうれしいことだし、『べらぼう』を愛してくださった皆様、そしてキャストやスタッフの皆様に支えられたので、本当に感謝しかありません」

橋本「感無量の一言です。素敵すてきな作品に携わらせていただけた喜びと、最終回を皆様と一緒に迎えられるという一生に一度あるかないかの貴重な体験ができた喜び、そして自分にとってはギフトをいただいたような素敵な役を演じられた喜び、そんな喜びに満ちた気持ちでいっぱいです」

続いて、出演者が「今だから語れる撮影裏話」を披露することに。そこでは約1年半に及ぶ撮影の日々を駆け抜けた横浜が話題の中心となり、その素顔が見えてくることになる。風間は横浜が「写楽絵のポーズ」にこだわり、機を見て劇中で披露しようとしていたことを指摘した。

横浜「現場ではいろんな方の意見を聞いて、それをブラッシュアップしていく感じだったのですが、写楽だけは自分から“仕掛けて”いきました。第46回で写楽をお披露目する場面でも、店のお客さんが『あ、江戸兵衛だ』と言ったときに、江戸兵衛の絵と並ぶように写楽絵のポーズをしてみたんです。撮り直しも結構して、こだわって撮ったんですけど、カットされていました(笑)」

さらに、横浜と共演しての感想を聞かれた橋本が「ストイックで誠実で真面目で、というところはお会いする前のイメージどおりだったんですけれど、一方ですごくフランクな方だなという印象が新しい発見でした。耕書堂のシーンでは、みの吉(中川翼)とおつよ(高岡早紀)さんと4人でいることが多くて、女子会みたいな会話をしていましたよ。『誰々の眉毛の形がきれい』とか(笑)」と明かすと、出演者たちは横浜の印象をユーモアたっぷりに語り始める。

中村「流星は可愛かわいいんですよ。僕が初めて会ったのは、流星が19歳のとき。ある作品のリハーサルで一緒になったんですけど、当時はトレーナーをジャージにインしていて、それが学校ジャージみたいにダサくて、くるぶしが見えるぐらいまで上げて、その時点で僕はもう『なんていい子なんだろう』と思いました(笑)。それが今回、再会したときはハイブランドのジャージを着ていて「変わってしまったなぁ」と(笑)。でも当時の面影がずっと残っていて、すごく可愛い。撮影中はずっと緊張していたようだけど、時折無邪気な顔も見えて『よかった、リラックスして撮影できていたかな』と思っていました」

風間「僕は最初、役として敵対関係にあったので、そんなにしゃべれなかったんです。けれど、仲良くなって、僕も喋るようになってからの、不意に見せてくれる笑顔。むちゃくちゃ嬉しいですよね。横浜流星の笑顔が私に向けられた、という瞬間が。その喜びがあって(思わず下を向いた横浜に)あなたの話をしているんですよ(笑)」

撮影現場での素顔が次々に明かされたことで、横浜はしばしば赤面。また、これまでの取材や会見ではしんに言葉を選びながら語ることが多かったが、今回はかなりリラックスした様子で、蔦重として「べらぼう」を完走したあん感と満足感が垣間かいま見えた。


出演者が、お互いに聞いてみたかったことは?

次のトークテーマは、「お互いに聞いてみたいことは?」というもの。まず中村が横浜に「蔦重として、いろんな人とお芝居をしたと思うけれど、印象に残っているのは?」と問いかけた。少し考えて横浜が出した答えは、人相見の大当開運を演じた、爆笑問題の太田光。

横浜「太田さんは、裏ではあんなにお話ししてくださるのに、現場に入るとすごく静かになるんです(笑)。『俺が大暴れしてやるよ』という意気込みで来てくださったので、アドリブをかまして撮影現場を困惑させるのかなと思っていたら、すごく丁寧で。アレ? っと思いました」

風間「僕から橋本さんに聞いてもいいですか? 蔦重と瀬川(小芝風花)の恋の行方が素敵だったんですけれど、瀬川パートのときは、まだ(出番を)待っている状態ですよね。『この後、私か』というプレッシャーはありましたか?」

橋本「ええ、それしかありませんでした! とても美しく、かっこよく、かなしい悲恋だったからこそ、ずっと心に残り続けるじゃないですか。私も一視聴者として瀬川さんのことが大好きだし、でも役作りをし始めると、おていさんとしては『何を見せられているんだろう?』という。最終回もね、瀬川さんらしい方にお会いしていましたけれど、(彼女の後姿を見て、蔦重が)いい顔してましたね……(笑)」

風間「流星くん、おていさんから苦言を呈されているのですが」

横浜「いやいやいや……、あれもまあ……、良かったなという。でも、俺にはおていさんがいる、と」

風間「こっちを見ないで、おていさんのほうを見て言ってください!(笑)克実さんは、流星くんに何かありますか?」

高橋「これからいろんな作品をやっていくのでしょうけど、やっぱり時代劇をやってほしいですね(会場から大きな拍手)。1年半近く親子としてお芝居させてもらったので、あのかつらの姿が僕の中の横浜流星。だから街で大きな看板を見ても気づかないときがあるんですよ(笑)」

横浜「時代劇には、また挑戦したいですね。日本の文化や歴史を届けられるすごく大切な作品だと思いますし。自分は空手をやってきて体を動かせるのに、今回は一切、刀を持てないという(笑)。さっき(BSの放送で)次の大河の予告が流れてきて、『あ、大河ドラマだ!』と思ってしまったので(笑)、いつかは合戦がある大河、時代劇にも出てみたいですね」

アフタートークも終盤に差し掛かると、平賀源内役の安田顕からのビデオメッセージがスクリーンに投影された。

安田「横浜流星さんが大河の主役として完走したというのは、すごいことですね。森下さんの脚本に、自由とは何ぞや、わが心のままに生きるという源内の言葉がありましたけれど、それを蔦屋重三郎さんは胸に秘めて、耕書堂を興し、そして生きたのでしょう。蔦重さんとロケで撮った、2人で畦道あぜみちを歩いている何気ないシーンを、今思い出したりします。無事に最終回を迎えられて、本当にお疲れ様でした」

このメッセージに対して、横浜は「蔦重の生き方や考え方は、何から何まで源内先生に教えていただいたもの。安田さんとのシーンは第16回まででしたが、非常に楽しく、お芝居をしながらいろんなことを学びました」と語り、安田との共演に思いをせていた。

楽しい時間はあっという間に過ぎ、PV&トークショーも終演(それでも休憩時間とPVの時間を含めると3時間超の大ボリューム!)。このべらぼうなイベントは、最後に一本締めでお開きとすることに。

風間「『べらぼう』では、“”という言葉がキーワードになっていました。なので、「よーおっ、“屁”!」で締めさせていただきたいと思います」

高橋「え、それで締まるんですか?」

風間「大丈夫です。これをいちばん喜んでいるのは(恋川)春町はるまち先生(岡山天音)なので。では、流星くん、お願いします」

横浜「それでは皆様、お手を拝借。よーおっ、“屁”!」

最終回のラストシーンを“屁踊り”で終わった「べらぼう」を象徴するかのような一本締めで、楽しいトークショーは幕を閉じた。
このイベントの模様は、12月29日(月)午後4時3分から総合テレビとBSP4Kで放送される予定。どうぞ、お見逃しなく!


大河ドラマ「べらぼう~つたじゅうえい華乃がのゆめばなし~」総集編

12月29日(月)総合/BSP4K 午後0:15~4:03 ※途中ニュース中断あり